李禹煥は60年代以降“もの派”の中核的存在として活躍、いまや日本現代美術の代表的芸術家である。人為的なものを取り去ることにより“世界のあるがままの鮮やかさ”を取り戻そうとするその思想は我々を惹きつける。「項Relatum」など立体も、「点より」「線より」「風と共に」など平面作品も、思索的雰囲気に満ちている。
私が特に好きなのは「照応」シリーズである。これら作品は下塗りしていないキャンバスに点が幾つかあるだけのもので、余白が大半を占めているが、余計なものを削ぎ落としたような空間に、点と点、点と余白とが照応し合って“無限感”を漂わせている。
この作品は30号のキャンバスに8個もの点がある珍しい一点、筆のストローク一つ一つに絵の具の重厚な質感と勢いが感じられ、緊張感ある静寂な空間を形作っている。私は“目に見えるものより見えないもの”に価値観を置いた生き方に関心があるが、この照応シリーズは、まさに“目に見えるものと見えない世界との照応”を描いているのだと思う。作品を見ていると、知らず知らずの内に思索の世界に漂っているのを感じるのである。(2003年山下記)
作品名 「照応 Correspondance」30号 キャンバスに油彩
銀座の画廊にて、李さんと
私が特に好きなのは「照応」シリーズである。これら作品は下塗りしていないキャンバスに点が幾つかあるだけのもので、余白が大半を占めているが、余計なものを削ぎ落としたような空間に、点と点、点と余白とが照応し合って“無限感”を漂わせている。
この作品は30号のキャンバスに8個もの点がある珍しい一点、筆のストローク一つ一つに絵の具の重厚な質感と勢いが感じられ、緊張感ある静寂な空間を形作っている。私は“目に見えるものより見えないもの”に価値観を置いた生き方に関心があるが、この照応シリーズは、まさに“目に見えるものと見えない世界との照応”を描いているのだと思う。作品を見ていると、知らず知らずの内に思索の世界に漂っているのを感じるのである。(2003年山下記)
作品名 「照応 Correspondance」30号 キャンバスに油彩
銀座の画廊にて、李さんと