映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

鉄道員 ぽっぽや

2015年01月22日 | 映画(は行)
高倉健さんを偲んで



* * * * * * * * * *

本作、私、見てなかったんですねー。
今さらながら見てみましたが、泣けて泣けて・・・。


舞台は北海道幌舞(ほろまい)線の終着駅、幌舞。
かつて炭鉱で栄えた街ですが、廃坑になってからはどんどん寂れて、
まもなく廃線になろうというところです。
高倉健さん演じる佐藤乙松はこの駅の駅長さん。
と言っても他に駅員はいません。
鉄道員(ぽっぽや)一筋でこれまでの人生を送ってきました。
幼い一人娘を亡くし、妻(大竹しのぶ)を亡くし・・・、
彼はそんな時もずっとこの駅に立ち続けたのです。
その乙松もこの春でいよいよ定年。
その後の生活のことを周囲のみなが気にかけているのですが、
本人は特にに何も考えてはいないよう・・・。
そんな時、駅を一人の少女が訪れます・・・。


長く子供ができず、やっとできた子供が
まだ赤ん坊のうちに病死。
炭鉱の事故で亡くなった人の子供を引き取って育てようかという話も出たけれど、
妻が病弱だったため断念。
そしてその妻も病で先に逝ってしまう。
好きな仕事一筋で生きてきたけれど、
あまりにもわびしい今のこの生活。
雪一色の風景の中で、本当に物悲しさが募るのですが、
そこへ息吹を吹き込むのは一人の少女です。
始めは小学校入学前の幼い女の子。
その次に現れたのは中学校入学前くらいの女の子。
そしてまたその後で高校生の女の子が現れて
乙松に親しげに話しかけます。
3人の姉妹なんだな、と乙松は思うのですが・・・。


「ジェニーの肖像」が大好きな私は、すぐにピンときました。
リアルで無骨な男の生涯の話と、
ちょっぴりファンタジックな部分との融合で、
本作は素晴らしい奥行きと広がりを見せています。
少女がつけていた赤いマフラーが鮮烈で印象的。
広末涼子さんのなんと可愛らしいこと! 
この舞台の中では特にそう感じます。
そしてこの2人のツーショットに、涙・・・涙・・・。
健さんには北海道の冬景色が似合いますねえ・・・。
つくづくいい作品でした。

鉄道員(ぽっぽや) [DVD]
高倉健,大竹しのぶ,広末涼子,吉岡秀隆,安藤政信
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)


「鉄道員 ぽっぽや」
1999年/日本/112分
監督:降旗康男
原作:浅田次郎
出演:高倉健、小林稔侍、大竹しのぶ、広末涼子、奈良岡朋子

健さんの魅力度★★★★★
満足度★★★★★