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この作品は公開時に見ているのですが、結構お気に入りなので、再度観てみました。
これはあまりにも有名な「太陽がいっぱい」のリメイク、ということですが、
かなり印象の違う作品。
というか、主人公が殺害した相手に成りすます、という大きな仕掛けが同じくらいで、
ほとんど別物といってもいいくらいです。
前者での主人公はアラン・ドロン。
素敵でしたね~。
しかし、こちらはマット・デイモン。
今でこそ、ジェイソン・ボーンのシリーズですっかりおなじみですが、
当時ではかなり意外な配役だったのでは?と思います。
アラン・ドロンといえばむしろ、こちらで金持ちの放蕩息子役をやっている
ジュード・ロウのほうがイメージが近いですもんね。
これは、前作映画のリメイクではなく、
原作本のリメイクであると初めから割り切った方がよいと思います。
トム・リプリー(マット・デイモン)はニューヨークの貧乏青年ですが、
ある大富豪と知り合い、
イタリアにいる放蕩息子、ディッキー(ジュード・ロウ)を連れ戻してくれと頼まれます。
イタリアへ赴いたトムは、ディッキーに気に入られ、しばらく行動を共にすることになる。
ディッキーは自由奔放、まさに太陽の様な存在なのだけれど、
実は自分の才能もやりたいことも見いだせず、
満たされない思いでいることが伺えます。
その陰りが、女心をくすぐるのですよね~。
確かにこの感じは、ジュード・ロウ向き。
活発ですべてが洗練されているディッキーと、
垢抜けなくしょぼくれたトム。
トムは、ディッキーに憧れ、ひそかに妖しい感情を抱くようになる。
ところが、お坊ちゃまはまた、限りなく気まぐれでもあります。
いつもまとわりつくトムがうっとうしくなり、
ついには出て行くようにと告げるばかりか、
お前なんか気持ち悪いとまで・・・。
逆上したトムはディッキーを殺してしまった。
ここでジュード・ロウの出番はお終いなんですごく残念なんですが・・・。
さて、大変なのはそこから。
トムは、なんとディッキーに成りすますことにするんですね。
もちろん、顔は全然違う。
けれど、異国で自分を知る人もほとんどいなく、
しかも、彼の特技は人のサインのまねをすること。
彼のニセのサインで小切手さえも切れてしまう。
問題は彼をトムと知っている、
ディッキーの恋人マージ(グウィネス・パルトロウ)、
友人のフレディ、
また、彼を最初からディッキーと認識している令嬢メレディス(ケイト・ブランシェット)、
そしてメレディスの友人ではあるが、トムをトムとして認識しているピーター。
(すみません、ややこしくて解りませんね・・・)
相手によって自分を切り替えなければならない。
また、彼ら同士が出会って話をすればおかしなことになってしまう・・・。
こんな危機をどうやって切り抜けていくのか、
そういうところが見所のサスペンスとなっています。
トムは自分の嘘や罪を隠し通すため、さらに嘘と罪を重ねていくことになる・・・。
地下室の暗い闇にただ1人、そこから抜け出せないリプリー。
闇のドアの鍵は誰にも渡すことができない・・・。
決してハッピーエンドにはなりえないストーリーですが、
印象に残る作品です。
ところで、今にしてみればすごい豪華キャストじゃありませんか。
ただし、マット・デイモンの愛情表現はやや物足りないというか、
あんまり妖しい感じがしない。
ジェイソン・ボーンだもんなあ・・・。
やっぱり、タフ・ガイ。そういうイメージの方が強いみたいです。
1999年/アメリカ/140分
監督:アンソニー・ミンゲラ
出演:マット・デイモン、ジュード・ロウ、グウィネス・パルトロウ、ケイト・ブランシェット、フレディ・ミルス
The Talented Mr. Ripley