映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

複製された男

2015年01月31日 | 映画(は行)
男の潜在意識の物語



* * * * * * * * * *

自分と瓜二つの人物の存在を知り、
自身のアイデンティティが失われていく男の物語・・・
う~ん、悔しいのですが
一度見ただけではその真意を読み取ることができませんでした。



大学講師のアダム(ジェイク・ギレンホール)は、
友人から紹介された映画のDVDを見ているうちに、
自分とそっくりな端役の俳優を発見します。
どうしても気になってしまった彼は、
その俳優・アンソニー(ジェイク・ギレンホール二役)の所在を突き止めます。
そしてコンタクトを取り、2人で逢うことに。
なんと2人は顔や体型ばかりでなく、
声も、そして後天的にできた胸の傷跡までが同じ。
コピーしたとしか思えません。
終盤では、アンソニーがアダムの恋人と、
そしてアダムが妊娠中のアンソニーの妻と、
それぞれ2人きりで逢うことになりますが・・・。



冒頭の謎の秘密クラブの集まりのシーン。
繰り返されるアダムの「独裁者」の講義。
有機栽培のブルーベリー
巨大なクモ・・・。


これはいったい何なんだろう。
どういうことなんだろう。
正直疑問符ばかりで、楽しむところまでに至りませんでした。
意味ありげなのですが、最後まで明確な答えは示されません。



というところで、本作のオフィシャルサイトを覗いてみたら・・・
ちゃんとヒントが出ていました。
ネタばらしはやめておきますが、
つまりは男の潜在意識の物語なのだ・・・ということで、
あ~、それなら納得。
なるほど~、と、遅まきながら面白い!と思えたりして。
妊娠した女性というのはやはり、
男を身動きできなく絡めとるクモなんですかね・・・(-_-;)


それにしても普通自分と瓜二つの人を見つけたら、
驚いてドキドキするかもしれないけれど、
あそこまで不安にかられたりはしないと思う。
そういうところを見事な緊張感と不安感を煽る描写、
なるほど、これが監督の力というものか。
同じ素材でも描き様によってはギャグにできるかも、
と思ったりもします。



本作は、ヒントで納得したところで、
再度見るべき作品のように思います。
そうすれば、もっといろいろな秘密が見えてきそう。
まあ、また、そのうちに・・・?

複製された男 (日本語、吹替用字幕付き) [DVD]
ジェイク・ギレンホール,メラニー・ロラン,サラ・ガドン
バップ


「複製された男」
2013年/カナダ・スペイン/90分
監督:ドゥニ・ビルヌーブ
原作:ジョゼ・サラマーゴ
出演:ジェイク・ギレンホール、メラニー・ロラン、サラ・ガドン、イザベラ・ロッセリーニ、ジョシュ・ピース

混迷度★★★★★
満足度★★★★☆