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TAOコンサル『市民派アートコレクターズクラブ』

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不忍画廊の山田純嗣展・・絵画とは何かへの新たな挑戦

2014年09月01日 | 注目の現代美術作家と画廊散歩
この展覧会、作品にも惹かれるところがあったが、その制作プロセスに興味が湧き、二日続けて出かけてしまった。
展示されているのは、モネの睡蓮や雪舟の「秋冬山水図」ジャクソンポロックの「ONE・Number31」等、東西の名画を独自の手法で作りあげた作品である。制作技法はいささか難しい。・・まず名画の中の風景や静物などモチーフの立体を作り、これを撮影した写真に銅版画を重ね、樹脂を塗って作り上げるというものだが、その制作プロセスが難解で、アーティストトークも真剣に聞いてしまった。


つまり作家の言によれば、これらの作品は‶絵画の実体に触れることなく、写真から版へと反映・反転させて制作する”訳で、これはいったい絵画なのだろうかと考えてしまう。しかし、実は山田純嗣の狙いはそこにあり、これは「絵画とは何か」を探る挑戦なのだと思う。ポロックなどアメリカンアートの旗手たちが、かつて、印象派の絵画を乗り越え新たなアートに挑戦したように、作家は日本の現代美術に一石を投じようとしているのに違いない。


作品も魅力的だ。「睡蓮」はパールの絵具を使った蓮が光沢を放って立体的に浮き上がり、一味違う雰囲気を醸し出している。ポロックの「ONE」はニューヨークに行く度に見る好きな作品だが、山田作品は原画とは違うオリジナルな世界を実現しており、その独特のオールオーバーの表現が美しい。




なお、二日目は美術ジャーナリスト藤原えりみ氏との対談であったが、藤原氏の見識あるインタビューが山田氏の作品制作の姿勢や理念をうまく引き出し、レベルの高いアーティストトークであった。


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