TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

「注目の現代作家と画廊散歩」
「我がルオー・サロン」
「心に響いた名画・名品」
「アート市民たち(コレクター他)」

ドイツ在住作家インゴ・グメルス氏と歓談

2006年02月21日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 インゴ・グメルス展のことは、『アートNPO推進ネットワーク』(ブログartnpo.dreamblog.jp)で触れたが、初日の2月20日、オープニングパーティーがあり、作家ご夫妻と楽しく歓談した。とはいっても日本語を喋れないインゴさんとドイツ語が駄目な小生、新潟在住のお嬢さんアンティア・グメルスさんの通訳付きではあったが・・。

 作家は1931年、旧西ドイツ・ヴィルデスハウゼン生まれ。少年時より、風景画家の父エルヴィン・グメルスより絵画の指導を受ける。61年~88年は歯科医として働くが、その後画業に専念とのこと。展覧会出品作は重厚なブルーや軽やかなホワイトグレーの抽象が、それぞれ美しく、惹き込まれた。
 インゴさんは実直な紳士で、ドイツのことなど伺いながら、楽しいひとときを過ごした。
 小生が気に入って頂戴したブルーの抽象のタイトル『RAN』について質問したら「ギリシャ神話に出てくる山羊の神」とのことであった。もう一つ銀座の印象を聞いたら「賑やかで驚いた。ちょっと住みたいとは思わない。」と語っていた。そうに違いない、ふとかつて旅したミュンヘンの美しい自然と品のいい街の佇まいを思い出した。(山下透)




空間表現が素晴らしい「三浦逸雄新作展」 東邦画廊

2006年02月15日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 2月6日~25日にかけ銀座の東邦画廊で「インテリオール(閉じられた空間)」をテーマに三浦逸雄展が開催されている。作家はスペインで学んだ後、現在は北海道で暮らしているが、かつて現代画廊での展覧会経験もあるという。

 作品は、目鼻が描かれていない人物が室内や屋外の空間にたたずんでいるといった、一見素っ気無いほど単調な世界にである。しかし、薄明るい光とグレーの色調に包まれた深遠な空間が静かな魅力を放って、見る者を惹きつける。内面の空間と外側の空間が調和よく響きあって美しい。

 インテリオールとはスペイン語で内部という意味だそうだ。今、生きてここにあること、その悲しみや喜びといったものを沈黙のなかに描こうとしているのだろうか。無駄なものを消し去ったストイックなまでの空間表現が私たちをやさしく包み込む。久し振りにいい絵を見た気がする。夕暮れの銀座を歩きながらの暫らくの時間、私はその余韻を楽しんだ。(山下透)



アートトラスト理事長鈴木才子さんと鈴木保画伯のこと

2006年02月15日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
 鈴木才子さんは特定非営利法人アートトラストの理事長である。若い頃は文学に憧れ宮本百合子文学学校に学んだり、ファッション関係の仕事など人生経験も豊富である。その後、次第に草の根型の芸術振興について強いミッションを抱くようになり、アートトラストを立ち上げ、活動を続けている。
 ご主人の鈴木画伯は1941年川端絵画研究所、翌々年東京美術学校に入学、ご本人によればまさに絵画三昧の幸せな人生を生きて来られた。2月14日、鈴木才子さんをお尋ねした際、鈴木保画伯ともゆっくりお話することができた。美術のことだけでなく、いろんな分野に関心をお持ちで 話題豊富な方でもある。

元々由緒ある家柄のご出身と伺っているが、その風貌やお話に気品を感じさせる。(山下透)


(写真左は鈴木保画伯と人物画作品、写真右の右端が鈴木才子さん)