TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

“李禹煥(リ・ウーハン)・・『照応・Correspondance』

2016年03月25日 | 好きなアーティストのこの一点
 李禹煥は60年代以降“もの派”の中核的存在として活躍、いまや日本現代美術の代表的芸術家である。人為的なものを取り去ることにより“世界のあるがままの鮮やかさ”を取り戻そうとするその思想は我々を惹きつける。「項Relatum」など立体も、「点より」「線より」「風と共に」など平面作品も、思索的雰囲気に満ちている。

 私が特に好きなのは「照応」シリーズである。これら作品は下塗りしていないキャンバスに点が幾つかあるだけのもので、余白が大半を占めているが、余計なものを削ぎ落としたような空間に、点と点、点と余白とが照応し合って“無限感”を漂わせている。

 この作品は30号のキャンバスに8個もの点がある珍しい一点、筆のストローク一つ一つに絵の具の重厚な質感と勢いが感じられ、緊張感ある静寂な空間を形作っている。私は“目に見えるものより見えないもの”に価値観を置いた生き方に関心があるが、この照応シリーズは、まさに“目に見えるものと見えない世界との照応”を描いているのだと思う。作品を見ていると、知らず知らずの内に思索の世界に漂っているのを感じるのである。(2003年山下記)
 
作品名 「照応 Correspondance」30号 キャンバスに油彩    
銀座の画廊にて、李さんと


黄色い舟展@日本橋三越画廊(金井訓志)

2016年03月17日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
「鶏頭の花を描きました」と、黄色い舟展にて画家の金井訓志さんがご挨拶。会場に観に行くと、艶やかな鶏頭がパッと目に飛び込んできました。絵からは、花というより人が纏う佇まいが伝わってきます。ヨーロッパの昔の貴婦人の肖像画のイメージ。さらにじっと見ていると花びらが迷路のような脳の構造のように蠢いて見えます。歌川国芳のパズルのような絵や脳内のシナプスが浮かんできました。こんな連想をしてしまうのは失礼なのかもしれません…。が、鶏頭に、何か話し掛けてくるような見つめてくるような、そんな在り方を感じたのです。(山本理絵)
←金井訓志作品

「市民派コレクターの眼」・・ワイルドでありながら、洗練された色彩と構成が美しい花澤洋太作品

2016年03月17日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
「黄色い舟展」のオープニングパーティーに出かけ、久しぶりに作家花澤洋太氏とお会いした。
相変わらず男っぽい雰囲気の人物だ。一度お会いしたことがあるが、奥様は金髪のフランス美人であった。この日、初対面ではあったが、花澤教室の門下生である南雲さんと我が女友達の4人、花澤氏の奥様の故郷フランスのことや花澤教室での美術指導のことなど、暫し雑談。この南雲さんも女流画家の卵であるが、ご主人は観世流の能役者とのこと。そんな訳で美術や能のことなど、ワインを飲みながら楽しく歓談した。



花澤氏の作品は、20年以上前にも何回か拝見しているが、木の素材を削った男っぽくワイルドな世界であった。どちらかと言うと女性的な作品が多い現代において魅力的である。今回の発表作品も、本質は基本的には変わっていないが、作品構成や色彩が美しく洗練された抽象の世界であった。男らしさと繊細さが同居したいい作品である。



この日、元経済企画庁長官の堺屋太一氏も応援に駆け付けて挨拶。そんなこともあって、パーティーはおおいに盛り上がりをみせた。(夏炉冬扇)




「市民派コレクターの眼」・・情緒性を抑えた色彩が美しい現代の浮世絵、金井訓志

2016年03月17日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
三越日本橋本店で開催された「黄色い舟展」のオープニングパーティーにご招待いただき、出かけて来た。❝黄色い舟❞とは独立美術協会創立会員である三岸好太郎が会の創立を祝して発表した詩「黄色い舟・鋼鉄船」になぞらえたものであるとのこと。



新館のグリル満天星でのパーティには中堅作家たちが居並び、美術界の重鎮奥谷博氏や元経済企画庁長官堺屋太一氏などから励ましの挨拶があり、今にも黄色い舟で大海に漕ぎだして行かんとするかのような明るい雰囲気に包まれていた。


右・作家金井訓志氏と二人で

パーティーでも話題になったが、作家たちの作品傾向はそれぞれ違うベクトルを目指しているかに見えるが、特に金井訓志と花澤洋太の作品が目に止まった。
金井氏は現代の浮世絵的世界を描き続けているかに見えるが、近年の情緒性を排除したシンプルで色彩が美しい作品がとてもいい。今回の出品作品の鶏頭の花が、私には人間に見えるのだ・・。作品に作家の魂があるのであろう。(夏炉冬扇)