映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

アデライン、100年目の恋

2015年10月31日 | 映画(あ行)
永遠の若さを誰もが望むけれど



* * * * * * * * * *

29歳の姿のまま、100年以上を生き続けた女性ジェニー。
こう聞くと、ついヴァンパイアを想像しますね。
決して年を取らない、永遠の生命と孤独を抱えた存在ということで。
でも本作、ヴァンパイアものではありません。
1908年生まれのアデラインが29歳で老化が止まってしまったのは、
車の事故による低体温と落雷による強力な電磁圧縮による・・・、
とかなんとか、まあどうでも良い理屈がつけられています。
まあ、理屈はどうでもよろしい。
ヴァンパイアものはどうしても人の生き血を吸わなければならないという制約がつき、
ホラー的展開にせざるを得ないのですが、
本作ではそこをバッサリ切り取って、
永遠の若さはすなわち、愛する人といつまでも寄り添うことができない
永遠の孤独である、という切ない事情のみを
クローズアップしているところで成功しています。



アデラインはここではジェニーと名乗り生活しています。
いつまでも年を取らないと怪しまれ厄介なことになってしまうため、
ほぼ10年ごとに名前も住所も変えなければなりません。
そんなある日、ホテルの年越しパーティーで彼女はエリスという青年と出会い、
互いに惹かれ合います。
でも、恋愛は無理。
彼の元を去ろうとしていたアデラインに、
彼女の娘フレミングが「あきらめないで」と励まします。
フレミングは娘と言っても、普通に年齢を重ねているので、
完全におばあちゃん。

不思議です。
娘というよりほとんど祖母に見える女性がアデラインの娘で、
彼女だけがアデラインの秘密を知っているのです。
でも、どう考えてもフレミングの寿命も残り僅か。
その先のアデラインの孤独を思うと暗澹としてしまいます・・・。



それで、しばしエリスとの別れを引き伸ばしたアデラインは、
彼の両親の結婚40周年を祝うためエリスの実家を訪れます。
しかし、エリスの父ウィリアムは彼女を見るなり「アデライン」と呼び、唖然としている。
実はウィリアムはかつてアデラインと愛しあった相手なのでした。

しかし、ここでも彼女は自分の秘密を守るため、
彼の元をある日突然に去っていたのです。
「アデラインは私の母です。」と、とっさに取り繕うアデライン。


うーん、なんとも切ない。
かつて愛した人は、でもその後結婚し、慣れ親しんだ妻がそばにいる。
このように普通に家庭を築くことができない自分を思い知ります。
私たちはアンチエイジングにやっ気になるけれど、
普通に年を取っていくことは、案外大切なことなのですねえ・・・。



アデラインが身に着けているその時々のファッションがステキです。
服装や髪型で、随分その時代の雰囲気が出るものですよね。
見かけは29歳でも実は100歳以上。
これまでに身につけた知識や教養、経験。
それがにじみ出る聡明さとなって表れます。
しっとりと落ち着き聡明な雰囲気がよく表されていました。
いい感じです、ブレイク・ライブリー。
ハリソン・フォードもさすがにすっかりお年を召しましたが、ステキでした。
彼の青年時代を演じた方が、若き日のハリソン・フォードに、
ほんのちょっぴり似ていたかも。

「アデライン、100年目の恋」
2015年/アメリカ/113分
監督:リー・トランド・クリーガー
出演:ブレイク・ライブリー、ミキール・ハースマン、キャシー・ベイカー、ハリソン・フォード、エレン・バースティン

時と人のロマンス度★★★★★
満足度★★★★☆
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「合葬」杉浦日向子

2015年10月21日 | コミックス
文庫版は辛いよ・・・

合葬 (ちくま文庫)
杉浦 日向子
筑摩書房


* * * * * * * * * *

江戸の終りを告げた上野戦争。
時代の波に翻弄された彰義隊の若き隊員たちの生と死を描く歴史ロマン。
日本漫画家協会賞優秀賞受賞。


* * * * * * * * * *

本作は映画を見てから興味を持ってみました。
著者は杉浦日向子さん。
漫画家であり江戸風俗研究家であり、エッセイストでもある。
才能あふれる方ですが2005年に46歳で病のため亡くなっています。
本作は1984年日本漫画協会賞最優秀賞を受賞しています。


・・・と、わかったようなことを書いていますが、
実のところ私はこれまでに著者の本は読んだことがなく、
よく知らなかった、というのが正直なところ。
「ガロ」で描いていたのですね。
いやはや、自分でコミックファンだとか言っていながら
実は「ガロ」は全然読んでいなくて、
なにがコミックファンだよ、インチキじゃん、
ということがすっかり露呈してしまいますね・・・。


そうそう、つい最近読んだ梨木香歩さんのエッセイ「不思議な羅針盤」の中で
杉浦日向子さんのことに触れていまして、
同年代なのに、惜しい方を亡くした
というようなことが書かれていました。
そういえば最近見たいと思いながら見逃していたアニメ「百日紅」も
この方の著作じゃありませんか!!
何やら今更ですが、運命が私に杉浦日向子を読め!
と促しているようであります。
もっといろいろ読んでみたい。


余計なことばかり書いてしまいました。
さて、本作、映画も良かったですが、
原作はさすがにもっとディティールまでも見どころがあって、堪能しました。
・・・が、しかしです。
私が見たこの文庫版。
中高年にはキビシイ!!
じ、字が・・・細かくて辛い…(T_T)
せっかく、他の作品も読む気満々なのですが、
文庫版は無理!!


あー、つい本題からそれますね。
ストーリーは映画版の方を参考していただくことにして、ご勘弁を。
→映画「合葬」


武士といえば、敵討ちや切腹は日常茶飯事あたり前、
みたいな気がしていましたが、
本作、いきなり柾之助が敵討ちを命じられ、逃げ出す。
写真を撮るシーンでは
当時の写真は写すのに時間がかかるので、
顔が動かないように首を支える道具があったりする。
展開が私達の知っている「江戸物」とは一線を画していて、
なんとも興味深いのです。
なんだか嵌りそうです。
それにしても文庫版がダメとなると古本をあたったほうが良さそうですね・・・。

「合葬」杉浦日向子 ちくま文庫
満足度★★★★☆
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薄氷の殺人

2015年10月20日 | 映画(は行)
美しき未亡人と・・・



* * * * * * * * * *

本作は、2014年ベルリン国際映画祭で
グランプリと主演男優賞を獲得したということで興味を持ちました。
中国の沈んだトーンのクライム・サスペンス。
ノワールですね。



1999年中国北部の地方都市。
一人の男の切断された死体が、6つの都市にまたがる15箇所の石炭工場で次々と発見されます。
妻に去られ、呆然としていた刑事ジャン(リャオ・ファン)が、捜査を担当。

容疑者は逮捕時に抵抗し射殺されてしまい、
事件は未解決のままになってしまいます。
その5年後、ジャンはその時に負った怪我のため警察をやめ、
生きる目的を見失ったまま酒浸りで、しがない警備員をしています。
そんな時、警察が5年前と似た手口の事件を追っており、
容疑者はあの5年前の事件の被害者の妻ウー・ジージェン(グイ・ルンメイ)であることを知り、
独自で調査を始めます。
美しく、何かしら陰りがあり、謎めいた未亡人ウーに、
ジャンは次第に惹かれていきますが・・・。



バラバラ死体が一度に拡散して発見された謎。
そして真犯人。
しっかりしたミステリです。
暗く重いトーンでありながら、時折ふと笑ってしまいたくなるほのかなユーモアもあり、
なかなか見応えのある作品です。


本作、中国語の原題は「白昼の花火」という意味の言葉。
これは見事にラストシーンそのものなのですが、このラストがいい。
ここまでの暗いトーンを吹き飛ばして、何やら痛快な気分すらします。
そしてまた、英語の原題はまた別で
“BLACK COAL,THIN ICE”(石炭と薄氷)。
薄氷は、スケートリンクのシーンが出てくるので、そのことを指しています。
邦題はこちらを採ったんですね。
何しろ凶器がスケートの刃だったりするので・・・これも意味深。



薄氷の殺人 [DVD]
リャオ・ファン,グイ・ルンメイ,ワン・シュエピン
ポニーキャニオン


「薄氷の殺人」
2014年/中国、香港/106分
監督・脚本:ディアオ・イーナン
出演:リャオ・ファン、グイ・ルンメイ、ワン・シュエビン、ワン・ジンチュン
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マイ・インターン

2015年10月19日 | 映画(ま行)
バリバリのキャリアウーマンだって、誰かに守られたい



* * * * * * * * * *

ファッション通販会社の若き女性オーナー、ジュールズ(アン・ハサウェイ)は
現在急上昇中の仕事で大忙し。
この会社は彼女が1から立ち上げ、
また、彼女の仕事を援助するために、
夫は仕事を辞めて家事と育児に専念しているのです。
仕事も家庭も順風満帆。
実にカッコイイ!!

そんな時に、シニア・インターンとして入ったベン(ロバート・デ・ニーロ)が
彼女の手伝いをすることに。
シニア・インターンというのは会社の社会福祉対策で、
老人の採用枠を設けたということなんですね。



さて、いかにも仕事も家庭もうまく行っていたはずのジュールズ。
しかし、あまりの多忙さで、それもなかなかうまく行かなくなってきます。
新たにCEOを参入すべきだという声。
そして、夫は育メン生活に疲れたようでもあり・・・。
そんな時に、経験豊富なベンの助言が光る!!



いや、とにかくベン、というかロバート・デ・ニーロが素敵すぎ!!
彼は、電話帳をつくっていた会社に務めていたことになっています。
今はなき(いや、なくはないけど)前時代の遺物の象徴みたいな、電話帳の。
でもそこで身につけた組織として働くスキルとでもいうのでしょうか、
それが実に役に立つ。
今の彼の立場は、出世も給料の額もさして問題ないわけです。
だからすごく自由。
しかし、自由だからダラダラ過ごす人だってもちろんいますよね。
と言うか、大抵はそうなのでは? 
しかしベンは、始めから退屈な引退生活に見切りをつけて、
新たなやりがいを見出すために来たわけだから、
とにかく何かがしたいのです。
だから、なんだってする。
そうするうちに、職場では次第に頼りになる人物になっていく。
もしかしたら、これは姥捨て山伝説? 
不要とされ社会から遠ざけられた人物が、後にその知恵で人々を救うという・・。
まあ、そこまで言っては言い過ぎだけれど、
老人を社会の仕組みの外におこうとするのは
必ずしも得策ではないということか。
しかし現実には再任用制度というのもあるけど、
ベンみたいな人ってまずいないよ~。



それにしても、ベンの最も凄いところは、
ジュールズを女だからと軽く見たりせず、
上司として敬愛し、しっかり守ろうとするところですね。
ナイトなんだなあ・・・。
作中でジュールズが言っていました。
今は女性はみな強いけれど、男性はいくつになっても子どもみたいだ、と。
肉食女子に草食男子という風潮は、日本もアメリカも一緒なのか。
しかしそうではあっても、
実は女は抱擁力があって、しっかりと守ってくれる男性に憧れるものなのです。
だから、ロバート・デ・ニーロ。
いいんだなあ・・・。



現代のキャリア・ウーマンのあこがれを実にうまく突いた作品であります。

「マイ・インターン」
2015年/アメリカ/121分
監督・脚本:ナンシー・マイヤーズ
出演:ロバート・デ・ニーロ、アン・ハサウェイ、レネ・ルッソ、アダム・ディバイン、アンダース・ホーム

現代性★★★★☆
満足度★★★★★
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「東京すみっこごはん」成田名璃子

2015年10月17日 | 本(その他)
いつしか“家族”になっていく人々

東京すみっこごはん (光文社文庫)
成田 名璃子
光文社


* * * * * * * * * *

商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒屋は、
年齢も職業も異なる人々が集い、
手作りの料理を共に食べる"共同台所"だった。
イジメに悩む女子高生、婚活に励むOL、
人生を見失ったタイ人、妻への秘密を抱えたアラ還。
ワケありの人々が巻き起こすドラマを通して明らかになる"すみっこごはん"の秘密とは!?
美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心をときほぐす連作小説!


* * * * * * * * * *

成田名璃子さん、私には初めての作家です。
本作は新聞の書評で取り上げられていたので興味を持ちました。


商店街の脇道に「すみっこごはん」という看板の掛かった古ぼけた一軒家があります。
よほど寂れた食堂か何か・・・?
と思えばそこは風変わりな共同のキッチン。
その日集まった人がくじ引きで料理する人を決めます。
材料費のみを徴収。
料理はプロ級の腕前の人もいるけれど、
これまでほとんど料理したこともないという人も。
でも、まずくても決して文句を言わないのがルール。


本作は、ここに立ち寄る何人かの人たちが交代で主役となって、
短編の連作となっているのですが、
一体誰が何のためにこんなシステムを始めたのか。
その謎が明らかになっていきます。
いやしかし、灯台下暗しとはこのことか。
答えははじめから用意されていたのでした。


でも、一番初めの章が私にはやや不満。
どうも、いじめられている子の話が私は苦手なのです。
いじめという理不尽なことがどうして起こるのでしょう。
本作ではラインでコメントが遅れてしまった
ということだけで無視され仲間はずれにされるという少女のストーリー。
居場所がなくなった彼女を、
「すみっこごはん」に集う人々は温かく迎え入れます。
私が信じられないのは、たった一人のいじめのリーダー的存在に
何人もが従ってしまうということ。
そしてそんな目に会いながらもなお、
誰にも悩みを打ち明けず、ただ辛いだけの登校を続けるということ。
本でもテレビドラマでも、いつもこんな風。
そしてまたそれは事実でもあるのでしょう。
なぜもっとクラスメイトが人の痛みをわかってあげられないのか。
なぜ早く周りの人に助けを求めないのか。
(助けを求めてさえも無視されることもあるようのですが)。
そしてなぜ学校へ行かないという選択を早く取らないのか。
こういうことがもどかしく悔しくて、私は辛くなってしまうのです。
だから本作の始めからいじめストーリーが出てきたため、
失敗だったか?と思えたのですが、
それでも読んでいるうちに引きこまれていきました。
・・・おっと、余談ばかり長くなってしまった。


性格悪そうな毒舌オヤジの正体。
若き女性のブログにハマりまくっているイタいオヤジの真実。
こういうところは、なかなかいいですね~。

「東京すみっこごはん」成田名璃子 光文社文庫
満足度★★★★☆
コメント

ブルックリンの恋人たち

2015年10月16日 | 映画(は行)
着慣れたジーンズとTシャツの肌触り



* * * * * * * * * *

ほんわりとした音楽主体のラブストーリー。
人類学の博士号をめざし、モロッコでフィールドワークを続けていたフラニー(アン・ハサウェイ)。
そこへニューヨークに住む弟が交通事故で昏睡状態との連絡が入ります。
急遽ニューヨークへ戻ったフラニーですが・・・。



弟ヘンリーはミュージシャン志望で、
そのため大学をやめるというので、フラニーは大反対。
大げんかをしたまま、音信不通となっていたのです。
病院でこんこんと眠り続ける弟。
フラニーは弟の事をなにも知ろうとしなかったことを後悔し、
弟の日記を手に、弟の好きだったものの足跡をたどります。
弟の好きだった曲。
場所。
街の雑踏・・・。
そして、彼が最も憧れていたミュージシャン、ジェームズ・フォレスターと知り合います。





ロックではなく、語りかけるようなやさしい曲調の数々。
いいですね~。
私のような年代には馴染みやすいです。
むちゃくちゃ情熱的な恋ではない。
ジェームズのニューヨークでの仕事が終わればそこまでとわかっている恋。
サラリとしたこの関係性が、これらの曲調とマッチしています。
自然体のアン・ハサウェイもいいですね。
着慣れたジーンズとTシャツの肌触りの一作。



「ブルックリンの恋人たち」
2014年/アメリカ/86分
監督:ケイト・バーカー=フロイランド
出演:アン・ハサウェイ、ジョニー・フリン、メアリー・フティーンバージェン、ベン・ローゼンフィールド

音楽性★★★★☆
満足度★★★☆☆.5
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先生と迷い猫

2015年10月15日 | 映画(さ行)
猫をきっかけに繋がる人々の輪



* * * * * * * * * *

埼玉県岩槻市で実際にあった地域猫探索を記したノンフィクション
「迷子のミーちゃん地域猫と商店街再生の物語」を原案とした作品です。
ロケ地を伊豆下田として、
ひなびてのどかな町の光景と猫がなんともいえない雰囲気を表しています。



偏屈で頑固な元小学校の校長先生(イッセー尾形)は、
妻(もたいまさこ)に先立たれて、わびしい一人暮らし。
そこへ毎日のように一匹の三毛猫が、まるで亡き妻のお参りをするかのように通ってきます。
このミイは妻の生前からよく来ており、妻がいつもかわいがっていたのです。

しかし校長はこの猫が気に入らない様子。
ある時とうとう、猫用の潜り戸をガムテープで止めつけ、
入って来られないようにしてしまいました。
ところがその後、ミイは本当にパッタリと姿を見せなくなってしまいます。
その後わかったのは、ミイは町の多くの人達に可愛がられていて、
タマコとかソラ、ちひろなど、いろいろな名前で呼ばれていたということ。
皆いなくなってしまった猫の心配をしています。
校長先生は、ミイを閉めだしてしまったからいなくなってしまったような気がするのでしょうね、
街の人達をも巻き込んで、猫の捜索を始めるのですが・・・。



偏屈で人付き合いも苦手な校長先生が次第に人の輪に溶け込んでいく。
きっかけは一匹の猫ではありますが、
あるべき地域再生の姿がほんのり浮かび上がります。
これまではあの奥様がとてもうまくこの校長先生の頑固さをカバーしてきたのでしょうね。
特に男性はそういうご近所付き合いが苦手。
なにかしら地域とのつながりを持つことができるといいですよね。



本作、皆がたった一匹の猫を案じ、力を尽くす物語ですが、
では人間のこと、特に「子ども」は?
という問いかけをしているようにも思いました。
不登校の子、虐めにあっている子・・・。
猫を心配するのはいいけど、
それならもっとできることがあるのではないか・・・と。
そのために、ここはやはり「元校長先生」なのだろうな。


偏屈な元校長、イッセー尾形さんが実にいい味を出して演じていました。
「若い頃は面白かった・・・」と、
子供たちと楽しみながら過ごした教員生活を垣間見せ、
そして「校長時代はなにも面白くなかった」などと語るところに、
リアルな人間像が浮かび上がります。
それにしても、一生を教育に捧げたという自負があるから、
ちょっぴりいばりんぼ。
いかにも昔の「先生」たちの中には、こういう方が多くいらっしゃるように思います。



校長先生が撮りためた昔の写真を町のホームページに使いたい、
ということで、時おり市役所の職員(染谷将太)が訪ねてきます。
そのいかにも現代風の礼儀も知らないような青年が、
それでもちょっぴりいいところも見せるのがいい。
染谷将太さんは、どんな役でもこなせて、役者としてはやはり有望ですね。
ミイ役は天才(?)猫のドロップで、すべて代役なしだったそうです。
素晴らしい!! 
三毛猫、いいですよね。
私ももし猫を飼うのだったら三毛猫がいいなあ・・・。
以前から憧れています。

「先生と迷い猫」
監督:深川栄洋
原案:木附千晶
出演:イッセー尾形、染谷将太、北乃きい、ピエール瀧、もたいまさこ

ほのぼの度★★★★☆
満足度★★★★☆
コメント

「路(ルウ)」吉田修一

2015年10月13日 | 本(その他)
台湾新幹線と人々のドラマ

路 (文春文庫)
吉田修一
文藝春秋


* * * * * * * * * *

ホテルの前でエリックからメモを渡された。
彼の電話番号だった。
「国番号も書いてあるから」とエリックは言った。
すぐに春香も自分の電話番号を渡そうと思った。
しかしエリックが、「電話、待ってる」と言う。
「電話を待っている」と言われたはずなのに、春香の耳には「信じてる」と聞こえた。
春香は自分の番号を渡さなかった。
信じている、あなたを、運命を、思いを、力を―。
商社員、湾生の老人、建築家、車輛工場員…
台湾新幹線をめぐる日台の人々のあたたかな絆を描いた渾身の感動長篇。


* * * * * * * * * *

台湾に日本の開発した新幹線が走る。
この出来事に関連した様々な人々のドラマです。


学生時代、台湾旅行でとある青年と知り合った春香。
しかし、彼の電話番号のメモをなくしてしまい、
その後全く連絡も取れないまま。
やがて時が経ち商社に就職した春香は、
台湾新幹線事業に関わることになり台湾で暮らしています。
一方、相手の彼エリックこと人豪は、
日本へ留学し勉学の後、建築家として活躍を始めています。
やはりあの時出会った日本人、春香のことが忘れられません。


互いに惹かれながらも連絡を取るすべもなく別れたまま。
そして何故か互いに祖国を離れ相手の国に住んでいるという構図が、
ロマンティックでもあり、この二人の行く末が案じられてなりません。
そうこうするうちにも、様々な問題を解決しながら、
新幹線開通の日が近づいてきます。


この二人とは別に、
台湾で生まれながらも終戦で日本に引き上げ、半生を過ごしてきた元技術者の老人。
台湾で青春を送る男女などのことが交互に語られますが
誰もが魅力的です。
これらバラバラのピースが最後の最後に、ピタリとハマるところも心地よい!!


そして特に台湾の街や田舎、自然の光景が素晴らしく魅力的。
私はこれまで台湾には特に思い入れはなかったのですが、
なんだか無性に行ってみたくなってしまいました。
映画「KANO」を見た時に、
意外と台湾の方は日本に親しみを感じているように思えたのですが、
本作でもまた然りです。
台湾の高速鉄道建設工事に関しても
もともとは欧州のユーロトンネル・システムが優先権を獲得していたのですが、
なおかつ台湾側が日本にもチャンスをくれたということなのです。
私が思っていたのよりもずっと台湾の方々は親日的。
私はもう少し台湾の歴史について学ぶべきなのかもしれません。


台湾新幹線の建設の記録であり、
友人や恋人たち、そして人生のドラマでもある。
読み応えたっぷりでやめられない面白さ。
オススメです!!

「路(ルウ)」吉田修一 文春文庫
満足度★★★★★
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デビルズ・ノット

2015年10月12日 | 映画(た行)
解答のない、現実



* * * * * * * * * *

1993年アメリカで実際にあった「ウェスト・メンフィス3」事件を映画化したものです。


児童3人が殺されるという猟奇殺人事件。
警察は「悪魔崇拝」をする16~18歳の若者3人を犯人と断定します。
しかしそれを不自然と感じた私立探偵ラックス(コリン・ファース)が、
独自に捜査を開始します。
また被害者の一人の母、パム(リース・ウェザースプーン)も、
裁判で聞く様々な矛盾点に動揺させられます。
そしてある一つの疑惑を抱くのです。





事件直後現地近くのレストランに現れた血まみれの黒人男性とは?
事件の目撃談を語った少年の言葉の真偽は?
どれも不審なことばかり。
警察の捜査があまりにも断定的だったことは間違いありません。
でもそうだとするならば真犯人は一体誰?



実際、史上最悪の冤罪事件と言われているもので、
2011年に獄中の3人が有罪を認める代わりに釈放されるという
異例の司法取引があったそうなのです。
だから、未だにその真相は藪の中。



だから映画の結末ももちろん真犯人が明かされたりはしません。
それで、なんとも放り出されたような感じがしてしまうラスト。
・・・それこそがリアルな結末なのでした。



キングスマンを見たあとでは、コリン・ファースが嫌味がなく普通にカッコイイ。

デビルズ・ノット [DVD]
コリン・ファース,リース・ウィザースプーン,デイン・デハーン,ミレイユ・イーノス,ブルース・グリーンウッド
KADOKAWA / 角川書店


「デビルズ・ノット」
2013年/アメリカ/114分
監督:アトム・エゴヤン
出演:コリン・ファース、リース・ウェザースプーン、デイン・デハーン、アレッサンドロ・ニボラ
混迷度★★★★★
満足度★★★.5
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バクマン。

2015年10月11日 | 映画(は行)
友情・努力・勝利!!



* * * * * * * * * *

大場つぐみ&小畑健原作コミックの映画化。
正直、私のようなオバサン向けの作品ではないのでしょうけれど(多分)、
元来漫画好きの私は、ものすごく楽しめました!
何しろ主人公二人が佐藤健さんと神木隆之介さん、
これだけでもう期待が高まってしまいます。



真城最高(佐藤健)と、高木秋人(神木隆之介)は、
高校のクラスメイト。
二人は突如漫画家になる決心をします。
サイコーの叔父はプロの漫画家だったのですが
仕事による過労が元で亡くなっているのです。
そのため、漫画を描きたい気持ちはありながら、ためらいもあったサイコー。
けれどシュージンの強力な誘いと
声優志望のクラスメイト亜豆(アズキ)と、ある約束を交わしたために、
すっかりやる気になってしまったのです。

目指すは少年ジャンプの連載。
そして、読者アンケートの1位! 
しかし彼らの前に、同じく高校生の天才漫画家新妻(染谷将太)が立ちふさがります。





友情、努力、勝利。
まさに少年ジャンプのコンセプト通りに、熱い少年たちのストーリーが展開します。
彼らは剣ではなくてペンで闘うわけです。
しっかりそういうシーンも挿入されていました。
これぞ、るろうにペン心、なんつって



マンガ原稿の絵が浮かび上がり、部屋を覆っていく。
これはCGではなくてプロジェクション・マッピングだそうですが、
素晴らしく効果的でステキなシーンでした。



それにしても、連載って確かにものすごく大変そうです。
ましてや彼らは高校生。
作中ではサイコーとシュージンはもっぱら寝不足解消のために学校へ行っていたようですが・・・。
こんな生活をしていたら体が持つわけがありません。
読者アンケートというのもものすごいプレッシャーなんですね。
そんな中で、たった一人マイペース、まさに天才の新妻が凄い。
彼は学校に行っていないのでしょうか???


私は最後にサイコーの元を訪れた新妻は、実はサイコーを手伝いたかったように思えたのですが、
サイコーはそれを侮辱としか受け取らなかった。
実のところはどうだったのだろう。
原作に同じシーンが有るのなら確かめてみたいところです。
映画もこのシーンは、3人が化学反応を起こして
それぞれの胸中を垣間見せる大事な場面となっていました。



それから私は気になってしまったのですが、本作には彼らの親が全く登場しません。
我が息子が、勉強もせず漫画家目指して必死!
なんていうことを知ったら、心穏やかではないはず。
ましてや体を壊してまで・・・。
そういう家庭状況を一切排除したのは、まあ余計な枝葉を省くということですっきりはしていますが、
実のところとても気になります。
これも原作ではどうなっているのか、確かめたいところです。


そうそう、凄いと思ったのは小松菜奈さん演じる亜豆が、
本当にサイコー描くところの美少女とそっくりなんですよねえ・・・。
いかにも少年漫画の憧れの少女風。



この次は、ぜひ彼らが描く漫画のストーリーを、
同じキャストで映画化してほしいと思います!!



「バクマン。」
2015年/日本/120分
監督:大根仁
原作:大場つぐみ、小畑健
出演:佐藤健、神木隆之介、小松菜奈、桐谷健太、新井浩文、染谷将太、山田孝之

友情・努力・勝利度★★★★★
満足度★★★★☆
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「ロング・グッドバイ」 レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳

2015年10月09日 | 本(ミステリ)
純粋であるがゆえに破滅の道を歩む男

ロング・グッドバイ (ハヤカワ・ミステリ文庫 チ 1-11)
村上 春樹
早川書房


* * * * * * * * * *

私立探偵フィリップ・マーロウは、
億万長者の娘シルヴィアの夫テリー・レノックスと知り合う。
あり余る富に囲まれていながら、男はどこか暗い蔭を宿していた。
何度か会って杯を重ねるうち、互いに友情を覚えはじめた二人。
しかし、やがてレノックスは妻殺しの容疑をかけられ自殺を遂げてしまう。
が、その裏には哀しくも奥深い真相が隠されていた…
大都会の孤独と死、愛と友情を謳いあげた永遠の名作が、
村上春樹の翻訳により鮮やかに甦る。
アメリカ探偵作家クラブ(MWA)賞最優秀長篇賞受賞作。


* * * * * * * * * *

本作は少し前にNHKのドラマで放送していまして、それを見ていました。
ドラマは日本を舞台として、
私立探偵フィリップ・マーロウに浅野忠信、
やさぐれていながらどこか品の良さを匂わせるテリー・レノックスに綾野剛という配役。
実のところ私は綾野剛さん見たさで見ていました。
ちょっぴりけだるく懐かしい感じの昭和の時代背景。
本作を読んで、ようやくその雰囲気を出そうとしていた演出の意図が改めて納得できた感じ。
ですが、やっぱりこれは、アメリカのものですね。


このハヤカワ文庫版は、巻末に村上春樹氏の、
それこそ「長~い解説」があるのがお得です。
村上春樹氏によれば、この「ロング・グッドバイ」は、
スコット・フィッツジェラルドの「グレート・ギャツビー」を下敷きにしているのではないかというのです。
一瞬、こちらはミステリだし、そんなことってあるかなあ・・・と思ったのですが、
言われてみれば確かに類似性があります。
軸になるのは、深い罪悪感を持ち、そのせいで酒に溺れ、破滅の道を歩む男。
しかし、彼は純粋な夢を隠し持っている。
そして、その男に魅力を感じ、案じつつ友情を結ぶ語り手。
双方ともにそのような構図があり、
そしてそれこそが作品の魅力となっているわけです。
滅びの美。そして男のロマンチシズム。


さて本作、それでもさすがミステリなので、
ラストには思いがけない真実が明かされます。
ロング・グッドバイ。
フィリップ・マーロウは同じ男と二度の別れを体験することになるわけですが、
その二度目こそが辛く切ない。
和製の様々なミステリにも登場する「ギムレット」は
このフィリップ・マーロウが元祖だったんですね。
今度飲み会に行ったらぜひ飲んでみよう。
ギムレット。

「ロング・グッドバイ」レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 ハヤカワ文庫
満足度★★★★☆

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花とアリス殺人事件

2015年10月08日 | 映画(は行)
アナフィラキシー!



* * * * * * * * * *

岩井俊二監督によるアニメ。
予習のために「花とアリス」を見て、それもとても良かったのですが、
この度ようやくその本命である本作をみることができました。
ストーリーとしては本作が「花とアリス」の前日譚に当たります。
登場人物の声はアリスに蒼井優さん、花に鈴木杏さんが、そのままあたっています。



石ノ森学園中へ転向してきた中学3年のアリス。
その教室で、1年前に殺人事件があったというのです。
すでにその時の生徒は皆卒業しており、
誰もが伝え聞きの都市伝説めいた話ではあるのですが、
「ユダが4人のユダの妻に殺された」というもの。
本作は「殺人事件」とあるものの、ミステリが主題ではありません。
だからアリスが名探偵になって犯人を探しだしたりはしないのですが、
でも、謎は解けていきます。



一年前に3年一組にいた荒井花(ハナ)が
その事件のことを知っているかもしれないと聞いたアリス。
実はそのハナこそはアリスの家の隣の「花屋敷」に住む
不登校・引きこもりの少女なのであります。
殺人伝説と花の不登校の理由は別物ではなかったんですね。
実に興味深い真相が現れてきます。
でもそれにしても、本作のテーマは謎解きではなくて、
少女の不安定さであり、そしてまたしなやかな強さでもある。
花とアリスが次第に信頼関係で結ばれていくところがなんとも心地よい。



本作はロトスコープという実写から書き下ろす手法で描かれています。
だからよくある美少女アニメのように
巨大な目で棒きれみたいな手足をしたオンナノコは出て来ない。
きちんと骨も肉もある感じ。
特にバレエのシーンがステキです。

オジサンたちの動きや表情もリアリティーがありながらユーモラス。
アニメを超えたアニメ。
ぜひまた、みたいです。



花とアリス殺人事件 [DVD]
蒼井優,鈴木杏,勝地涼,黒木華,木村多江
ポニーキャニオン


「花とアリス殺人事件」
2015年/日本/100分
監督・原作・脚本:岩井俊二
出演(声):蒼井優、鈴木杏、勝地涼、黒木華、木村多江

ミステリ度★★★☆☆
少女像度★★★★★
満足度★★★★.5
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合葬

2015年10月07日 | 映画(か行)
未来を見失った若者たち



* * * * * * * * * *

杉浦日向子さんの原作コミックの映画化。
原作も今読んでいるところなのですが、
非常にその雰囲気がよくでていると思います。



時は幕末。
将軍の警護と治安維持を目的に結成された彰義隊は、
江戸の町人たちにも信頼を寄せられていましたが、
幕府の解体によって反政府的立場に追いやられてしまいます。

将軍慶喜に忠誠を誓った秋津極(キワム)(柳楽優弥)は、
彰義隊と官軍の決戦を望んでいます。
養子先から追い出され行くあてのない吉森柾之助(瀬戸康史)は、
幼なじみの極に誘われ彰義隊に入隊。
同じく幼なじみの福原悌二郎(岡山天音)は
彰義隊の意義には疑問を持ちながらも友人二人の身を案じて入隊。
そしてやがて決戦の時が・・・。



彰義隊にしても新選組にしても、激動の時代にあって、
幕府側にいた若者たちは幕府の終焉によって
彼らの当然あるべき未来が失われてしまったわけです。
夢も希望もあるべき彼らの、持って行きようのないエネルギーが、
どう見ても負の方向としか思えない方向へ向かっていく。



こんな時は、より真摯であろうとする者の方が
より修正が効きにくいんですね・・・。
実は、あまりこだわりがなくてただ流されている柾之助のほうが、
うまく生きていける。
これは幕末の物語ではあるけれど、もしかしたら何時の世でも
社会と若者の普遍的な関係のような気がしてきました。
新しい日本を信じて、前進しようとした者たちももちろんいたでしょう。
けれどそうでない者たちも多くいたということですね。
そのいわば負け組の物語も、私達の胸を打つ。
3人で写した写真が、心にしみますねえ・・・。



柳楽優弥さん、カッコ良かったです!! 
侍姿が似合います。
「許されざる者」の時と比べたら、全く違って、いい!

「合葬」
2015年/日本/87分
監督:小林達夫
原作:杉浦日向子
出演:柳楽優弥、瀬戸康史、岡山天音、オダギリジョー、門脇麦
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ドラフト・デイ

2015年10月05日 | 映画(た行)
微妙な駆け引きにドキドキ



* * * * * * * * * *

ドラフト会議というと日本ならプロ野球を思い浮かべてしまいますが、
これはNFL、アメリカのプロフットボールのドラフト会議なのでした。
映画開始前にこのドラフト会議の“お約束”が紹介されます。

・指名順は前年の成績が悪かった順

・指名順のトレードができる

・指名のための持ち時間は10分



これを踏まえて、さて、ストーリーは・・・、
12時間後に迫ったドラフト会議で
超王型新人の獲得を狙っているクリーブランド・ブラウンズのGM・サニー(ケヴィン・コスナー)。
彼は近年のチーム成績の低迷に責任を感じているのです。
オーナの横槍や、監督との対立でやや神経質に。
サニーはライバルチームの横暴な申し入れを受けて、
不利なトレードを受けてしまいます・・・。
誰もが認める有望新人ボー・キャラハンの指名権をほぼ手中にしながらも、
何故か彼の心は揺れにゆれるのです。
本当に彼でいいのか? 
彼が抱える問題点とは? 
そして実のところサニーの中では固まっていた別の人物もいて・・・。
チームのためももちろんありますが、
それはほとんど今後のサニーの人生を賭けていると言っていい決断。
・・・運命の時が迫る!



ミソなのはこの、指名順のトレードというところです。
ここに微妙な駆け引きがうまれ、一種の頭脳戦となるのです。
こうなると機転が勝負の分かれ目。
最後の10分。
落ち目のサニーが大逆転を巻き起こす!!



面白かったのは、指名順1位のチームが、大本命の選手を外す。
どのチームも喉から手が出るくらいに欲しかった選手です。
そうすると次のチームが儲けもの!とばかりにその選手を採ると思いますよね。
ところが、そうならない。
指名順2位、3位、4位・・・となってもその選手の名が呼ばれない。
つまり、1位が外したからには何か理由があるのではないか、
故障とか致命的な欠陥とか・・・、
皆そう思って、不安で指名できなくなってしまうんですね。
そういう皆の心の隙を突いて、第二の勝負に出るサニー。
実のところアメフトもドラフト会議の仕組みもよくわかっていない私ではありますが、
ハラハラドキドキさせられ、
見応えがあって、そして痛快な作品でありました。



ドラフト・デイ [DVD]
ケヴィン・コスナー,ジェニファー・ガーナー
バップ


「ドラフト・デイ」
2014年/アメリカ/110分
監督:アイバン・ライトマン
出演:ケヴィン・コスナー、ジェニファー・ガーナー、デニス・リアリー、チャドウィック・ボーズマン、フランク・ランジェラ
スリリング度★★★★☆
満足度★★★★☆
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ロシアン・ドールズ

2015年10月04日 | 映画(ら行)
友情であれ、愛情であれ・・・



* * * * * * * * * *

「ニューヨークの巴里夫」から時間を逆行してみました。
セドリック・クラピッシュ監督の「スパニッシュ・アパートメント」から始まるシリーズ3部作。
「スパニッシュ・アパートメント」から5年後、
「ニューヨークの巴里夫」の10年前という位置関係にあります。
私は先に「ニューヨークの巴里夫」を見てしまったので、
結局グザヴィエは最後に誰をえらぶのか、それはわかっていましたが、
それでも、とても興味深くみることができました。



30歳ライターのグザヴィエ(ロマン・デュリス)は、パリで次第に作家としても認められ、
ゴーストライターやテレビドラマの脚本を書きながら暮らしています。
女性遍歴は多々あるけれど、どれも結婚にまではいたらない。

「理想の女性なんかいない。夢を追うのやめなさい。」

グザヴィエは人にはそう忠告されますが、
何故か同じ警告を自分自身がある女性に発しているのに気付きます。
その相手がロンドンに住むウエンディ(ケリー・ライリー)。
彼女も、男性遍歴を重ねながら、結婚したいと思える人には巡り合っていないのです。


・・・というか、本作に登場する男女は皆そうなんですけどね。
そんな中で、愛を貫きロシア語までマスターして
ロシア人のバレエダンサーと結婚したのがウィリアム(ケヴィン・ビショップ)。
彼の結婚式のために、久々に「スパニッシュ・アパートメント」で共に暮らしたメンバーが集まります。
船の上で、どんちゃん騒ぎのパーティーの後の夕暮れ。
誰もがふと現実に帰り、物哀しい思いにとらわれる時間が訪れる・・・
という演出がナイスでした。
楽しい時や、これそ至上の愛!と思える瞬間は一瞬のものなんですねえ・・・。
けれどそんな時に、自分の本当の気持に向き合えるグザヴィエなのでした。


ロシアン・ドールズというのはつまりあの、マトリョーシカですね。
人形の中からまた人形が現れる。
それと同じように、一人の女性でも毎日一つの殻を脱ぎ捨ててまた別の面を見せる。
生きているということは変化することなのかもしれません。


ここでの一応ハッピーエンドは、10年後の物語では無残にも崩れているわけで・・・
無常です。
でも、愛情であれ、友情であれ、
長く信頼関係が続いていくというのもなんだかいいなあと思います。
本作ではグザヴィエとレズのイザベル(セシル・ドゥ・フランス)の関係が、
変にこじれることがなくて一番安心して見ていられます。


ロシアン・ドールズ スパニッシュ・アパートメント2 [DVD]
セドリック・クラピッシュ
角川エンタテインメント


「ロシアン・ドールズ」
2005年/フランス・イギリス/130分
監督:セドリック・クラピッシュ
出演:ロマン・デュリス、オドレイ・トトゥ、セシル・ドゥ・フランス、ケリー・ライリー、ケヴィン・ビショップ
人生と愛度★★★★☆
満足度★★★.5
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