映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密

2020年02月06日 | 映画(な行)

すぐに真相が明かされるようなのだが、しかし。

* * * * * * * * * * * *

世界的ミステリ作家、ハーラン・スロンビー(クリストファー・プラマー)
85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で行われます。

その翌朝、書斎で遺体となって発見された老作家。
ある人物から依頼を受けた名探偵、ブノワ・ブラン(ダニエル・クレイグ)が調査に乗り出します。

スロンビーの息子や娘、その家族たち、専属の看護師・・・、
様々な人々の人間関係があぶり出されますが・・・。


ライアン・ジョンソン監督が、「アガサ・クリスティに捧げる」ということで
描かれたオリジナル脚本によるもの。
そのため、画面はどことなくレトロな雰囲気が漂うのですが、
スマホもあるれっきとした現在のストーリー。
ダニエル・クレイグによる名探偵は、007みたいにスタイリッシュではなくて、
南部なまりのオジサン(私には、実のところ聞き分けられてはいないけれど)。
なんだかこの人大丈夫なの?という若干の不安を感じさせながら、
イヤ、実は頭の切れるなかなか食えないヤツなのでした。



しかしこの事件、早々に真相がわかってしまうのです。
こんなに早くに「真犯人」がわかってしまって、大丈夫なのか? 
探偵が犯人をどのように追い詰めていくかという倒叙形式なのか?
・・・などと思って見ているうちに、
次第に事態はなおも混迷に向かい、思いがけない「裏」があったことがわかっていく。
まことに、一筋縄ではいかない、王道のミステリなのでした。
ミステリファンなら、必見。

あまり説明するとネタバレになってしまうけれど、
いかにもスロンビー殺害の動機がありそうな家族たちに引きかえ、
スロンビーの看護師・マルタ(アナ・デ・アルマス)のキャラが実にいい。
彼女は南米移民の娘で、職務熱心かつ実直。
スロンビーを敬愛しています。
そんな彼女をスロンビーもよく理解していた。
まあ、そういうところが発端の話ではあるのです。
そして彼女は、正直者のあまり、嘘をつくとすぐに吐いてしまう・・・。
彼女の造形があまりにも出来過ぎではあるけれど、それもユーモアのうち。
一番怪しくない者が犯人?
まあ、そこのところが見所ですよ。
楽しめました。

<シネマフロンティアにて>
「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
2019年/アメリカ/131分
監督・脚本:ライアン・ジョンソン
出演:ダニエル・クレイグ、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマス、
   ジェイミー・リー・カーティス、マイケル・シャノン、トニ・コレット、クリストファー・プラマー

本格ミステリ度★★★★★
満足度★★★★☆

 

 

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泣くな赤鬼

2019年06月21日 | 映画(な行)

ピンとこない・・・

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城南工業高校野球部監督・小渕(堤真一)は日焼けした赤い顔と熱血指導のため、
「赤鬼」と呼ばれていました。
甲子園出場まであと一歩というところまで行きながら、夢破れてしまいます。
そしてそれから10年。
小渕は50代、疲れた中年男となっています。
ある時、病院の待合室でかつての教え子、斎藤(ゴルゴ)(柳楽優弥)と再会します。
ゴルゴは優れた野球センスを持ちながらも努力を怠り、
高校も中退してしまってその後会うこともなかったのです。
今はきちんとした仕事があり妻と幼い子供がいて幸せそうなゴルゴ。
しかし彼は末期がんに冒されていたことがわかります。
赤鬼はそんなゴルゴのためにあることを企画します・・・。



なんだろう、本作はどうも「ピンとこない」のです。
結局何を言いたかったのかよくわからない。
どこが感動点だったのか・・・?


小渕の率いる野球チームに、ゴルゴと同じポジションを競う和田(竜星涼)がいました。
10年後に小渕と再会した和田は言います。

「監督は自分の夢のために俺たちを利用しただけ。
自分はゴルゴを奮起させるためのエサにされただけ。」

私にはまさにこれが真実に思えるのです。
小渕が現任である進学校の弱小野球部には
全く指導する意欲を失っているあたりを見ると・・・。


しかも小渕は、ゴルゴが野球部に復帰することを期待してはいましたが、
戻らない彼が高校もやめると聞いてもそっけなく、
その後の心配をしようともしません。
そして実際その後の彼のことを知ろうともしていなかった。



今考えてみると、本作はこのダメ男が自分のダメさに気づいて再起する物語であったわけです。
ところが、本作はどうもその筋が通っていない、
というかわかりにくくなってしまっている。
それはゴルゴがあまりにもいいヤツで、しかも死に向かうという重大問題を抱えているから。


チームのレギュラーから外されて、高校をやめると言っても
引き止めもしない監督、しかも担任を、普通なら恨むのではないでしょうか。
でもゴルゴにはそういう気配がまったくない。
病院で小渕に会ったときもひたすら懐かしんでいましたもんね。
ひょっとしてこいつバカ?と私などは思ってしまった。
でも現に彼はその時、並の人以上に充実した人生の途上にあったわけだから、
かすかにあったわだかまりのようなものも消えていたのかもしれない。
実のところゴルゴが今、不遇な状況にあってしかも病に冒されていて・・・
そして赤鬼をずっと恨んでいた、ということなら「物語」としてすごく納得できるのですけれど。

なんだかストーリーとしてちぐはぐに思えてしまいます。
しかも小渕が実際にやったことというのがどうにもしょぼい・・・。
名優を揃えながらも、ストーリー自体がしょぼいので、
これはもうどうにもなりません・・・。
え、重松清さん原作? 
じゃ、これを映画化しようとしたことがそもそもの間違い・・・。


<ユナイテッド・シネマにて>
「泣くな赤鬼」
2019年/日本/111分
監督:兼重淳
原作:重松清
出演:堤真一、柳楽優弥、川栄李奈、竜星涼、

満足度★★☆☆☆

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ノー・マンズ・ランド

2019年03月04日 | 映画(な行)

悲劇過ぎて喜劇

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2001年のアカデミー外国語映画賞受賞作品。


93年、ボスニアとセルビアでの紛争時。
両陣営の中間地点、すなわちノー・マンズ・ランドに双方の兵士チキとニノが迷い込みます。
その塹壕ではニノの同胞の男が地雷の上に横たえられており、
そこから起き上がれば即刻、地雷が爆発する仕掛けとなっているのです。
どちらの陣地からも射程距離で、逃げ出すことができず、
地雷の上の男をなんとか助けたいとも思う。
やむなく、どちらの兵ともわからないように
二人は下着姿になって白布を掲げ、救援を求めることにする。

すると、国連防護軍がやってきます。
中立を旨として、結局見ているだけで何もできなかった彼らが、
ようやく活躍の場を得たとばかりに。
やがて、爆弾処理担当の男もやってきますが、しかしこの種の地雷はもう解除しようがないという・・・。

本作、やがてチキとニノが友情を結ぶ話かと思えばさにあらず。
この二人はまず互いの国のやり方を非難。
スキあらばやっつけてしまおうと銃やナイフを奪い合い、傷つけあう。
そんなことののちにはイデオロギーではなく、
完全に個人間の感情として憎しみ合うようになって行きます。


そしてこの3人の塹壕を訪れる国連軍。
英語フランス語ドイツ語・・・様々な言葉がやり取りされますが、
誰もがさほど他国の言葉には堪能ではなく、かろうじて英語で意思疎通できるくらい。
そしてまたそこにマスコミが押し寄せて、まるでお祭り状態。
いや、そもそも戦争中なので、
この三人がこの塹壕にたどり着くまでに、もう何人もが死んでいるのですが・・・。
突然に人の命の重みが増したかとでも言うようで・・・、どうにも理不尽ではあります。


が、結局はやはりほんの軽い命だった・・・という事になってしまうのですけれど。
悲劇過ぎて、喜劇になってしまっている本作。
なんとも皮肉ではありますが、一見の価値ありです。

ノー・マンズ・ランド HDマスター [DVD]
ブランコ・ジュリッチ,レネ・ビトラヤツ,フイリプ・ショヴァゴヴイツチ,カトリン・カートリッジ,サイモン・カロウ
IVC,Ltd.(VC)(D)

<WOWOW視聴にて>
「ノー・マンズ・ランド」
2001年/フランス・イタリア・ベルギー・イギリス・スロベニア/98分
監督:ダニス・タノビッチ
出演:ブランコ・ジュリッチ、レネ・ビトラツ、フィリプ・ショバゴビイツ、カトリン・カートリッジ
皮肉度★★★★★
満足度★★★★.5

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虹の女神 Rainbow Song

2019年02月27日 | 映画(な行)

本当の気持を知ったときは、すでに遅く・・・

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大学時代、自主制作映画を撮っていた智也(市原隼人)とあおい(上野樹里)。
どうにも将来を思い描くことができない智也は、卒業後バイトを転々としていましたが、
あおいの誘いによって彼女と同じ映像制作会社に入社。
入れ替わりに彼女は退職し、渡米するのですが、
そこで飛行機事故に会い、亡くなってしまうのです・・・。

重大なネタバラシのようではありますが、あおいの死は冒頭から明かされるので・・・。
ストーリーはそこから時間をさかのぼり、
智也とあおいの出会いのシーンから語られていきます。


いつも二人でつるんでいて、気楽に話ができる“友人”だった二人。
智也はあおいに恋の相談をしたりもします。
サバサバとして、思ったことはためらわずに実行する、
智也からみても「強い」と思うあおい。
しかしそんな彼女の本当の「思い」は、とてつもなく乙女・・・。
でもそれを智也が知ったのはもうどうにもならない時。
なーんて切ないのでしょ。
さすがに泣きました・・・。



「結婚しよう。」という言葉は、時を間違えば残酷でもあるわけですね。
本人が本気でなく投げやりのような気持ちでこれを言うようなときに・・・。
「半分青い」の律くんが小さな駅で思わずそれを言ったときも、そんな感じでしたよね。
だからスズメがその場で断ったのはやはり必然だったと思う次第・・・。


さてこれは、岩井俊二さんプロデュース作品でしたか。
なるほど。
トーンが抑えられて淡々と進められるストーリー。
けれど、実は心の波が渦巻いている感じ、好きです。
ちなみに彼らが学生時代に作っていた短編作が、ラスト付近で流されるのですが、
これがまた最後の一言に“逆転”のあるユニークな作品。
そしてこれがまた、あおいの運命を予言するようでもあり、切ないのです。
たった一度の口づけのシーンもあり、泣かされますねえ・・・。

全然知らなかったのですが、思わず拾い物をしたような一作でした!

虹の女神 Rainbow Song [DVD]
桜井亜美,齊藤美如
アミューズソフトエンタテインメント

<WOWOW視聴にて>
「虹の女神 Rainbow Song」
2006年/日本/117分
監督:熊澤尚人
プロデュース:岩井俊二
原案・脚本:桜井亜美
出演:市原隼人、上野樹里、蒼井優、酒井若菜

ラブストーリー度★★★★★
切なさ★★★★★
満足度★★★★.5

 

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七つの会議

2019年02月14日 | 映画(な行)

グータラ社員、八角の謎

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池井戸潤さん原作の物語は、登場人物たちがあまりにも濃いというか暑苦しいので、
見るのにちょっとひるんでしまうのですが、でも見ればやっぱり面白いですよね。

東京建電営業一課の万年係長・八角(本当はヤスミだけれど、みなはハッカクと呼ぶ)(野村萬斎)は、
会議は居眠り、定時退社、有休消化も怠りなく、グータラ社員として知られています。
ある日、目下の坂戸課長(片岡愛之助)から怠けぶりを叱責された八角は、それをパワハラとして告発。
しかしなぜか主張が通り、坂戸は左遷させられてしまいます。
後任の課長として原島(及川光博)が着任。
原島は八角の動向に不信を感じ、部下・浜本(朝倉あき)とともに、八角の周囲を探り始めます。
次第に明らかになる企業の秘密と闇とは・・・。

本作は原島目線で語られていまして、この及川光博さん、ミッチーの存在には実に癒やされます♡ 
何しろ周りが皆濃いので、彼のごく普通というかむしろ気弱なくらいの佇まいがすごく安心できるのです。
彼が「オニ」かと思う北川(香川照之)のあまりの重圧に、吐き気さえもよおしてしまう。
しかし、企業人としても実に誠実で真っ当なこの人が、
この会社にいてくれて本当によかった~、と思ってしまいます。
また、彼の助手的存在になって助けてくれるのが、社内不倫相手に騙されて退職することにした浜本。
この二人のコンビネーションがまたいい。

八角は以前は超がつくくらいのエリート社員。
しかしある時からすっかりグータラ社員に成り下がってしまった。
その時何があったのか。
そしてまた今、ネジの発注についての八角のあやしい動き。
またそのことを上層部も黙認しているらしい・・・。
いくつかの謎解きを中心に進んでいくストーリーに、引き込まれてしまいます。



予告編にもある野村萬斎VS香川照之のあつーい対決シーン。
けれど意外にもこの二人は同期入社でありライバルであったのが、
ある出来事で道を分かち、しかしその時の苦い思いは共有していたという・・・
完全に正義と悪、勝ちと負けの関係ではない、というところは気に入りました。

様々な企業隠蔽、表沙汰にしたときのその処理費用を思えば二の足を踏むのはわからなくもないですが、
でもその挙げ句に隠蔽がバレてしまったとき、さらなる最悪の事態に見舞われる
・・・ということを胸に刻むべきでしょう。
人命に関わることならばなおさらに。

池井戸潤原作の様々なTVドラマでおなじみの豪華キャストも楽しめて、
やはり一見の価値はあります。


<シネマフロンティアにて>
「七つの会議」
2019年/日本/119分
監督:福澤克雄
原作:池井戸潤
出演:野村萬斎、香川照之、及川光博、片岡愛之助、音尾琢真、朝倉あき

企業の闇度★★★★☆
顔面対決度★★★★☆
満足度★★★★☆

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ナチス第三の男

2019年01月28日 | 映画(な行)

ある暗殺計画がもたらすもの

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実話を基にしています。
第二次大戦下ナチスドイツで、ヒトラー、ヒムラーに続く第三の男と称されたラインハルト・ハイドリヒ。
150万人を超えるユダヤ人虐殺の首謀者でもあります。
本作前半では、このハイドリヒ(ジェイソン・クラーク)が海軍を不名誉除隊となり(女遊びが原因)、
しかし妻・リナ(ロザムンド・パイク)の後押しで、ナチス党に入会しメキメキ頭角を現していきます。

そして後半では、チェコの亡命政府から密命を受けた二人の若者
ヤン(ジャック・オコンネル)とヨゼフ(ジャック・レイナー)の暗殺チームの動きが語られます。
二人はプラハへ潜入し、地元の協力者たちと合流。
ハイドリヒの日課などを綿密に調べ上げ、暗殺計画を練っていきます。
そしていよいよ、ハイドリヒ暗殺計画決行の朝・・・!

ハイドリヒは妻に押されてナチスで力をつけていきますが、
終盤ではもう妻でも制御できない、冷酷な怪物になってしまっています。
ここの彼の心境の変化というか、
もしかすると実は内心罪悪感にかられていたとか、
全然そうではないただのサディストだとか・・・
そういう踏み込んだ描写がなかったのがちょっと物足りない。



実は私「ハイドリヒを撃て」という作品を以前見ていまして、
そちらではずっとハイドリヒ暗殺計画の詳細を語っています。
それで、ものすごく衝撃を受けたのです。
かろうじて暗殺は成功したものの、その後の暗殺チームの運命と、
そしてまた報復で大量虐殺された民間人のこと等々・・・。



それを知っていたので、この度はさほどの衝撃を感じなかったのかもしれないのですが、
どうもハイドリヒ側と暗殺チーム側、双方を語ろうとしたことで、
逆にどっちも中途半端になってしまっているような気がします。
じっくり暗殺チームを追った「ハイドリヒを撃て」の方に私は軍配をあげたいです。

→「ハイドリヒを撃て」

<ディノスシネマズにて>
「ナチス第三の男」
2017年/フランス・イギリス・ベルギー/120分
監督:セドリック・ヒメネス
原作:ローラン・ビネ
出演:ジェイソン・クラーク、ロザムンド・パイク、ジャック・オコンネル、ジャック・レイナー、ミア・ワシコウスカ
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★☆☆

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日日是好日

2018年10月26日 | 映画(な行)

良い一日一日を重ねて行けば・・・

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エッセイストの森下典子さんが、25年に渡り通った茶道教室での日々を綴った
エッセイ「日々是好日 『お茶』が教えてくれた15のしあわせ」を映画化したものです。

本当にやりたいことが見つけられずにいた20歳大学生の典子(黒木華)。
母に勧められた茶道ですが、あまり乗り気ではなかったところ、
いとこの美智子(多部未華子)が乗り気で、共に通うことになります。
決まりごとだらけのお茶の世界。
一見おっとりの武田先生(樹木希林)ですが、
さすがにお茶の稽古では凛として厳しさも垣間見せます。
週に一度のお稽古が続き、季節が移り行き年月も移り変わって・・・。
就職や失恋、大切な人の死。
常に典子の人生とともにお茶はある。



いつの間にか考えずとも手が動き、水の音とお湯の音の違いを感じるようにもなっている。
そしてまた、何がやりたいのかもわからなかった典子は、
出版社のアルバイトからフリーのライターへ。
それで生活が安定したわけではないけれど、
自分の進むべき道が見えて、足取りもしっかりしています。
とにかく日々続けること。
毎日毎日が同じように見えたとしてもその良い日を重ねていけばきっと答えが見えてくる
・・・そんなことを言いたいのかもしれません。

樹木希林さんの最後の出演作ですね。
彼女こそは「日々是好日」をモットーに生きてこられたように思えます。
体調の悪さなど感じさせないお茶の先生としての佇まい。
もちろん何の役をやってもピカイチの樹木希林さんですが、
このような役で幕を閉じることができたのは幸いなことだと思いました。



<シネマフロンティアにて>
「日日是好日」
2018年/日本/100分
監督・脚本:大森立嗣
原作;森下典子
出演;黒木華、樹木希林、多部未華子、原田麻由、鶴見辰吾
お茶の世界の奥深さ★★★★☆
樹木希林さんを偲ぶ★★★★★
満足度★★★★☆

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寝ても覚めても

2018年09月20日 | 映画(な行)

納得行かない

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大阪に住む21歳朝子(唐田えりか)は、
麦(ばく)(東出昌大)と出会い、運命的な恋に落ちます。
ところがある日ふいに、麦は姿を消してしまいます。
2年後、東京に引っ越した朝子は麦とそっくりな顔の亮平(東出昌大)と出会います。
麦を思い出してしまうので亮平を避けていた朝子ですが、
いつしか亮平の熱意にうたれ、惹かれていくようになっていきます。

それからまた5年後、同棲している朝子と亮平は良い関係を続けていて、
そろそろ結婚を考えていました。
そこへ、麦がふいに姿を現す・・・。

まあ、お約束のようなストーリー展開ではあります。
そこで朝子はどうするのか、というのが問題なわけですよね。
ところが、私は全然納得がいきませんでした。
というか、あえてなのでしょうか、
朝子の決断のきっかけとか理由が作中で語られていないのです。
初めの決断と、その後の決断のことが。
だから単なる衝動で彼女が動いたのだとしか私には思えなかった。
そして、とんでもない愚かな女だとしか・・・。
本作を良作と思えるか否かは、この彼女の行動の意味を
私のように直截的にわかりやすく求めるのか、
それとも語られずとも自分で想像する余地のある方を好むのか、
その違いで決まると思います。
でも映画作品なのだから、直接的に答えを言わずとも、
そのヒントを、表情とか関節表現的なセリフとかで、匂わせるのが筋なのではあるまいか。
単に私がにぶいだけなのかもしれませんけれど、私には読み取ることができませんでした。

それから、東北の震災被害地にボランティアとして通う二人は良かったのですが、
それはどちらの発案で、どちらが主導的に動いていることなのか、
そのあたりもきちんと説明がほしかった・・・。
ここがきちんと描かれていれば、少なくとも東北で我に返る朝子の心情は
もう少しくっきりと浮かび上がったのではないかt思う次第。

結局私は、亮平の思いと5年の生活をないがしろにした彼女を許せないというだけなのかもしれません。
戻ればいいというものではない!!
だって私は、誠実で一途な亮平くんのファンになってしまったもので・・・。
それに比べて麦なんて、単なるアホですよ。
全く信用できない。
一生さすらってろ!

全然関係ないのですが、初めの方で朝子と麦がバイクで事故るシーンがありました。
奇跡的に二人は無傷だったという・・・。

私はあそこが問題で、実はあのときに二人は死んだか、昏睡状態に陥ったかして、
その後のストーリーは朝子の「脳内」のストーリーなのではないかと、ずっと疑っていたのです。
そうでないとあそこまで瓜二つの人物っていうのが嘘っぽすぎるし・・。
しかし、全然バイクの事故のエピソードは関係なかった・・・。
う~ん、ストーリーとしてはそのほうが面白くないですかね・・・?



<ディノスシネマズにて>
「寝ても覚めても」
2018年/日本・フランス/119分
監督:柴崎友香
出演:東出昌大、唐田えりか、瀬戸康史、山下リオ、伊藤沙莉
裏切り度★★★★★
満足度★★☆☆☆

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なくもんか

2018年04月15日 | 映画(な行)

自分を偽り続けた心の開放方法

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幼い頃父に捨てられた祐太(阿部サダヲ)は、
東京下町善人通りの惣菜屋「デリカの山ちゃん」の店主夫婦に育てられました。
今では店主の後を継ぎ、商店街を盛り上げています。
いつもニコニコと笑い、無類の働き者で、
人に頼まれたことは決して嫌と言わないというお人好しぶり。

ある日、もと店主夫婦の一人娘徹子(竹内結子)がふらりと舞い戻ってきて、
祐太と結婚することになります。
子供の頃からなんとなく気にはなっていた2人なのでしたが、
徹子の方は家を出ていた間に色々あったようで、2人の子供連れ・・・。

さて、祐太には生き別れになっていた弟・祐介(瑛太)がいて、
今は人気お笑い芸人「金城ブラザーズ」の一人として活躍中。
祐太は弟が見つかったことを歓びますが、
弟の方もこれまで惨めな人生を耐え忍んできていて、いまさら兄など要らないと反発を見せます・・・。
そんなころ、祐太はうなだれ疲れ果てて日曜の夜に姿を消し、
月曜の朝、見違えるように元気を取り戻して戻ってくるようになりますが・・・。

つまり祐太は、店のお金を持って姿を消してしまった父の息子であるのに、
この店に置いてもらったこと、それなりにかわいがってももらったことに
必要以上の恩義を感じており、
とにかく周りの皆に好かれたい、認められたい、その一心でここまで来たわけなのです。
どんなに辛い時もこの家では決して泣かない、と心に決めて。
けれど、そんなことばかりではどこかに無理が出る・・・。
彼の心の開放方法とは・・・?



さすがクドカン作品。
たしかに面白い。
けれども・・・なんだかいろいろ詰め込みすぎて焦点がボケてしまったような気もします。
祐太の生き方について、これはもう文句ない。
でも弟のこと――お笑いコンビの相方を兄として慕っていること――とか、
徹子の人生――実はもとはものすごいデブだったのが、見違えるようにスマートになってと現れる。
そして子どもたちの父親の正体!――。
また、祐太が泥棒扱いされ、結局あれだけ尽くした商店街の人々にも信頼されていなかったこととか・・・。
一つ一つは面白いけれども、結果、祐太の秘密の衝撃度が薄れてしまったかも。



なくもんか 通常版 [DVD]
阿部サダヲ,瑛太,竹内結子,塚本高史,皆川猿時
バップ



<WOWOW視聴にて>
「なくもんか」
2009年/日本/134分
監督;水田伸生
脚本:宮藤官九郎
出演:阿部サダヲ、瑛太、竹内結子、塚本高史、片桐はいり
面白さ★★★★☆
満足度★★★☆☆

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ナチュラルウーマン

2018年03月20日 | 映画(な行)

ものでは証明できない、思い。

 

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この度のアカデミー賞、外国語映画賞受賞作品です。



ウェイトレスをしながらナイトクラブのシンガーとして歌う
トランスジェンダーのマリーナ(ダニエラ・ベガ)。
年の離れた恋人オルランド(フランシスコ・レジェス)と暮らしています。
2人で誕生日を祝ったその夜、
オルランドは自宅のベッドで意識が薄れ、亡くなってしまいます。
さて、そこからが問題。
オルランドの元妻や息子が現れ、家をあけ渡すように言われてしまいます。
葬儀に出ることも拒否されます。
マリーナとオルランドでかわいがっていた犬まで取り上げられてしまいます。
その上、マリーナにオルランドの殺害容疑がかかり、警察で取り調べられたりもします。



トランスジェンダーに対しての根深い偏見・差別・・・。
それは、これまでも多くの映画で取り上げられていますが、
こんなふうに人としての権利までもを奪い去られるほどの理不尽な有様には、
憤りを感じてやみません。
特にこのマリーナの強く美しいまなざしに、
私達は同調こそすれ、嫌悪感というのはあまりありませんね。



マリーナが普通の女性だったとしたら、なんの問題もないはず。
きちんと結婚していれば、当然家にはそのまま住むことができるでしょうし、
葬儀の出席を拒否されるなどということもありえない。
オルランドはその日、誕生日のプレゼントとしてマリーナに「イグアスの滝」への旅行券を渡すつもりでした。
けれど歳のせいなのか、どこかへしまい忘れて見つからなくなってしまったのです。
そして、マリーナはオルランドの遺品の中からロッカーの鍵を見つけます。
オルランドが行っていたサウナのロッカーの鍵。
マリーナは、そのロッカーに旅行券が置き忘れられているのではないかと思い、
サウナに向かいます。
一見は女性なので、女性用のロッカールームからこっそり男性用の方へ忍び込んでいく。
いや、それで問題はないはずなのですが、妙にドキドキしてしまいました。
誰かが気付いて騒ぎ始めるのではないかと・・・。
そしてその挙げ句、ロッカーの中は・・・!



まさかの展開なのですが、けれどマリーナは思う。
オルランドの思いはそんな「旅行券」で証明されるようなものではない。
間違いなく自分のなかに彼の思いは息づいている。
そのように思い定めてはじめて勇気が持てる、ということなのでしょう。
ステキな展開でした。



マリーナ役のダニエラ・ベガは自身もトランスジェンダーの歌手だそうで、
なるほどそれも納得。
素晴らしい歌声で、魅せられました!

<シアターキノにて>
2017年/チリ・アメリカ・ドイツ・スペイン/104分
監督:セバスチャン・レリオ
出演:ダニエラ・ベガ、フランシスコ・レジェス、ルイス・ニエッコ、アリン・クーペンヘイム、ニコラス・サベドラ

LGBTを考える度★★★★★
理不尽度★★★★★
満足度★★★★★

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ニュートン・ナイト

2018年02月24日 | 映画(な行)

長い戦いの始まり

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米、南北戦争の時代の実話をもとにしています。
衛生兵のニュートン・ナイト(マシュー・マコノヒー)は、
戦士した甥の遺体を故郷ミシシッピ州ジョーンズ郡に届けるため、南部軍を脱走しました。
悲惨な戦死者をあまりに多く見てしまったために、
戦争がすっかり嫌になってしまっていたのです。
故郷では南軍が農民から強盗のようにして食糧や物資を奪い取っていて、
その部隊とも衝突。
いずれにしても脱走兵なので、捕まるとマズい立場になってしまいます。
そんな時、沼地で黒人の逃亡奴隷たちと出会い、
そこをアジトとして、同じ脱走兵や近隣の食い詰めた農民たちとも手を組み、
やがて白人・黒人が平等に生きる「自由州」を名乗るようになっていきますが・・・。

この出来事はリンカーン大統領の奴隷解放宣言よりも以前のこと。
いつの時代にも、リベラルな心の持ち主はいるものですね。
ニュートン自身、特別に「優しい」人物というわけでもないのです。
自分たちの群れのためには、敵と闘うことは当然、
これもまた一つの戦争となってしまうわけですが。
彼が南軍を嫌ったのは、ただ
「綿花で儲けている金持ちのために、貧乏人が戦争で命を落とし奴隷が虐げられている」
から、なのです。
自身が信じるもののためには闘い続ける、
そういう強い信念の男の物語。



さてところが、南北戦争が終結し、奴隷解放宣言が出されてもなお、
彼の闘いは終わらない。
奴隷ではなく「年季奉公」のような形で、やはり黒人は白人に支配され続けるし、
黒人が選挙権を得てもそれに反感を抱くKKK団に狙われ、
投票に行くにも命がけ。

さて、このようなストーリーの合間に、
時を100年以上下った時代のある裁判の様子が表されます。
ニュートン・ナイトの数代後の男性が、
「黒人の血が混じっている」が故に、白人女性との結婚が無効である
と、言い渡されているのです。
始めのうちこのシーンがなんだか唐突に思えて戸惑ってしまったのですが、
次第に深い嘆息と共に見るようになりました。
つまりこの100年の長きに渡っても、
ニュートン・ナイトの闘いはまだ終わっていなかった、ということなのです。
根深い差別と迫害の物語・・・。



アメリカで公民権法が成立したのが1975年ですから、
奴隷解放宣言から本当に100年以上なんですね・・・。
アメリカの歴史を知る、これも意義深い作品の一つです。



ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男 [DVD]
マシュー・マコノヒー,ググ・ンバータ=ロー,マハーシャラ・アリ,ケリー・ラッセル
TCエンタテインメント



<J-COMオンデマンドにて>
「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」
2016年/アメリカ/140分
監督:ゲイリー・ロマ
出演:マシュー・マコノヒー、ググ・バサ=ロー、マハーシャラ・アリ、ケリー・ラッセル
歴史発掘度★★★★★
満足度★★★★☆

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ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!

2018年01月20日 | 映画(な行)
彼らのチームワークと豪胆さに乾杯!



* * * * * * * * * *

1995年、紛争末期のサラエボ。
マット率いる5人のネイビーシールズは、
湖の底に重さ27トン総額3億ドルのナチスの金塊が眠っているという情報を得ます。
メンバーの一人が恋に落ちた地元の女性・ララは、
その金塊を難民の救済に使いたいと提案。
敵陣のただ中、水深45メートルの沈んだ村から8時間以内に
27トンの金塊を運び出すというミッションに、彼らは立ち向かう!!



リュック・ベッソン原案・製作による、痛快アクション・アドベンチャー。
まずはオープニングエピソードで度肝を抜かれます。
まあ普通、登場人物の紹介がてら、驚きのアクションを繰り広げながらも、
サラッと描かれるところなのですが、
本作のそれは、長くて実にハード。
戦車で敵陣の街を疾走。
橋の上で前後を敵に挟み撃ちにされると、いきなり戦車は川へダイブ。
そこからの脱出劇というのだからボーゼン・アゼン。
なんとも命知らずのヤローどもであります。
彼らのチームワークと豪胆な心臓をまずはしっかりと印象づけますね。



そして、いよいよ湖底からの金塊引き上げ作戦は、
軍の作戦としてではなく、全く彼らの個人的な活動として行われます。
地元のためと言いながらも、もちろん自分たちの取り分も計算済み。
但し軍の機材を使わなければならないので、そこはこっそりと手はずを整えて・・・。
27トンもの金塊を一体どうやって引き上げようというのか、
また、計画の実行が危ぶまれたり、やっと穴を開けた金庫がカラだったり・・・。
数々の困難を乗り越えて計画は進みます。
現場が水中というのも、それだけでスリルたっぷり。
はい、しっかりと楽しませて頂きました。



J・K・シモンズ演じる少将さんがまた、いい味出してるのですワ。
ラストの彼の決着の付け方が、実に絶妙かつ心地よい。



<ディノスシネマズにて>
「ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!」
2017年/フランス・ドイツ/105分
監督:スティーブン・クォーレ
製作・原案:リュック・ベッソン
出演:サリバン・ステイプルトン、チャーリー・ビューリー、シルビア・フークス、ジョシュア・ヘンリー、J・K・シモンズ

痛快度★★★★★
スリル度★★★★☆
満足度★★★★☆
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ノクターナル・アニマルズ

2017年11月10日 | 映画(な行)
顕著な女性嫌悪



* * * * * * * * * *

現代アートギャラリーのオーナー、スーザン(エイミー・アダムス)は、
最近夫とうまく行っていません。
そんな彼女の元に、20年前に離婚したもと夫のエドワード(ジェイク・ギレンホール)から、
小説の原稿が送られてきます。
以前から小説家を目指していた彼でしたが、ずっと芽が出なかった。
その彼が自信の新作を完成したという。
一人で過ごす終末。
所在なくスーザンはその小説を読み始めますが、
次第にのめり込んでいきます。



本作はその小説の内容を、
スーザンとエドワードの出会いから別れまでのシーンを挟みながら追っていきます。


その小説の冒頭シーンがこうです。
夜、車通りの少ない田舎の道を行く一台の車。
夫婦と10代の娘が乗っています。
その主人公・トニーに、スーザンのもと夫エドワードと同じ人物
(ジェイク・ギレンホール)を配しているところがミソですね。
それだけスーザンが小説とほぼ同化しながらのめり込んでいるということを表しています。
さて、その車の行く手を阻むようにちんたらと走っている車が2台。
トニーはイライラしてついクラクションを鳴らしてしまいます。
さてところが、そのことが相手の車を怒らせた。
煽り運転が始まり、ついには車ごと体当たり、
とうとう停車を余儀なくされます・・・。
車から降りてきたのはいかにもたちの悪そうな若者たち。

警察を呼ぼうにも、ここは携帯も圏外の田舎・・・。
こちらは頼りにはならなさそうな男が一人と女二人・・・。
状況は最悪。
そして、実際に悲劇が・・・。



うーん、あまりにも日本の今日的光景なので、苦笑いしてしまいました。
何処も同じか・・・。
いやまあ、とにかくこれはあくまでも「小説」の中の話です。
ですが、スーザンはその異様な迫力ある描写に魅せられてしまう。
エドワードはこんな才能を秘めていたのか・・・と、今更見直すのです。
そんな矢先、今の夫との電話のやり取りで、彼が女と一緒であることに気がついてしまう。
そんな反動もあって、エドワードに連絡を取ってしまうスーザン・・・。



本作で、中空に投げ出されたような気にさせられるのは、ラストのところです。
「え、これで終わり?」という終わり方なのですが、
でもそこで考えてしまう。
結局この小説を送りつけてきたもと夫、エドワードの意図は何だったのか?
なんだか怖い気がしてきます。


内田樹氏ではないけれど、私、本作には非常に「女性への悪意」を感じます。
そもそも冒頭シーンに驚かされますよね。
肥満体の女性(しかも若くはない)が、全裸で踊るのです。
垂れ下がった胸、お腹や、たぷたぷの皮膚が揺れる・・・。
それがスーザンが手がけたアート作品なのですけれど。
確かにインパクト大ですが美しいとはいい難い・・・。
見ようによっては「女の正体なんてこんなもの・・・」と言っているようでもあります。



仕事で成功し、家事などしない「女」。
その実の孤独を克明に浮かび上がらせる。
そしてさらに追い打ちをかけるようなラスト。
小説中でさえ、女性はレイプされた上に殺されるというひたすら悲惨な描き方。
男性の、「女性嫌悪」の表象としか思えない作品であります。
逆に言えば、自立し男性以上の仕事をしようとする女は
これぐらいのことを覚悟しなければならない、ということか・・・。
まあ、面白くはあったけど・・・。


<ディノスシネマズにて>
「ノクターナル・アニマルズ」
2016年/アメリカ/116分
監督:トム・フォード
原作:オースティン・ライト
出演:エイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホール、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ・フィッシャー
女性嫌悪度★★★★★
満足度★★★.5
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ニューヨーク、愛を探して

2017年10月23日 | 映画(な行)
母と娘のドラマ



* * * * * * * * * *

ニューヨークを舞台に、様々な母娘の関係を描く群像劇。
日本未公開。


★女性カメラマン・リグビーは、人気ロックバンドのリーダーにその腕を買われ、
ツアーへの同行を依頼されるのですが、ちょうどそんな時、
不倫関係を解消したばかりの男性の子どもを妊娠していることがわかります・・・。


★下着デザイナーのジョージナは、仕事も順調、恋人ともうまく行っています。
しかしある日届いた1通のメール。
このことで彼女は自らのつらい過去と向き合うことになります。


★母親を亡くしたレベッカ。
しかし実はなくなったのは「祖母」で、
「姉」と呼んでいた人こそが実の母親だったことを聞かされ、愕然とします・・・。


主にこの3人の女性を中心に、交互にストーリーが進展してゆきます。
アメリカ作品では父と息子の関係性がテーマとなることが多いのですが、
母と娘についても色々ありますね。
河合隼雄先生の言によれば、
母性は時には「グレートマザー」として、すべてを飲み込んで死に至らしめる、
というような性格を持つ。
そうしたことの反発で、母と娘がうまくいかなくなることもありがちです。
そして母の「産む」か「産まざるか」という選択の問題もあります。
さらにまた、自分が産んだ子どもを育てられないときの引け目・・・。
女性として生きる上で、娘である立場、母である立場、双方を経験することが多いわけで、
そこには確かに無数のストーリーがありそうです。
そしてそこには正解なんかない。
迷って、悩んで、自分の道を探すしかないのだろうな・・・。

<WOWOW視聴にて>
「ニューヨーク、愛を探して」
2016年/アメリカ/92分
監督:ポール・ダドリッジ
出演:セルマ・ブレア、コートニー・コックス、クリスティーナ・リッチ、スーザン・サランドン、ミラ・ソルビノ

それぞれの人生度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017年10月16日 | 映画(な行)
REBORNとともに楽しむ



* * * * * * * * * *

2012年、養護施設出身の敦也(山田涼介)、翔太(村上虹郎)、幸平(寛一郎)は、
悪事を働き、一軒の廃屋に逃げ込みます。
そこはかつて人々からの悩み相談を受け付けていた「ナミヤ雑貨店」。
そんなこととは知らない彼らでしたが、深夜、シャッターの郵便受けから何かが投入されます。
それは1980年に書かれたと思われる悩み相談の手紙。
彼らはわけがわからないながら、試しに返事を書いてみますが・・・。
何人かからの相談の手紙と返事のやり取りを続けるうちに、
次第に相談者たちと彼ら3人の育った養護施設「丸光園」とのつながりが見えてくるのです。
この奇蹟の一夜で描かれる時を越えた全体像とは・・・?



私は原作を読んでいたので、映画は後にレンタルでもいいかなあ・・・
と思っていたのですが、山下達郎さんの曲に惹かれて、見てしまいました。
原作についてはこちらを・・・
→「ナミヤ雑貨店の奇蹟」


全体には大筋を捕らえて、うまくまとまっていると思いました。
やはり、テーマ曲「REBORN」がいいですね。
この曲はエンドロールのときだけ出てくるのではなくて、
はじめからしっかりと伏線となって出てくるのです。
はじめの相談者・松岡(林遣都)が作曲した曲として。
作中、何人かがこの曲を口ずさみ、歌います。
でも林遣都さんより、鈴木梨央ちゃんのほうが上手かった気がする・・・。
そしてまた、門脇麦さんの歌。
これが、プロの歌い手さんのような技術はないけれども、でも、さすが女優さん。
しっかりハートが込められていて、結構泣けるのです。
・・・で、本当の最後にいよいよ山下達郎さんの曲。
この曲はラジオなどで何度も聞いていたのですが、
こうしてストーリーと絡めて聞くとまた一段といいものですねえ・・・。
たっぷりとこの作品の世界観の余韻に浸らせていただきました。





ところで、山田涼介さんと村上虹郎さんはおなじみでよく分かるのですが、
もう一人、寛一郎さんというのがわからなかった。
後に調べてみたら、なんと佐藤浩市さんの息子さんなんですね! 
こりゃー、サラブレッドだわ・・・。
そのうちNHKの朝ドラなんかにでてくれば、ぐんと知名度が上がると思います。
きっと、そうなりますよ・・・。

<ディノスシネマズにて>
「ナミヤ雑貨店の奇蹟」
2017年/日本/129分
監督:廣木隆一
原作:東野圭吾
出演:山田涼介、村上虹郎、寛一郎、西田敏行、尾野真千子、成海璃子、門脇麦、林遣都
原作の再現度★★★★☆
音楽との親和度★★★★★
満足度★★★.5
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