TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

大谷有花『はなすがた』展、日本人の美意識に根ざした新たな挑戦

2015年01月18日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
高島屋で開催中の大谷有花さん『はなすがた』展を観て来た。会場に入るなり、作家の意気込みが伝わる新たな世界が目に飛び込んで来た。艶のある黒色や深い紫色を背景に美しい蓮の花や花菖蒲が静かに描かれている。




大谷有花と言えば、『キミドリの部屋』で鮮烈なデビューを遂げたのは2000年頃であったろうか。とても印象的な作品であった。描かれているのは、誰も居ないキミドリ色の小さな部屋。そこには思春期の少女の外の世界への期待と不安の入り混じった心情が見えるようで、新鮮な作品であった。


今回の発表作について、❝花をテーマに日本人の感性と美意識をストレートに表現することを意識した❞と語っているが、かつての作品とは違う意欲的なものであった。作家はこの数年、秋田の地で若い美大生たちと地域に密着した活動を進めながら作品制作を続けているが、こういう体験を通じて認識した内なる日本人の感性と美意識からの作品たちは見る者の心に響く。今後の活躍に期待したい。
 

新潟絵屋(代表大倉宏)にて、平澤重信展、開催

2015年01月13日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 「新潟絵屋」の大倉宏氏(美術評論家)とは、かつて私が主催していたアートNPO活動をご支援いただいたり、砂丘館でのコレクション展を開催していただくなどご縁があり、長くお付き合いが続いている。

 大倉さんに二人の作家を紹介、その展覧会が、今年「新潟絵屋」と「砂丘館」で開催される。お一人は自由美術協会の平澤重信さん、2月18日より新潟絵屋で開催予定である。

平澤重信氏と 左・・平澤重信氏


作品は、絵本「ボクの自転車より」

以下は作家紹介の拙文である。

                    『平澤重信の世界』・・山下透 
    
「平澤重信の作品の主題は過ぎ去りしものたちへの郷愁である。描かれているのは白い煙が立ちのぼる煙突のある家、自転車を走らせる少年、庭の小さな樹や鳥や犬、家に向かう細い道、しかも時刻は夕暮れ、これらは作家の心象風景であり、我々の記憶のなかの心の風景でもある。これらのモチーフがユーモラスに空間に浮遊する作品は、工夫を凝らしたマチエールも美しく、観る人の心にやさしく響く。

しかし、これらの作品が我々を惹きつけるのはそれだけでない。作家は我々に何かを語りかけようとしているのだ。それは豊かな物質文明の中で失われつつある精神への問いかけかもしれない。特に最近の作品からはモチーフが影を潜め、何か宇宙的な世界が開かれつつある。
2014年自由美術展出品作品を見ると、より抽象化が進み、黄色い画面の下から右へ。そして上へと白い煙が流れているが、これは作家の新たなメッセージに違いない。」