映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

ハニーレモンソーダ

2023年02月27日 | 映画(は行)

ラウールを楽しもう!!

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先日Snow Manの岩本照さん主演作を見たので、
こちら、ラウール主演作も引き続きミーハー視聴。

中学時代いじめられていた自分を変えたくて、
自由な校風の高校に入学した石森羽花(吉川愛)。
彼女はそこでレモン色の髪をした界(ラウール)と出会います。

界は人気者で自由奔放。
そんな彼がなぜか羽花のこと気にかけ、
自らを「石森係」と言って、色々と助けの手を差しのばしてくれます。

羽花は、そんな界に惹かれていくのですが、
しかし界にはなにか乗り越えられない壁のようなものがあって、
なかなかその内面に触れることができません・・・

いかにも少女漫画の見本という作品。

カッコ良くて人気者だけれど、どこか翳りを帯びて内面をのぞかせない少年。
そして、なかなか自分の殻から抜け出せないでいる少女が、
彼に感化されて少しずつ強くなり成長していく。
そして彼をも変えていく・・・と。

まあ、そんなところでこの役はまさにラウールのためにあるというか、
別にいえば若手イケメン俳優なら誰でもできてしまうという役かもしれません。

そんな中でもちょっと心に残るセリフがあって、

羽花は「石森」という名字なので、
「石のようにじっとして耐えていればいい」と言うのですが、
界は言います。

「おまえは、石は石でも宝石だ」

そして、
「困ったことがあったら、いつでもオレを呼んで。
オレね、空を飛べるんだ」と言う界。

それが終盤、いつの間にかたくましく成長している羽花が同じことを彼に言うのです。

「困ったことがあったら、いつでも私を呼んで。
私ね、空を飛べるんだ」。

 

名ゼリフが心に残った作品。

ラウールはあのダンスの表現力を見ても、役者としての力は十分にありそうなのですが、
何分にもルックスがずば抜けてよすぎて、
どんな役にも向くというわけに行かなさそうなのが残念であります。

本作はラウールを楽しむためには見るべき価値はあるけれど、
それ以外はまあ、それなり。

 

「ハニーレモンソーダ」

2021年/日本/111分

監督:神徳幸治

原作:村田真優

出演:ラウール、吉川愛、堀田真由、岡本夏美、濱田龍臣、板東龍汰

 

胸キュン度★★★★☆

ラウールの魅力度★★★★★

満足度★★★☆☆


BLUE GIANT

2023年02月26日 | 映画(は行)

身も心も揺さぶられる

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同名の人気ジャズ漫画をアニメ映画化したものです。

仙台で暮らす高校生・宮本大(声:山田裕貴)は、
ジャズに魅了され、毎日一人河原でテナーサックスを吹き続けてきました。
卒業と同時に上京し、高校の同級生・玉田俊二(声:岡山天音)のアパートに転がり込みます。

大はある日、ライブハウスで同世代の凄腕ピアニスト沢辺雪祈(声:間宮祥太朗)と出会い、
バンドに誘います。
二人の音楽に感化された俊二もドラムを始め、3人組バンド「JASS」を結成。
日本最高のジャズクラブに出演することを目標に、3人は活動を続けます。

 

とにかくジャズが大好き、大きな夢を抱く天才、大。

幼い頃からピアノに親しみ作曲も手がける新進気鋭ジャズピアニスト雪祈。
が、それ故の壁に突き当たる。

そして、全くのド素人、一からドラムを始める俊二。
・・・このハードルはかなり高い!!

三人のチームワークが心地よく、めきめきと力をつけていく様子が
ワクワク感をともなって描かれます。

原作コミックは、そのページからジャズの音楽が聞こえると言われるそうですが、
ジャズについての知識も何もほとんどない私は、
実際に音楽を聞くことができる本作がやはり親しみやすいです。

いや、親しみやすいなんていう言い方は生ぬるすぎました。
迫力があってハートを揺さぶられる感じ。
いや、心だけでなく体も。
なんだか泣けてしまうくらいです。
いいものですねえ・・・ジャズ。

単に、メンバー達の成長物語かと思えば、
終盤にはぎょっとするエピソードも盛り込まれていて、
ストーリーとしても秀逸です。

また音に浸りたいので、後日、無料配信で視聴できるようになったら、
また見たいです。
(セコくてスミマセン・・・)

<シネマフロンティアにて>

「BLUE GIANT」

2023年/日本/120分

監督:立川譲

原作:石塚真一

脚本:NUMBER8

出演(声):山田裕貴、間宮祥太朗、岡山天音


「ムーンライト・イン」中島京子

2023年02月25日 | 本(その他)

年齢も立場も混成の共同生活

 

 

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職を失い、自転車旅行の最中に雨に降られた青年・栗田拓海は、
年季の入った一軒の建物を訪れる。
穏やかな老人がかつてペンションを営んでいた「ムーンライト・イン」には、
年代がバラバラの三人の女性が、それぞれ事情を抱えて過ごしていた。
拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、
治るまでそこにとどまることになるが――。

人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に巡り合った男女の、
奇妙な共同生活が始まる。

* * * * * * * * * * * *

かつてペンションを営んでいたけれど、今はもう営業していない、
そんな建物で共同生活を送る男女の物語。

1人は、この家の持ち主の老人。
そして、彼を頼ってきたらしき身体に障害のある老女。
この老女の介助のために付き添ってきたが、何かワケありらしき女性。
フィリピンから介護実習生として来ていた、若き女子。
そしてある大雨の日に迷い込んできて、しばし滞在することになる成年男子。

 

それぞれがこれまでの人生の歩みをそのまま続けられなくなっていた、という事情を抱えています。
いわばここは、そんな彼、彼女らのしばしの休憩の場所。

年齢も立場も違う人々が、共同生活をするというのには、ちょっと憧れます。
通常老人は老人としてひとまとめにされがちですよね。
介護の側からすれば効率がいいからなのでしょうけれど。
日常的な異世代交流があった方がいいのに・・・などと常々思うところではあるので。
でもこれはあくまでも「老」の立場からのことなのかな? 
「若」の立場からすると迷惑なことなのかも・・・。

 

さてそれはともかく、息子に行きたくもない老人施設に送り込まれそうな老女。
罪を犯して東京から逃れてきているかも知れない女性・・・。
彼らの運命やいかに・・・?! 
というスリルを持って読み進みましょう。

 

<図書館蔵書にて>

「ムーンライト・イン」中島京子 角川書店

満足度★★★☆☆

 


劇場版 からかい上手の高木さん

2023年02月24日 | 映画(か行)

少年少女の夏休み

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人気コミック「からかい上手の高木さん」を原作とした同名テレビアニメの劇場版。
とは言え、私はどれも見たことがなかったのですが、
先日WOWOWの「映画工房」で紹介されていたので興味を持ちました。

中学校最後の夏休みを迎えた高木さんと西片の青春模様。

舞台はとある美しい島。
西片は、隣の席の女の子、高木さんにいつも何かとからかわれていて、
どうにかからかい返そうと思っているのですが、
悪戦苦闘するも、見透かされてばかり。

夏休みが始まる前日、二人は帰り道で子猫と遭遇。
子猫に「ハナ」と名付けて、猫のための里親を二人で探そうと約束し、
毎日を共に過ごすことに。

中学校くらいだと、女子の方が精神年齢が高くて、男子はガキのままなんですね。
そんな二人の関係性から入る作品ですが、
結局二人はとても仲良しで、クラスのみんなもそのことには気づいている様子。
でも当人達は「好き」という言葉は口にできないでいるのです。

島の風景は美しくさわやかで、二人の関係性もピュアで微笑ましくて・・・。
本作は多分ティーンエイジャーよりも、年配の方の方が気に入るのではないかと思います。
もう忘れ去ったようなみずみずしい感覚が蘇る・・・。

なんだかとても幸せな気持ちになってしまう作品。
コミックも、テレビアニメも見ていなくて大丈夫です。
本作一本で立派な物語を構成しています。

エンドロールのあとに大変貴重なシーンがあるので、お見逃しなく。

<WOWOW視聴にて>

「劇場版 からかい上手の高木さん」

2022年/日本/73分

監督:赤城博昭

原作:山本崇一朗

出演(声):高橋李依、梶裕貴、小原好美、M・A・O、 小倉唯、落合福嗣

ピュア度★★★★★

思春期度★★★★★

満足度★★★★★


おいしい家族

2023年02月23日 | 映画(あ行)

多様性の見本市

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監督・脚本がふくだももこさん。
監督自身が手がけた短編映画「父の結婚」を、長編化したものです。

 

銀座のコスメショップで働く橙花(松本穂香)。
母の三回忌のため、実家のある離島へ帰ります。
実家に入ると、なんと父・青治(板尾創路)が母の服を着て生活しているのです。
そして、「この人と結婚する」と言って、居候の男性・和生(浜野謙太)を紹介。
その男には、高校生の娘・ダリア(モトーラ世理奈)までいるのです。
また、この家には橙花の弟・翠(笠松将)とその嫁も住んでいます。
嫁はスリランカ人で、出産間近。

謎の一家ではありますが、誰もがこの状況を平然と受け入れ、
和気あいあいと盛り上がっている。
一人、取り残された気がして、次第に怒りすら湧いてきてしまう橙花。
何しろ彼女は結婚生活がうまくいかず、夫と別居生活中でもありまして・・・。

こんな意味不明の家族ですが、数日間滞在し、
それぞれの人となりや、父が母になってしまった理由を知り、
橙花も変わっていく・・・。

「家族がほしい男と、妻を亡くして淋しい男、
これって互いに利用しているだけじゃないの?」
と橙花は問います。

あらら、これって先日見た「エゴイスト」の問いかけているものと、
図らずも同じことですね。
根底にあるのは、相手が幸せなら自分も幸せ、という、
相手のことを大事に思う気持ちがそこにあるということ。
だから、「エゴイスト」でも、「利用している」でもOKということなんだな。

それにしてもあっぱれだと思うのは、
この島に住む人々はすでに青治の女装のことを見慣れているらしく、
何も言わずに受け入れているというところ。
しかも青治はここの高校の校長でもあるのです。
生徒達は平然と「おはようございます」と挨拶したりしている。
法事に集まった親類達も、全く普通のこととして受け入れています。
まあ、始めは驚いたでしょうが、見慣れてしまえば、
この人はこういう人、別に誰に迷惑をかけるわけじゃナシ、いいんじゃね?
くらいの感じでしょうか。
小さな島だからこそ、皆がそれを知っているという利点が逆にありそうです。

こんな高校なら、馬鹿げた校則もなくて、
茶髪金髪、無論男子の女装も全然OKのような気がする。
多様性の見本みたいな場所であります。

断然、お気に入りの一作となりました。
なんで封切り時に見ていなかったのだろう・・・。

<Amazon prime videoにて>

「おいしい家族」

2019年/日本/95分

監督・脚本:ふくだももこ

出演:松本穂香、笠松将、モトーラ世理奈、三河悠冴、柳俊太郎、浜野謙太、板尾創路

 

多様性度★★★★★

満足度★★★★★


バビロン

2023年02月21日 | 映画(は行)

どぎつい映像に揺さぶられて・・・

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私は長い作品には苦手感があって、見るのにちょっと覚悟を決める必要があるのです。
しかしまあ本作、アカデミー賞候補なのでやはり見ないわけにも行きません。

1920年代。
ハリウッドの黄金時代。
そんな時期の映画業界人の乱痴気パーティから幕が開きます。
なんとも退廃的。
エロ・グロの巣窟。

そこで、夢を抱いてハリウッドへやって来た青年マニー(ディエゴ・カルバ)が、
全く未経験なのに大女優になりたいという野心を抱くネリー(マーゴット・ロビー)と出会い、意気投合。
マニーは、サイレント映画で業界を牽引してきた大物俳優ジャック(ブラッド・ピット)に拾われ、
彼の付き人のような役割につきます。
そして、恐れ知らずで美しいネリーは、多くの人々を魅了し、
スターへの階段を駆け上っていきます。

しかしやがて、トーキー映画の革命の波が押し寄せます。

サイレント映画では、セリフは映像とは別に字幕が出ていたのですね。
ところが、トーキーでは、撮影時にセリフも音楽も同時に収録される。
作中ではネリーの初めてのトーキー映画の撮影シーンがありまして、
少しでも雑音が入らないようにとの、
スタッフの緊張感やらなにやらが伝わる非常に面白いシーンです。

が、何しろそれまでは何も問題にならなかったものが、重要な意味を持ち始めます。
セリフのダミ声や訛りはヤボな物になり、
より美しく洗練された声が要求されるようになるのです。
そのために、ネリーもジャックもトーキーでは使い物にならないと見なされてしまいます。
一時の人気も名声も水の泡・・・。

時には寄り道が過ぎると思われるような、豪華なエピソードを交えながらも、
ネリーやジャックの凋落しつつもなお、映画にしがみつこうとする様を描き出していきます。

マニーは、新しい映画の波を推進する立場となって行きますが、
大好きなネリーやジャックが落ちぶれていく様を
呆然と眺めるほかなすすべがありません・・・。

今ではもう、実際にサイレント映画時代を生きていた人々も
ほとんど残っていないと思うのですが、
それだからなお、ハリウッドに刻まれた歴史の一コマを蘇らせる本作。

正直どぎつくて強烈なシーンの連続に、嫌悪を感じる部分も多いです。
このやり方は、映像の暴力かも知れない・・・とも思う。
でも、いつの間にかぎゅっと心をわしづかみにされていたのも確か。
見終えるとちょっと放心状態になります。
が、2回は見たくないかな。

<サツゲキにて>

「バビロン」

2022年/アメリカ/189分

監督・脚本:デイミアン・チャゼル

出演:ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ディエゴ・カルバ、
   ジョバン・アデポ、リー・ジョン・リー、トビー・マグワイア

狂乱度★★★★★

悲哀度★★★★☆

満足度★★★.5


「戦争は女の顔をしていない1」原作スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 小梅けいと

2023年02月20日 | コミックス

戦争に加わった女性達

 

 

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ソ連では第二次世界大戦で100万人をこえる女性が従軍し、
看護婦や軍医としてのみならず兵士として武器を手にして戦った。
しかし戦後は世間から白い目で見られ、
みずからの戦争体験をひた隠しにしなければならなかった――。
500人以上の従軍女性から聞き取りをおこない戦争の真実を明らかにした、
ノーベル文学賞作家の主著。

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かつてのソ連軍に従軍した女性達500人以上から聞き取りを行って書かれた本作。
私はちょっとズルをして原作本をスルーし、
マンガ化された本作の方を手に取りました。

 

第二次世界大戦の時の話ですので、まさに今聞き取りをしなければ、
生存者はいなくなってしまうというようなギリギリのタイミング。
というのも、彼女たちは自らの体験をなかなか
人には語ろうとしなかったためなのですね。

それは女性に限らず、戦闘の前戦に立った経験のある方、共通の意識のように思います。
それはつまり、いかに戦争のためとは言え、
人を殺してしまった体験は、深く心に傷を残すことなのだと思います。

 

本作中では、狙撃手として活躍した女性が、
一番始めのときには人を殺してしまったということにひどく衝撃を感じたけれども、
その後はそのように思わなくなったと語っています。

確かに、その都度動揺していたら、戦闘に加わることはできないでしょう。
攻撃を受けて死んでいく人々も、攻撃をする人々も、
戦争に於いては人間性を剥奪されていくのです。

このようなことは男女の別なく起こること。
本作は、女性ならではの出来事ももちろん語られています。

 

「洗濯部隊」として駆り出された女性達。
兵士達の衣服等を洗濯するという役割で、
武器を持って闘うというわけではありませんが、
シラミを殺す薬剤を使うために凄まじい悪臭がして、
手には湿疹ができ、爪が抜け落ち、重い洗濯物のために脱腸になる者も・・・。
そして兵士達には下に見られてバカにされ、下手をすると妊娠までさせられる・・・。

戦闘員であれば、男子と同じ厳しい行軍に耐えなければなりません。
そして、女子として物資の配慮もなし。
男物の下着、生理の手当の用品もない・・・。
こういうのは男女平等ではないですよね。

こんな中でも、祖国のため、勝利のため、男子と変わらずに困難に耐えてきた女性達。
実に貴重な聞き取り調査です。
圧巻です。

 

「戦争は女の顔をしていない1」原作スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ 小梅けいとKADOKAWA

満足度★★★★☆

 


やがて海へと届く

2023年02月19日 | 映画(や行)

不意にいなくなってしまった人への思い

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引っ込み思案で自分をうまく出せない真奈(岸井ゆきの)は、
大学入学後に自由奔放でミステリアスなすみれ(浜辺美波)と出会います。
そして2人は親友に。

ある時期2人は同居生活を送りますが、
やがてすみれはカレシ・遠野(杉野遥亮)と暮らすために出て行ってしまいます。

そしてある時、すみれは東北地方へ一人旅に出たまま姿を消してしまいます・・・。

すみれの不在をいまだに受け入れられない真奈。
遠野やすみれの母親は、いなくなった今の方が近くにいる感じがする、
などと言うのに反感を感じますが・・・。

 

始まってすぐに状況は明らかにされるので、
ネタばらしかも知れないけれど言ってしまいますが
すみれは単に行方不明というよりも、限りなく死に近い状況なのです。

冒頭と終盤には美しい水彩タッチのアニメーションが挿入されています。
不意にいなくなってしまった人への思いや、その人が生きていたときの思いは、
一体どこへ行ってしまうのだろう・・・。
そんな思いをのせながら。

真奈は、すみれに対して「友人」以上の気持ちを抱いていたのだけれど、
すみれはどうだったのか。
その答えは終盤にあったのですが、私はそこの所はなくてもよかったのでは?
という気もしました。
もう少し、二人の間の出来事を細かに描写することで、
感じることはできたのでは?と。

ともあれ、そんな二人の感情に薄々気づいてもいた遠野は、ちょっとステキでした。

物語は東北で起こったあの大きな悲劇に関連していきます。
不意にいなくなってしまった人への思いの切なさ、やるせなさ。
そんな思いをきわだてる作品なのでした。

<Amazon prime videoにて>

「やがて海へと届く」

2022年/日本/126分

監督:中川龍太郎

原作:綾瀬まる

出演:岸井ゆきの、浜辺美波、杉野遥亮、中崎敏、鶴田真由、中嶋朋子、光石研

 

いなくなってしまった人への哀悼度★★★★★

満足度★★★★☆


犬も食わねどチャーリーは笑う

2023年02月18日 | 映画(あ行)

夫婦のミゾは、埋まらない・・・?

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結婚4年目の裕次郎(香取慎吾)と日和(岸井ゆきの)。
表向きは仲良し夫婦ですが、実は日和は、裕次郎への不平や不満を抱え込んでいたのです。
妻達が夫への不満や愚痴をぶちまけるSNS「旦那デスノート」に、
日和はチャーリーというハンドルネームで書き込みを行い、人気を得ているのでした。

ところがある時、裕次郎が「旦那デスノート」のサイトを見てしまいます。
そして、その内容とチャーリーというハンドルネームから、
日和の投稿に気づいてしまうのです。
チャーリーというのは2人が飼っているフクロウの名前なので。

日頃ニコニコしているのに、ほとんど怨嗟とでもいうような夫への悪感情の発露に、
裕次郎はひるんでしまいます。
始めのうちは日和の書き込みを知ったことを隠していた裕次郎ですが、
ついにはそのことを暴露。
2人の間はいよいよ険悪に・・・。

2人は裕次郎の勤めるホームセンターで出会ったのです。
その時の様子や付き合って間もない頃の2人の様子が作中で挿入されるのですが、
実に、ほのぼのとしていいムード。
まあ、男女の出会いはそうしたものであるわけですが、
それなのに結婚して数年で、どうしてこんな風に気持ちが行き違ってしまうのか。

どなたにも心当たりがあったりなかったりして、
ちょっとドギマギさせられてしまうかも知れません。

作中では、結婚式を間近に控えた職場の同僚(井ノ脇海)が、
裕次郎夫妻のバトルを見てすっかり結婚にびびってしまっていました。
全く、これから結婚しようとする人にとっては夢も希望もない・・・。

しかし、なんとかそこを乗り越えて、一件落着と思ったあとに、
なんと大きな波がもう一つ。
夫婦関係はさらなる危機にさらされます。

そもそも、この夫婦のミゾの始まりは、日和の流産がきっかけであったことが分かってきます。
夫婦に訪れた苦難は、夫婦で乗り切るべきだったのに、そうできなかった・・・。

なるほど、こういう所はやはりこれから結婚する人に見てもらいたい。
さしずめうちなどはもう手遅れっぽいけれど・・・(?)

 

<Amazon prime videoにて>

「犬も食わねどチャーリーは笑う」

2022年/日本/117分

監督・脚本:市井昌秀

出演:香取慎吾、岸井ゆきの、井ノ脇海、中田青渚、
   的場浩司、眞島秀和、徳永えり、余貴美子

 

夫婦の危機度★★★★☆

コミカル度★★★★☆

満足度★★★★☆


#マンホール

2023年02月17日 | 映画(ま行)

順風満帆のようでも、人生の穴にご用心

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不動産会社営業成績ナンバーワンの川村俊介(中島裕翔)は、
社長令嬢との結婚も決まって、将来を約束されています。
結婚式前夜、渋谷で開かれたパーティで酩酊。
帰り道、マンホールの穴に落ちてしまいます。

深夜、穴の底で目を覚ました俊介。
足を怪我していて、思うように動けません。
誰に電話をかけても出てくれなくて、
警察に助けを求めてもマトモに取り合ってくれません。
そしてスマホのGPSはどうやら誤作動しているらしく、
なぜか、ここは渋谷ではなくて、全く別の見知らぬ場所であるようなのです。

ようやく連絡が取れたのは、以前別れたモトカノ。
彼女に助けを求めたけれども、そもそも自分のいる場所が分からない。

そこで俊介は、「マンホール女」というアカウントをSNS上で立ち上げ
(女性を装った方が助けを求めやすいと考えた)、
ネット民たちに場所の特定と救出を呼びかけます。

次第に分かってくるのは、
どうやら俊介はパーティで何者かに薬を仕込まれて眠ってしまい、
遠く離れたこの穴に運ばれたらしい、ということ。
誰かの底知れない悪意が感じられて恐くなってきます。
しかも実は俊介は数多くの過去の女を捨ててきていて、
恨まれる心当たりはありすぎるほど・・・。

しかしまあ、どのようにしてこの場所を特定し、誰が真っ先に救出に現れるのか。
それとも、穴の中で漏れ出るガスや、流れ込む謎のアワによって命を失ってしまうのか・・・?

ほとんど穴の中、哀れな男一人のシーンがずっと続くばかりなのですが、
状況は刻々と変化、スリルとサスペンスに満ちています。

そして、終盤には意外な展開が!!
そこの所は「ネタばらし厳禁」だそうで、どうぞ劇場でお確かめください・・・。

中島裕翔さんの汚れ役、熱演でした!!

<シネマフロンティアにて>

「#マンホール」

2023年/日本/99分

監督:熊切和嘉

脚本:岡田道尚

出演:中島裕翔、奈緒、永山絢斗

スリル度★★★★☆

満足度★★★☆☆

 


「犬も食わない」尾崎世界観×千早茜

2023年02月15日 | 本(その他)

男と女の本音

 

 

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派遣秘書の二条福は雇い主と出かけた先のビルで、
廃棄物処理業者の桜沢大輔とぶつかった。
ろくな謝罪もない舐めた態度に激高した福は罵詈雑言の限りを尽くし、
大輔はたった一言でやり返す……
そんな最悪な出会いから始まった二人だった。

脱ぎっぱなしの靴下、流しに放置された食器、風邪の日のお節介。
ベッドの半分を占める体は邪魔だし、
同じシャンプーが香る頭は寝癖だらけ。

他人の「いいね」からは程遠い、だらしなくてだめな男と
めんどくさい女の喧嘩ばかりの恋愛の本音。
男女の視点別に描く共作小説!

〈豪華約30P! 尾崎世界観×千早茜、両著者による新規対談を収録。〉

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ケンカばかりの男女ペアの物語ですが、
これを尾崎世界観さんと千早茜さんの男女が
それぞれのパートを書き進めているというユニークな作品です。
ちょうど私がこれを読んでいるときに、
千早茜さんの直木賞受賞のニュースがありまして、なかなかよいタイミングでした。

 

派遣秘書の二条福と、廃棄物処理者の桜沢大輔。
そもそもがあまり出会わなそうな2人がひょんなことから知り合います。
そしてどうして付き合うようになったのか、という所はすっ飛ばして、
同居してしばらく経ったところから本題がスタート。
実はどうやって付き合い始めたのかは知りたいところでもありますが・・・。

 

大輔の生活態度のだらしなさについては、多くの女性達に大いに心当たりがあるのでは?
けれど、それをいちいち口に出してガミガミ言う福についても、
大輔は不満を持ち始めている。
始めのうちはなんでも話をして、楽しく過ごしていたのに、
今ではあまり口も聞かなくて、一方的に福が大輔に文句ばかりを言うことが多いのです。

実に等身大の2人。
きっと、「分かるわあ・・・」とつぶやく人が多いのでは。

ところがやがて一つの事件がおこります。
いや事件というほどではないのだけれど。

なぜか大輔は家のクローゼットの中に身を潜めていて、
こっそり、自分の弟と福の会話を盗み聞いてしまうという、
スリルなのかまぬけなのかよく分からない状況に。

こんなことのあとで、2人の状況は変わるのやら、変わらないのやら。

 

楽しく読めました。
巻末には、著者2人の対談がたっぷり収められていて、これもお得です。
千早茜さんの直木賞受賞作も、ぜひ読んでみたいです。

「犬も食わない」尾崎世界観×千早茜 新潮文庫

満足度★★★★☆

 


エゴイスト

2023年02月14日 | 映画(あ行)

相手の幸福を思ってこそ

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エッセイスト高山真の自伝的小説「エゴイスト」を映画化したもの。

斉藤浩輔(鈴木亮平)は14歳で母親を亡くし、
田舎町でゲイの自分という本当の姿を押し殺して過ごした後、
現在は東京で、ファッション誌の編集者として働いています。
そんな彼が、パーソナルトレーナーとして働く中村龍太(宮沢氷魚)と出会います。
龍太は母の生活をも支えており、トレーナーだけでなく他のバイトもしている様子。

こんな二人は惹かれあい、逢瀬を楽しむようになりますが、
時には龍太の母も交えて満ち足りた時間を過ごすように。
浩輔は、龍太の母に自身の亡き母への思いを重ねてもいるのです。

ところが、二人でドライブの約束をしていた日、龍太は現れず・・・。

かなり濃厚なラブシーンがあります。
でもそれは始めの方だけで、次第に二人の関係は
単なる恋人同士というよりも信頼で結ばれた家族のようになっていくのです。

本作はLGBTの理解を求める作品ではなくて、人と人との絆の物語。
物語はショッキングな展開となっていくのですが、最後には深い感動に満たされます。
そして思うのです。
本作の題名、「エゴイスト」の意味を。

愛というのはすなわち、自分自身を救うためのものなのか?
そんな問いかけが根底にあるのだと思います。
浩輔が龍太を大事に思いあれこれと尽くすのは、
結局自分が好かれて幸福を得たいから・・・?
いや、突き詰めていえばそうなのかもしれないけれど、
あくまでも龍太の幸せがあってからの、自分の幸せということではないのかな。

「エゴイスト」とだけ言うと、なんだか自分のことだけ考えて、
よくないイメージがあるけれど、
けれどその結果にたどり着く前の「相手を思う気持ち」があれば、
それは悪いことではないのでは・・・?
そんな風に、ぼんやりと思うようになりました。

 

本作の浩輔役を演じるために、鈴木亮平さんは、
原作者・高山真さん(2020年没)のことや、ゲイの人たちのことをかなり調べたそうです。

確かに作中、東京で暮らす浩輔は、間違いなくゲイに見える。
周囲にもカミングアウトし、自分らしく人生を楽しんでいるのです。
そんなところが、仕草や言葉使い(オネエ言葉というわけではない)で
きっちり表現されています。

そしてまた、宮沢氷魚さんとの絡みのシーンが、
なんともうらやましくなってしまうほどに仲睦まじく、居心地がいい感じ・・・。
いつまでも見ていたい。
下手な男女の仲良しシーンよりも、特別感がありますねえ・・・。

龍太くんは、ピュアで美しくてけなげで、好きだわあ・・・
浩輔が惚れるのも無理はない。

初めて浩輔が龍太の母(阿川佐和子)と会うシーンなどは
(ここでは恋人同士であることは隠している)、
ゆるい緊張感があって、なんだかドラマではなくドキュメンタリーかと思うようなリアルさ。
浩輔と龍太の母、二人のシーンは、
後にもっとすごいシーンがあって、まさに見所です。
セリフは決まったものがなくて、何度も何度も撮り直したそうなのですが、
そのかいあって、実に納得のいくシーンとなっています。

 

本作を見るときに、タイミング的にこちらか、それとも「レジェンド&バタフライ」か、
二者択一を迫られたのですが、こちらを見てよかった~。

 

<シネマフロンティアにて>

「エゴイスト」

2023年/日本/120分

監督:松永大司

原作:高山真

出演:鈴木亮平、宮沢氷魚、柄本明、阿川佐和子

満足度★★★★★

 


母へ捧げる僕たちのアリア

2023年02月13日 | 映画(は行)

兄弟の絆と、歌への愛

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南仏の海辺の町。

14歳の少年ヌールは、古ぼけた公営団地に母と3人の兄たちと暮らしています。
母は、寝たきり昏睡状態で、兄弟達が自宅で介護をしているのです。
町が観光客で賑わう夏休み。
ヌールは家計を助けるためバイトに明け暮れます。
夕方、母の部屋の前にスピーカーを置いて、
母が大好きなオペラを聴かせてあげるのも日課の一つ。
兄たちは、そんなことをしても当人には聞こえていないというのですが・・・。

ある日、教育矯正の一環として校内のペンキ塗りをしていたヌール。
近くの教室からオペラ曲が聞こえてきます。
そこをのぞき見たヌールは歌のレッスンをしていた講師サラと出会い、
歌のレッスンに加わることに。
ヌールは歌に夢中になっていきます。

4人兄弟の末っ子、ヌール。
家の生活は楽ではなく、お母さんの介護のために費用もかかります。
ヌールはまだ中学生だけれど、学校なんかやめてしまいたいと思う。
家計を守る長兄は、仕事をさぼって歌のレッスンに通うヌールを忌々しく思っている。
気持ちの優しい次兄は女性観光客を騙してお金を巻き上げるのが商売だし、
すぐ上の兄は悪い連中と付き合い始めて麻薬に手を出したりもしている。

でもこの兄弟はなんとしても自宅で母を看取りたいと思い、
叔父がまるで人さらいのように母を病院へ連れて行ってしまったときには、
力を合わせて病院から母を奪還したりもする。
家族の絆を大事にする兄弟達なのであります。

その母と亡き父が、オペラを通じて知り合い結婚したこと。
だから母がオペラが大好きで、ヌールもオペラをよく聞いていた、
ということが分かってきます。
ヌールは楽譜も読めないし、これまで人前で歌ったこともないけれど、
講師サラは彼の歌の才能に気づくのです。

生きることに精一杯のような状況でも、
時に音楽や芸術はその生きることに力を貸してくれたりもするものなのですね。
決してお金持ちの暇つぶしやステータスの印などではなく。

南仏の海辺の町の光景がまたステキです。

 

<WOWOW視聴にて>

「母へ捧げる僕たちのアリア」

2021/フランス/108分

監督・脚本:ヨアン・マンカ

出演:マエル・ルーアン=ベランドゥー、ジュディット・シュムラ、
   ダリ・ベンサーラ、ソフィアン・カーメ、モンセフ・ファルファー

音楽の楽しさ★★★★☆

家族の絆度★★★★☆

満足度★★★★☆

 


戦場のメリークリスマス

2023年02月12日 | 映画(さ行)

残酷と美と

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言わずと知れた1983年の名作。
この度デジタル素材に修復した4K修正版を劇場で見ました。
そもそも、ずっと昔にテレビの洋画劇場か何かで見て以来でしたので。

第二次世界大戦中、ジャワの日本軍捕虜収容所が舞台です。

所長である日本軍エリート士官ヨノイ(坂本龍一)の指揮の下、
粗暴な軍曹ハラ(ビートたけし)が連合軍の捕虜達を管理している。
捕虜のなかのジョン・ロレンスは日本語を解し通訳の役割をすることが多く、
ハラと話すことも多いのです。

ある時、朝鮮人軍属カネモトがオランダ人捕虜デ・ヨンを犯すという事件が起きます。
ハラはカネモトに切腹しろと迫り、ついにそれは実行されてしまう。
日本軍に於いては同性愛は死に値する恥ずべき行為、という表れでありましょう。

そんな時、新たに捕虜としてジャック・セリアズ(デビッド・ボウイ)を
受け入れることになるのですが、
ヨノイには彼に対してほのかな感情が芽生えます。
美しく凜とした個を持つセリアズに・・・。

本作は、残虐な日本軍の思想をからめながら、
ロレンスとハラの間に芽生える不思議な友情と、
セリアズとヨノイの不可思議な感情を丁寧に描いていきます。

また、セリアズは自己犠牲となり、同胞を救うという行動をするのですが、
それは自分自身の拭い去れない過去の「罪」のため。
そうしたバックボーンも説得力があって納得がいくのです。
ヨノイがよろめくのもムリはない。
カッコイイ。

本作が特別なのは坂本龍一とデビッド・ボウイという異色の人物の登用でしょう。
なんというか色香が漂いますね。
ちょっと他にどんな役者さんがこんな雰囲気を出せるか、想像できない。

そしてまた、やはり音楽が素晴らしい!!
この映画の内容は知らなくても、この音楽は知っているという方が多いのでは。
実のところ私もほとんどそれでしたが・・・。

でもやはり今さらですが、きちんと内容を知ってよかったと思います。

<サツゲキにて>

「戦場のメリークリスマス」

1983年/日本・イギリス・ニュージーランド/123分

異色性★★★★★

満足度★★★★☆


「森江春策の災難 日本一地味な探偵の華麗な事件簿」芦辺拓

2023年02月11日 | 本(ミステリ)

探偵は地味だけど

 

 

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日本推理作家協会賞・本格ミステリ大賞ダブル受賞記念 緊急出版決定!

《森江法律事務所》にかかってきた敏腕女性検事・菊園綾子からの電話は、
花村カオルという札付きのワルが身辺をかぎ回っているようだから
気をつけろと警告するものだった。
その数分後、コート姿の怪しい人物が《森江法律事務所》に入ってゆき、
直後に死体で発見される。
果たして、森江春策の事務所でいったい何が起きたのか?
一風変わった犯人当てである表題作をはじめ、
森江春策がヘンリー・メリヴェール卿と共演する「密室法廷」や
神津恭介、星影龍三とともに密室について語り合う「架空座談会」、
鉄人28号の物語世界へと読者をいざなう「寝台特急あさかぜ鉄人事件」、
舞台劇の脚本として書き下ろされた「探偵が来なけりゃ始まらない――森江春策、嵐の孤島へ行く」
など、日本一地味な探偵・森江春策が活躍する十三編の異色な事件簿!
「年譜・森江春策事件簿〔第二版〕」も特別収録!

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芦辺拓さんの森江春策シリーズは、私も長く愛読しております。
「日本一地味な探偵」、まさに、華々しく語られることはないけれど、
息が長い地道な探偵さんであります。

作中でも、見た目がイカす風貌ではないように語られていましたが、
本作の表紙を見て納得。
・・・これ、濱田岳さん? 
が、モデルかどうかは定かではありませんが、
なるほど、こういうイメージかもしれません。

 

本作は舞台も時代も、自由自在。
こういうのも地味な探偵だからこそ、どこにいてもすっと溶け込めてしまうわけで。

が、実のところ今回私は自分の脳みその硬化を感じてしまいました。
なんだか読み進むのが苦痛で、あまり楽しめない。
本巻は特に変化球が多すぎるような・・・。
この独特の世界感にハマることのできない、
自分の年齢の限界?みたいなものを感じてしまい・・・。

確かに、近頃は派手なCG多発のSFアクション的な作品は滅多に見なくなりましたし、
年齢による変化は如何ともしがたいのかな?

と、若干淋しい思いも感じながら・・・。

 

<図書館蔵書にて>

「森江春策の災難 日本一地味な探偵の華麗な事件簿」芦辺拓 行舟文化

満足度★★★☆☆