
静物画のほか、壁の一面には裸婦、別の一面には洋服を着た女性、別の一面にはモノクロの裸婦。どの作品にも背景描写はありません。けれども、背景はいらないと感じさせるような雰囲気が漂っているように思いました。それはきっと、描かれている女性そのものの内面が漲っているからではないでしょうか。状況や暗喩の手を借りる必要など一切不要。そういうものに頼らなくとも、女性そのものの存在感だけで、もう充分。余計な情報にあふれている今、惑わされずに本当に大切なものを見失ってはいけないことをも、あらためて思い出させてくれます。色も削ぎ落された、墨だけの作品には、いっそうそれを感じます。そして、背景描写のない背景に向かって、女性の内面が波を投げかけていることも、背景には表れているように思いました。次回も楽しみです。(山本理絵)