映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

キセキ―あの日のソビト―

2017年07月31日 | 映画(か行)
GReeeeNって、何?という人でもOK



* * * * * * * * * *

メンバーが歯科医師ということで顔出しを一切しない、異色のボーカルグループGReeeeNと
その代表曲「キセキ」の誕生秘話。


厳格な医師の父に認められず、家を飛び出したミュージシャンのジン(松坂桃李)。
しかし、メジャーデビューのためには今までの自分たちのスタイルを壊し、
売れすじ路線の音楽を作らなければならない
ということで、ジンのチームは空中分解してしまいます。

一方、ジンの弟ヒデ(菅田将暉)は、父の思いを受けて、歯科医師になろうとしていますが、
大学入学後、友人たちと音楽を始めます。

ジンは弟の音楽の才能を知り、後押ししようとします。
しかしそのことを父親に言えない2人は、顔出し無しのCDデビューをするのです。



もともと顔出しのないGReeeeNなので、
本作で俳優が彼らを演じるのに全然違和感がなく、
もってこいの企画だったのではないかと思います。
松坂桃李さんも菅田将暉さんも、歌がとても良かったですし。



「音楽なんかくだらない、何の役にも立たない」と言い切る父親。
それに反発する息子。
自分の進もうとしている未来。
挫折と気付き・・・
音楽だけではなくて、普遍的な青春のストーリーに仕上がっています。
「キセキ」の曲、改めて聞くとまたいいですね!!



いかにも好青年っぽい役柄の多い松坂桃李さんが、
ここではちょっとやさぐれた感じもある大人の男。
なんだか良いのです・・・。
逆に割とエキセントリック役なの多い菅田将暉くんのほうが、
親の気持ちを汲もうとするおとなしめのコというのも面白い。
まあ、この家の場合は、兄と父親の諍いをずっと見てきたので、
自分のやりたいことをやれなくなってしまった、というところもありそうですけれど。



しかし、松坂桃李と菅田将暉が自分の息子で家にいたりしたら、
私は毎日が嬉しくて泣いてしまいますワ・・・。


そして、父親がそれと知らずに息子らを認める発言をするというのが
またなんとも心憎いラスト。
オバサンには馴染みにくい作品かと思っていましたが、
すごく良かった!!

キセキ ーあの日のソビトー 通常版 [DVD]
松坂桃李,菅田将暉,忽那汐里,平祐奈,横浜流星
Happinet


「キセキ―あの日のソビト―」
2017年/日本/111分
監督:兼重淳
出演:松坂桃李、菅田将暉、忽那汐里、平祐奈、横浜流星、小林薫
GReeeeN解説度★★★★★
満足度★★★★☆
コメント

ザ・マミー 呪われた砂漠の王女

2017年07月30日 | 映画(さ行)
及第点ではあるけれど



* * * * * * * * * *

1932年ホラー映画「ミイラ再生」を
新たに生まれ変わらせたというアクション・アドベンチャー。



古代エジプトの王女アマネット(ソフィア・ブテラ)は、
次期女王になる約束が果たされないことに怒り、
闇に落ち絶大な魔の力を得るのですが、危うく食い止められ、
生きたまま石棺に封印されます。
その2000年後。
中東の戦闘地帯でその石棺が発掘されるのです。
米軍の偵察兵ニック(トム・クルーズ)は
考古学者ジェニー(アナベル・ウォーリス)の発掘に立ち会い、
輸送機で石棺をイギリスへ運ぼうとします。
しかしその途中、トラブルで機が墜落。
ジェニーはパラシュートで脱出しますが、ニックは・・・!?





出演がトム・クルーズとなればやはり見てしまいます。
TVの予告編もかなり期待を煽りますし。
・・・しかし、どうなのか。
実際に見てみると、一番スリルがあって面白い場面はすでに予告編で見ていて、
そこが最大限・・・。
期待以上のものは特になし、という感じでした。



瞳が4つ、体中に象形文字のタトゥというアマネットの造形は魅力的ですが、
「ミイラ」感には乏しい。
ミイラといえばやはり、あのホータイぐるぐる巻きですよね・・・。
蘇ったアマネットは、人の生気を吸い取って活力を取り戻し、
吸い取られた方はゾンビになってしまう。
ミイラ話なのかゾンビ話なのかよくわからない。
そしてこの後も様々なモンスターを登場させるシリーズとなるそうで、
そのための立役者ジキル氏(ラッセル・クロウ)も登場。
う~ん、この後はレンタルというかオンデマンド視聴で十分かなあ・・・。
3枚目に近いトム・クルーズも悪くはないけれど・・・。



ハラハラ・ドキドキ度で言えば、「インディー・ジョーンズ」のほうがインパクトは大きいかな? 
というか、大きかった。
今はかなり高度なCGを見ても全然驚かなくなってしまっています。
そういう意味で、昨今のこういう作品は分が悪そうです。



「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」
2017年/アメリカ/110分
監督:アレックス・カーツマン
出演:トム・クルーズ、ソフィア・ブテラ、アナベル・ウォーリス、ジェイク・ジョンソン、ラッセル・クロウ
ハラハラ・ドキドキ度★★☆☆☆
満足度★★★☆☆
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「ポーの一族 春の夢」萩尾望都

2017年07月29日 | コミックス
何のために彼らは“在る”のか・・・

ポーの一族 ~春の夢~ (フラワーコミックススペシャル)
萩尾 望都
小学館


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名作「ポーの一族」40年ぶりの新作続編!
不朽の名作「ポーの一族」から40年。
ついに新作の続編がコミックスに!!
永遠の時を生きるバンパネラ(吸血鬼)であるエドガーとアランは、
1940年代戦火のヨーロッパ、
イギリス郊外でナチスドイツから逃れてきたドイツ人姉弟と出逢う・・・
そしてその出逢いが新たな運命の歯車をまわすーーー

* * * * * * * * * *

本巻の発売前に、私は予習として久々に「ポーの一族」を読み直していました。
40年ぶりの新作・・・。
まさか今頃になってエドガーやアランと再開できるとは。
私の持っている本はもうすっかり紙も変色して黄ばんでおり、
いかにも年代物です。
でも、これだけは絶対に捨てることはおろか、
BOOK OFFに売り飛ばすなどとは思いもせず、
ずっと手元においてありました。


さて本巻、時代は第二次大戦中のイギリス。
作中では戦火の描写はありませんが、
私はちょうどこの時コニー・ウィリスの「ブラックアウト」を読んでいて、
まさに時代が重なりました!!
本作に登場するブランカという少女はユダヤ人で、
ドイツから難を逃れてイギリスにやってきていたのです。
その少女がエドガー、アランと出会う。


本作は、これまでの「ポーの一族」の中のほんの一つのエピソードなどではありません。
バンパネラという謎の生き物、いえ、生き物ではないですね、
謎の"存在"の秘密にも少し触れながら、
また新たな仲間を得て今後につながっていく、
全体の中でも根幹的なパーツです。


"バンパネラ"にも、各国いろいろな系統があるようで、
今回登場するファルカはスラヴ系で800年も生きているらしい・・。
そして、超能力的な力を持ち合わせてもいて、なかなか心強いやつです。
しかしそんな彼もまた、時にその800年前の心の傷が今もまだうずくというあたり・・・、
不老不死の残酷さが浮かび上がる気がします。


それからちょっとショッキングなシーンが。
エドガーが怖い顔したオバサンに陵辱されている・・・(ToT)
いえ、陵辱という言葉は言い過ぎで、
気(エネジ―)を与えていたのですが・・・。
不老不死とはいえ、バンパネラもきちんとエネジーを補給しないと、
次第に劣化していくもののようです。
キング・ポーの血を引くエドガーは、
仲間たちに時々自身のエネジーを分け与える義務を課されているのです。
孤独ではあるけれど自由・・・そう思っていた彼らの生活ですが、
人の世のしがらみ以上の制約、不自由さ。
一体何のために彼らは"在る"のか・・・。


私、ポーの一族の新作と聞いたときには、
この“現在”を生きるエドガーを想像してしまいました。
もし今もなお、エドガーがいるとしたら、どんなでしょう。
こんな風にSNSが張り巡らされたなかで、
彼らが生きていくことは可能だろうか・・・?
古い伝説やロマン、そうしたものと、このICTの発達した現代は融和できるのか、
そんなところを見てみたかったのです。


萩尾望都さま、次にはぜひそういうストーリーを・・・。

「ポーの一族 春の夢」萩尾望都 フラワーコミックススペシャル
満足度★★★★★
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「流されるにもホドがある キミコ流行漂流記」北大路公子

2017年07月28日 | 本(エッセイ)
流れようにも流れられない

流されるにもホドがある キミコ流行漂流記 (実業之日本社文庫)
北大路 公子
実業之日本社


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好きなものは、おビールとお相撲と蟹など。
平和と安定を好むキミコ氏が、まったく興味のない「流行」に挑んだ!
人気アプリに触発された感涙の人情話、
某流行ランキングに従い、北陸新幹線に乗って金沢を目指す旅行記、
かの名作に想を得たハロウィン物語、
北海道の土産についての考察と試食レポなど。
多彩な筆致を堪能できる傑作エッセイ集。


* * * * * * * * * *

キミコさんの本。
麻薬のようについ惹きつけられてしまいます。
ただ、この間読んだ「日記」のほうはややマンネリ気味だなあと感じたのですが、
エッセイはやはりサスガにさえています。


本巻ではキミコさんが「流行」について語る・・・
というか、語れないことを語った本。
例えば『日経トレンディ』の2015年ヒット予測ランキング。

1グルメ"健康"系フーズ
2セルフィースマホ
3北陸トライアングル
4ライスミルク
5得するスマートウエア

・・・などとあるのを、キミコさんがどういうものであるのか予測。
ハナから何のことかはわかっていません。
しかし、それは何もキミコさん一人の恥ではない。
私も立派にわけがわかりません。
でもわからなくてもいいんですよ・・・
多分それらは少しは流行ったのかもしれないけれど、
2017年の今見ても何のことかわからない。
つまり、忘れられてそのまま消え去っていったということで、
流行なんか知らなくても全然OKということですね、結局。


そんな中で、私にもバッチリわかってしまったのは「縁側日記」という章。
やけに落ち着いたトーンで、庭にネコを呼び集めることにした
・・・というその話は、分かる人にはわかる、
ゲーム「ねこあつめ」の話なのでした。
わからない人には全然わからないでしょうけれど・・・。
私も一時はずいぶんハマったのですが、さすがに飽きた・・・。
まあ、流行りモノというのはそんなものですね。

「流されるにもホドがある キミコ流行漂流記」北大路公子 実業之日本社文庫
満足度★★★.5
コメント

四月は君の嘘

2017年07月27日 | 映画(さ行)
ネクラ男子に元気印少女



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この日あまりの暑さに、難しい作品はイヤだな~と思い、
胸キュン路線を見てしまいました。
でもまあ、音楽に関わる青春モノなので、これなら良かろうと・・・。
ところがですよ、なんと私が常々避けるようにしている
「病気のオンナノコ」のストーリーでもあったのです。
ガ~ン・・・。



母親の死がきっかけでピアノが弾けなくなっていた、
元天才ピアノ少年の公生(山崎賢人)。
彼は、天真爛漫なバイオリニスト、かをり(広瀬すず)と出会います。
かをりは嫌がる公生を強引にバイオリンコンクールのピアノ伴奏者として指名。
恐る恐るピアノを弾き始める公生ですが、
次第につらい母との記憶と向き合うようになっていきます。
そしてまた、かをりにも心惹かれて行きますが・・・。



「母親の死で、ピアノが弾けなくなる」つい最近読んだストーリーだなあ・・・と。
まあでも、特に問題はありません。
かようにピアノの道はメンタルということか。
まあ、普通に楽しめる(悲しめる?)作品。
しかし私が一番泣けたのは、公生の幼馴染の椿(石井杏奈)が、
自分の公生に向ける恋心を押し包んで、
公生にかをりのところへ行かせようとするシーン。
石井杏奈さんの名演技に圧倒されました。
いかにも気の強そうな顔つきのこの方は絶対に見覚えがある・・・と思ったら、
「ソロモンの偽証」とかテレビドラマ「仰げば尊し」でも見かけました。
正直、本作では広瀬すずちゃんより演技は良かったな。
今後も注目です。



ところで、この山崎賢人くんの有馬公生、
「3月のライオン」の神木隆之介くんの桐山零、
「ちはやふる」の真剣佑の綿谷新、
みんな同じなんですけど・・・。
溢れる才能を持つネクラのオクテ。
メガネ。
もろ草食系。
そのオトコノコを、元気なオンナノコが励まし、支える
・・・っていうのが昨今の少女漫画の定番なんですかねえ・・。
といいつつ、私はきらいじゃないけど(^_^;)

四月は君の嘘 DVD 通常版
広瀬すず,山﨑賢人,石井杏奈,中川大志,甲本雅裕
東宝


「四月は君の嘘」
2016年/日本/122分
監督:新城毅彦
原作:新川直司
出演:広瀬すず、山崎賢人、石井杏奈、中川大志
音楽の楽しみ度★★★☆☆
満足度★★★☆☆
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「バーナム効果であるあるがある」川原泉

2017年07月25日 | 映画(は行)
長く待ったワリには・・・

バーナム効果であるあるがある (ヤングアニマルコミックス)
川原泉
白泉社


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川原泉6年ぶりの新刊コミックス!
彰英高校バレー部の真世と事務長の鷹彦、
そして謎の火星人・ルルーニュの不思議な交流を描いた「バーナム効果であるあるがある」、
そして弓道部に入部した新入生・凜さんを描く「これから私は武士になる」の2編を収録。


* * * * * * * * * *

川原泉さんの「~がある」シリーズの最新刊。
えーっ? 
6年ぶり?
しばらくぶりとは思ったのですが、6年も経っていたとは!!
6年といえば生まれた子供がまもなく小学生になるというところですよ。
もうランドセル買ってますよ!!
ファンとしては待ち時間が長すぎ・・・、
だから全集が出たのか・・・。


さて本巻は、これまでと同じく彰英高校が舞台なのですが、
なんと高校の驚くべき隠された真実が明らかにされます!!
この高校の旧講堂にはすんごいものが隠されていて・・・、
謎の異星人ルルーニュが登場します。
ふう、面白くはあるけれど、
これまで地道に進んできたストーリーからはかなりの飛躍。


そして、もう一話「これから私は武士になる」は、
弓道を始めた少女のストーリー。
ややマイナーでよくわかっていなかった弓道のうんちくが色々と語られます。
が、おどろくべきことにこれが、「つづく」となっていて、完結していないのです。
それはないよ~。
この続きが読めるのはまた6年後? 
そもそもこれ「~がある」シリーズではないのか?
悪いけれど、そんなわけで本巻、
私にとっては満足度が低いです。

「バーナム効果であるあるがある」川原泉 白泉社
満足度★★☆☆☆
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ディーパンの闘い

2017年07月24日 | 映画(た行)
意志のあるところに道は拓ける



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何やら歴年表の暗記しなければならない事柄のような題名だなあ・・・
と思ったのですが、ディーパンは人の名前でした・・・。
現代の物語です。


元兵士のディーパンは内戦下のスリランカからフランスに渡るため、
ヤリニという女性とイラヤルという少女、3人で偽装家族となりました。
難民申請のためには家族であることが必要だったようで、
それぞれ身寄りがなく、初めて出会った間柄ながらも、
内戦の地を離れ少しでも穏やかな生活をするために
やむなく夫婦とその娘を装うことにしたのです。



難民の物語は新しい場所についたところでハッピーエンドになるわけではありません。
そこからがまた、新たな苦労の始まりなのです。
言葉もろくにわからないフランス・パリ郊外で、
ディーパンは住み込みの集合団地の管理人の職を得ます。
しかしそこはスラム化した極めて治安の悪い場所。
建物はオンボロだし、エレベーターは故障して動かない。
怪しげな男たちがたむろしています。
ディーパンはそんなところでも地道に仕事をこなし顔見知りもできてきて、
次第に馴染んでいきます。
娘イラヤルは始め学校へ行くのも嫌がっていたのですが、
次第に慣れて、大人二人にフランス語を教える役を担ったりします。
やはり若い人の順応力はすばらしい!
一番言葉に不安のあったヤリニも、団地内の家の家事を手伝う仕事を始め、
やりがいも見出していきます。
全く赤の他人の3人が、それぞれに自分の生活の場を見出し、
次第に家族としての絆が芽生えていきます。
そしてあるときにはついにディーパンとヤリニが本当の夫婦になりますが・・・。



そこがあまりにも危ない地であったのが間違いの元ではありました。
文明の大都会のはずのパリも、
内戦の地とあまり事情が変わらないというのも皮肉ではあります。
ともあれ、生活の場、家族、
それは開拓しようと思えばそこにあるのですね。
ただ待っているだけではダメで、何かしら自分の意志というのは必要ではあるけれど。



偽物から始まった家族ではあるけれど、
今やディーパンにとってはかけがえのない「家族」。
その家族を守りたい一心の彼の行動に、胸が熱くなります。
まさに、ディーパンの「闘い」の物語でした。



ディーパン役のアントニーターサン・ジェスターサンは、
実際にスリランカ内戦の元兵士で、
フランス亡命後作家として活動、
そして本作で演技に初挑戦とのこと。


「ディーパンの闘い」
2015年/フランス/115分
監督:ジャック・オーディアール
出演:アントニーターサン・ジェスターサン、カレアスワリ・スリニバサン、カラウタヤニ・ビナシタンビ、バンサン・ロティエ

社会問題度★★★★☆
家族度★★★★☆
満足度★★★★☆
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メアリと魔女の花

2017年07月23日 | 映画(ま行)
“すべての魔法を解除”した先



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実のところ、見なくてもいいかと思っていた作品ですが、
この日他に特に見たいものがなかったので・・・。
どうも私、魔法だの魔女だのというテーマが苦手なのです。


さて本作は、米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後初めて手掛けた作品で、
そしてまた同じくジブリ出身の西村佳哲プロデューサーが設立したスタジオポノック長編第一作。
アニメの新しい時代の予感がします。



田舎町、大叔母の家に越してきた11歳の少女メアリ。
ある時、森の中で7年に一度しか咲かないという“夜間飛行”の花を見つけます。
それは昔、魔女の国から盗み出された禁断の花。
その花の作用で不思議な力を手に入れたメアリは、
空飛ぶほうきに乗って魔法世界へ行き、
魔法界の最高学府、エンドア大学の入学を許可されますが・・・。
メアリの不用意な発言によって、友人のピーターが苦境に立たされることに・・・。



オンナノコの勇気と成長の物語ということで、
まあ、普通に楽しむことはできました。
う~ん、でもちょっと物足りないというか・・・、
感動の頂点がないというか・・・。
せっかくジブリを離れたのにやっぱりジブリ路線なのが少し期待はずれ。
というか、見る前からそれはわかっていたのですけれど・・・。



でも考えてみると、メアリは魔法の力を手に入れたといっても、
結局彼女が使ったのは空を飛ぶことの他には
“すべての魔法を解除する”魔法のみです。
つまりこれは、夢見がちな少女が現実を見据える大人になる、
ということを意味していると思います。
何でもかんでも魔法で済ましてしまう、というストーリーが気に入らない私としては、
本作は納得できる内容ではありました。
本作で魔法から脱却した(?)米林監督の、今後のお手並み拝見、というところでしょうか。


そうそう、声に豪華俳優陣を充てるのは、いちいち俳優本人のイメージが湧き出してしまうので
逆効果かもしれません。

「メアリと魔女の花」
2017年日本/102分
監督:米林宏昌
原作:メアリー・スチュアート
出演(声):杉咲花、神木隆之介、天海祐希、小日向文世、満島ひかり、大竹しのぶ
ファンタジック度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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「平和をつくった世界の20人」ケン・ベラー、ヘザー・チェイス

2017年07月22日 | 本(解説)
世界の“平和”に貢献するということ

平和をつくった世界の20人 (岩波ジュニア新書)
作間 和子,淺川 和也,岩政 伸治,平塚 博子
岩波書店


* * * * * * * * * *

「森の博士」のソロー、『沈黙の春』のカーソン、
MOTTAINAIのマータイ、非暴力のガンディー、
子どもと動物を守ったリンドグレーンをはじめ、
キング牧師、ダライ・ラマ、マザーテレサなど、
世界各地で独自な方法により平和を築いた20人を紹介。
それぞれが残した言葉を通してその生き方をたどります。

* * * * * * * * * *

この本はジュニア向けなのですが、平和をつくった世界の20人ということで、
私も知らなかった人物も揚げられていて、非常に有意義な本でした。


まずはこの本で言う「平和」というのが
単に戦争状態でないことを指すのではないという捉え方に大いに納得。

章立てとして、
Ⅰ非暴力を選ぶ
Ⅱ平和を生きる
Ⅲ多様性を大切にする
Ⅳあらゆる命を重んじる
Ⅴ地球環境を大切にする
となっています。

また、あまりにも古い話ではなく1800年以降に生きた方から選ばれています。
それでも1800年代と言うといかにも昔のような気がしてしまいますが、
例えば冒頭のヘンリー・デイヴィッド・ソロー。
1817年生まれのアメリカ人。
経済優先の社会に疑問を感じ、極力簡素な生活を実践した方。
畑仕事をし、森を散策して、時には執筆活動。
…なんだか宮沢賢治みたいですね。
しかし、奴隷の使用を認めメキシコと戦争しようとしている政府への納税を拒否したために
投獄さてたこともあるという信念の人でもあります。
そしてその先を読んでいくとわかるのですが、
この方の思想がマハトマ・ガンディーやキング牧師にも影響を及ぼしている、
ということで、すごく納得させられたのでした。


一人ひとりについては省略しますが、心覚えのために、20人の名前を明記しておきます。
私も名前だけは知っていても、実際にどういう方か知らないということが殆どで、
ずいぶん学習させていただきました。


Ⅰ ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
  マハトマ・ガンディー
  マーティン・ルーサー・キング・ジュニア
  アンデルソン・サー
Ⅱ マザー・テレサ
  ティク・ナット・ハン
  コールマン・マッカーシ
  オスカル・アリアス
Ⅲ ブルーノ・フッサール
  デズモンド・ツツ
  リーアン・アイスラー
  ダライ・ラマ
Ⅳ ヘンリー・ソールト
  アルベルト・シュバイツァー
  アストリッド・リンドグレーン
  ジェーン・グドール
Ⅴ レイチェル・カーソン
  デイヴィッド・スズキ
  ネーダー・ハリーリ
  ワンガリ・マータイ


う~ん、読んだばかりでももう忘れてるわ・・・
一人分ずつ、映画化してほしい・・・。 

「平和をつくった世界の20人」ケン・ベラー、ヘザー・チェイス 岩波ジュニア新書
満足度★★★★☆
図書館蔵書にて
コメント

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に

2017年07月21日 | 映画(あ行)
後悔するのはやったことじゃない。やり残したことさ。



* * * * * * * * * *

1980年代を舞台とした青春群像劇。
野球選手として奨学金を得て地元の州立大学へ進んだ
リチャード・リンクレーター監督自身の体験を元にしているとのこと。



それは、新入生のジェイク(ブレイク・ジェナー)が
野球部の宿舎にやってくるところから始まります。
9月の新学期が始まる3日前。
さっそくぞろぞろ登場する野球部の先輩たちや同年輩の皆は、
それぞれ個性的で何しろ自由そう。
昼は卓球をしたりゲーム(インベーダーゲーム!!)をしたり。
夜は酒場へ繰り出し、ディスコ、カントリー、パンク。
女の子あさりも抜かりない。

この人達ほんとに野球部? 
最後まで遊び回るシーンしか出てこないのかと思ったら、
最後の方にやっと練習シーンが出てきました。
なるほど・・・。
ちゃらんぽらんでいい加減そうな先輩たちが、さすがにびしっと決まる。
お定まりの新人イジメもチョッピリあったりして。
大抵はふざけた言葉のやり取りなのですが、中には時々キラリと光る言葉もあります。
「後悔するのはやったことじゃない。やり残したことさ。」
なんてね。



新しい大学生活、そして野球部の中で皆についていけるのか・・・
そんな期待と不安の入り交じる特異な時間をうまくすくい取っています。
1980年。
私の青春も同じような時期。
だから音楽も耳に馴染んだものが多いです。
なんだか本当に80年代に撮影したような雰囲気が漂うのですが、
2016年作品なんですねえ。
ホントに。
おばちゃんとしては懐かしさいっぱいの作品なわけですが、
若い方はこれをどう見るのか、聞いてみたいところです。
でも、ナイーブに心が揺れながらもハメを外す・・・
青春のひとときのきらめき方は多分同じですね。



「エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に」
2016年/アメリカ/117分
監督:リチャード・リンクレーター
出演:ブレイク・ジェナー、ゾーイ・ドゥイッチ、グレン・パウエル、ワイアット・ラッセル、オースティン・アメリオ

青春のきらめき度★★★★☆
満足度★★★.5
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ボンジュール、アン

2017年07月19日 | 映画(は行)
人生の悦びが蘇る旅



* * * * * * * * * *

子育てを終え、人生に人区切りをつけたアン。
けれど、映画プロデューサーの夫は相変わらず仕事で忙しく、
家庭のことにはあまり構いません。
カンヌを訪れていた夫妻は、パリへ向かうところでしたが、
耳の調子が悪いアンは、飛行機を断念。
夫の仕事仲間ジャックと車で移動することにします。
まともに行けば7時間ほどでつくはずのところですが、
ジャックがあちこちと寄り道をするので、なかなかパリに近づきません。
はじめのうちはイライラしていたアンですが、
やがて、旅を楽しむことで人生の悦びをも見出していきます・・・。



本作はなんとあの映画監督フランシスコ・コッポラの奥様である
エレノア・コッポラ80歳の初長編映画監督作品とのこと。
80歳とは思えない感覚の新鮮さ。
そしてまた大人の女の感覚を見事に描いているところが
さすがに年輪を感じさせるところでもあり、素敵な作品でした。


アメリカ人はヨーロッパの歴史になんとなくコンプレックスのようなものがあるのかもしれません。
連綿とした歴史に対する畏敬の念。
北海道に住む私にはよく分かる感覚です。
京都や奈良に行ったときの圧倒される感じ。
はじめにアンはジャックに案内されて
古代ローマ帝国の統治時代に作られたという城壁や水道橋を見ます。
う~ん、確かにローマ帝国はこんな所まで勢力を広げていたわけなんだなあ・・・と、
私もアンとともに、感慨にふけってしまったのでした。
プロヴァンスで見るラベンダー畑に「ロマンチック~!」と声を上げるアンとか、
なんとも自分と重なる部分が多くて、すっかり感情移入してしまいます。
大きな市場や、映画の博物館である「リュミエール研究所」、
サント・マドレーヌ大聖堂。
時には何気ない河のほとりでピクニック。
そして、ランチやディナーのなんともおしゃれな食事!! 
ワインとチーズがいかにも美味しそう・・・
そしてジャックの仏流女性のおもてなし♡♡♡



フランス縦断のロードムービー。
なんともオシャレです。
けれどもちろん、ただおしゃれなわけではありませんね。
一番良いのは、この話が変な浮気ストーリーにはならないこと。
ジャックには多分にその気はありそうでしたが・・・。


確かに、誰かに言い寄られて悪い気はしません。
まだ旅をして感動できるみずみずしい心も失っていないし、
女としても終わってはいないみたい・・・、
なんだか自分はまだ大丈夫って、そういう若い活力が蘇る気がします。
けれどもしこんなところで男と関係を持ってしまったら、
後がめんどくさそうですし・・・
いい思い出としてとっておいたほうがいつまでも楽しめそうですよね。
そのように割り切れるところが、いかにも大人の女、という気がします。
下手に若いとこうはなりませんよ。



アンが趣味であちこち写真を取りまくるのもいいです。
今時はSNSのためにこうする方も多いと思いますが、
アンはそのために撮っているわけではないようです。
城壁の壁の一部分とか、料理のお皿の上の一部分とか・・・、
全体ではなく感性のままに美しいと感じられるところをパチリ。
年をとっても、心はみずみずしくいられるのだ・・・と、本作は言っています。
私は気に入りました!!

「ボンジュール、アン」
2016年/アメリカ/92分
監督:エレノア・コッポラ
出演:ダイアン・レイン、アレック・ボールドウィン、アルノー・ビアール
旅の気分度★★★★★
満足度★★★★★
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シークレット・ウィンドウ

2017年07月18日 | 映画(さ行)
ボサボサ髪と無精髭の魅力



* * * * * * * * * *

近頃のジョニー・デップは、全然見る気が起こらない、
といいつつ「パイレーツ・オブ・カリビアン・」を見て、
やっぱりここまで変人じゃなくてもいいのに
ということで、旧作を見てみました。
この作品は公開時に見ているのですが、
ブログ記事にはなっていなかったので、再見。


人気作家レイニー(ジョニーデップ)は、
妻エイミーの浮気のために離婚することになり、
郊外の一軒家で一人暮らしをしています。
ある日そこへ一人の男・シューターが現れ、
「お前は俺の小説を盗んだ」というのです。
盗作など身に覚えのないレイニーは困惑しますが、
その後シューターはしぶとくつきまとうようになります。
やがて、離婚寸前の妻の家が焼かれるという事件があり・・・。


原作がスティーブン・キングですので、
ラストの奇妙な反転劇をお楽しみください。
本作には鏡のシーンが多く出てきます。
真実とはどこか違う虚像。
私たちはその虚像を見せられているわけで・・・。



さて、ここに登場するジョニー・デップは、
破けたガウンを着て日がなカウチでゴロゴロ・ウトウト。
ボサボサの髪に無精髭。
この感じがいいですよね~。
そしてまたラストでは、
すっきりと梳かされた髪、知的な銀縁めがねのジョニー・デップも拝めます。
ストーリー自体は、ものすごく意外というほどではないかな?
これはやっぱり、ジョニー・デップを楽しむ作品のように思います。
これくらいが、程々でいい。

シークレット・ウインドウ コレクターズ・エディション [DVD]
デビッド・コープ,スティーヴン・キング
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント


「シークレット・ウィンドウ」
2004年/アメリカ/96分
監督:デビッド・コープ
原作:スティーブン・キング
出演:ジョニー・デップ、ジョン・タトゥーロ、マリア・ベロ、ティモシー・ハットン
意外な展開度★★★.5
満足度★★★.5
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いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ)

2017年07月17日 | 映画(あ行)
日本の戦後史ではなく、人々の戦後史



* * * * * * * * * *

向井理さんの祖母・芦村朋子さんの半生記を、
向井理さん自身が企画に携わり映画化したもの。


芦村朋子(尾野真千子)と芦村吾郎(向井理)は、
吾郎が南京へ渡るのを機に、結婚。
その後上海へ居を移したところで終戦。

着の身着のままで夫婦と幼い子供2人は、日本に帰り着き、
農家である妻の実家に転がり込みます。
しかしそこでの生活は楽ではなく、
吾郎は義父・忠(イッセー尾形)に、ごくつぶし呼ばわりされ、
辛い仕打ちを受けてしまいます。
いたたまれなく妻の実家を出て、運送業をしたり、トコロテン屋を始めたり・・・
夫婦で各地を転々としながら貧しい生活が続き・・・。



向井理さんの祖父に当たる吾郎という方の、
不運で不遇な人生に言葉をなくす思いがします・・・。

この方は、大学を出たインテリで、
人々の貧富の差に心を痛め社会主義の運動もしていたのですね。
地方の名家の出でありながら、その家を大変な不幸が襲い、
以後、ずっと彼自身の人生にも影がさしていたようです。
それでも、この人を慕い、支え続けたのが妻朋子。
この人は一見おっとりなのですが、思い切りがいいですよ。
冒頭、吾郎が「南京へ行くことにした。」というと
即、「私も行きます」という。
その後、どんなに貧しくても彼女はポジティブ。
吾郎に文句を言うでもなくいつも笑っている。
妻のこんな様子に、夫はどんなに救われたことでしょう・・・。
不遇な人生ではあったけれども、こういう妻と出会えたことが最大の幸福であったと思います。



そして、孫がこんなにもかっこよくて、人気があるとなれば・・・、
さぞかし草葉の陰でお喜びのことでしょう・・・と、思ってしまいます。
でもまあ、戦中・戦後、こんな風に人生に劇的な変動が起こって
苦労した方がたくさんいるのでしょうね。
と言うより、殆どの方がそうなのでしょう。
日本の戦後史ではなくて、人々の戦後史。
そういう体験をした方がだんだん少なくなって来ていますから、
もっと色々な方に発信していただけたらいいのに、と思いました。



映画では、現代、祖母朋子(野際陽子)が倒れ、
彼女がまとめかけていた手記を孫の理(成田偉心)がまとめるという体裁になっています。
それで、本作が野際陽子さんの遺作ということになり、
そういう意味でも意義のある作品です。


エンディングで流れる何日君再来(ホーリージュンザイライ)の歌は
なんと高畑充希さんが歌っていたんですね。
素晴らしい歌声でした。



「いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ)」
2017年/日本/114分
監督:深川栄洋
原作:芦村朋子
出演:向井理、尾野真千子、岸本加世子、イッセー尾形、駿河太郎、野際陽子

人々の戦後史度★★★★★
満足度★★★★☆
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「K体掌説」九星鳴

2017年07月16日 | 本(その他)
少し怖くてメルヘンで、ユーモア。そして幽玄。

K体掌説 (文春文庫)
九 星鳴
文藝春秋


* * * * * * * * * *

Kは小噺のK。
Kは簡潔のK。
Kは奇態のK。
つまりKなる体の掌編。
これ即ち、"K体掌説"なり。
21世紀の稲垣足穂か、はたまた星新一か。
ショートショートに驚異の新人現る…。
単行本刊行当時、一体この著者は何者?と評判となった話題作がついに文庫化。
その謎めいた著者の正体がいま明かされる。

* * * * * * * * * *

正体不明の新人作家による短編、
ということで話題になったそうなのですが、
まあ、帯にも一目瞭然でネタバラシしているので、
ばらしてしまいますが、著者は夢枕獏さんです。
一応の定評を得ている「夢枕獏」名義ではなく、
全く無名の新人として書いてみたいというその気持もわからなくはありません。
冒険ですけどね。
でもこうした場合、原稿料も新人並みになってしまうのだそうで・・・。
当人のたっての願いであれば、別にかまわないことのようです。


さて、内容は短編というよりショートショートなので
スルスルと読めてしまいます。
どこかカラッとして不思議。
例えば冒頭「落ちる首」は、夢の話ですが、
月夜に武士が女の首を次々と切り落とすというもの。
ところが、翌朝目を覚ますと庭に椿の花がみな落ちていたという・・・。
鮮やかです。
下手をすると血生臭くなってしまいそうなストーリーが、
ひっそりと幽玄な雰囲気さえ醸している。


少し怖くてメルヘンでユーモアでもあるショートショート。
続きが出たら、やっぱり手に取ってしまいそうです。
あ、ちなみに著者名は「いちじく せいめい」と読みます。

「K体掌説」九星鳴 文春文庫
満足度★★★.5

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ぼくのおじさん

2017年07月15日 | 映画(は行)
ベストマッチのおじさんと少年



* * * * * * * * * *

「ぼくのおじさん」は北杜夫さんが自分をモデルに書いた小学生向けユーモア小説。
もう何十年も前の作品ですが、
その当時、私も読んだことがあったと思います。
(小学生ではなかったけど。)
まあ、当然内容は覚えていませんでした。
が、しかし、この作品は絶対に面白いはずと確信していました。
なぜって、「おじさん」と「子ども」は、素晴らしく相性が良いことに決まっているので・・・。



「自分の回りにいる大人について」という作文の宿題に悩む雪男(大西利空)は、
我が家に居候しているおじさん(松田龍平)に目をつけました。
ビンボーで怠け者、万年床で、まんが本を甥っ子にねだるしょうもない叔父。
大学の哲学の時間講師をしていますが週に1講のみ。
まあ、一応インテリのようなんですが・・・。
そんなおじさんに見合い話があり、日系4世のエリー(真木よう子)と知り合います。
おじさんは一目惚れしてしまったのですが、
彼女は祖母が経営していたコーヒー農園を次ぐためにハワイへ帰ってしまったのです。
エリーに会いたい一心で、ハワイ行きを目指しておじさんが立てた作戦とは・・・?



こういう「ダメなおじさん」というのは色々な物語に時々登場します。
たいてい学生か定職についていないかで、
お金がなくて、もちろん独身、彼女なし。
で、親や兄弟からは
「いつまでフラフラしているんだか、困ったもんだ・・・」
と常に言われている。
こういう人物と、子どもというのが非常にウマが合うのです。
親は、子どもには常に正しく真っ直ぐであって欲しいと思うので、
自分の「教育的側面」しか(なるべく)見せません。
おじさんは、そこまでの責任がないので、どんな面も見せてしまいます。
子どもはそこで「真実」を学んでいく。
また時にはおじさんの「ダメ」さが反面教師になったりもして。



本作は、おじさんの必死の計画も撃沈し、
別のきっかけでハワイ行きが決定するというところがいいですよね。
ビートルズのチケットを手に入れたい一心で、
必死でハミガキ粉を買っていた誰かと重なります。



ハワイのシーンも、あの美しいビーチでゴロゴロするようなシーンはなく、
パールハーバーを見渡すシーンがあったり、
日系人達の苦労を偲ばせるところがあったりするのがステキでした。


何にしても、この「おじさん」に松田龍平さんを充てたのが、大正解でした。
何を考えてるのかよくわからない飄々とした感じ。
でも実はちゃんと考えてる?
いや、そうそれはこちらの考え過ぎ?
・・・という微妙な雰囲気。
GOODです。


ただ一つ残念だったのは、原作の「会話文」にこだわったためでしょうか。
なんだか言い回しが古めかしいというか若干違和感を覚えました。
しかも今時の子どもに「雪男」はないですよね・・・。
そこを変えたら原作無視になってしまうから遠慮したのかしらん?
無理なく、現在の作品にしてしまっても良かったように思います。

ぼくのおじさん [DVD]
松田龍平,真木よう子,大西利空(子役),戸次重幸,寺島しのぶ
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)


「ぼくのおじさん」
2016年/日本/山下敦弘
原作:北杜夫
出演:松田龍平、真木よう子、大西利空、寺島しのぶ、宮藤官九郎、戸次重幸

ユーモア度★★★★☆
満足度★★★★☆
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