映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

トラッシュ!この街が輝く日まで

2015年01月16日 | 映画(た行)
正しいと思うことに突き進め!



* * * * * * * * * *

舞台はブラジル・リオデジャネイロ。
ゴミの山からめぼしいものを拾って生活している少年ラファエルが、
ゴミの中から財布を拾います。
その中入っていたのは、
お金、ID、少女の写真、アニマル・ロトのカード、そしてコインロッカーの鍵。
そんな矢先、警察がこの財布を探しにやってきます。
お金ではなく何か重要な秘密が隠されているらしい・・・。
ラファエルは友人のガルド、ラットとともに
この財布に隠された秘密を解き明かそうと奔走を始めます。



普通は落とし物の財布を警察に届ければそれでストーリーはおしまいです。
ところがここがブラジルという場所であるのが問題。
事実そうらしいのですが、
ブラジルの警察は汚職と賄賂にまみれて全く庶民の味方にはなってくれない。
ほとんどマフィアの手先になっていて、こりゃホントたちが悪い。
だから彼らを必死で追うのが警官。
少年たちは自分たちが「正しい」と思うことを、
逃走しつつ、命がけでやりぬこうとします。



彼らの親は全く登場しません。
多分、いないのですね。
まあ、だからこそこんなところで生活しているわけなのでしょう。
そこで、多少なりとも彼らの面倒を見ているのが
アメリカ人のジュリアード神父(マーティン・シーン)と
その娘オリヴィア(ルーニー・マーラ)。
心温まる存在です。
ラットはどうしてもお金が必要な時、
神父さんの引き出しからちょっと「拝借」してしまうのです。
でも後でちゃんと返すんですね。
その時に添えたメッセージがなんとも心憎い。



こんな風にバイタリティあふれる子どもたちの冒険譚は大好きです。
宮崎アニメに出てきそうな少年たち、
アニメでなくて、実写で行ってますものねえ。
そしてまた気持ちが真っ直ぐなのがなんとも、胸が熱くなります。
いまどきの日本にはこんな子どもたちはあまり見かけないですね・・・。
貧しいけれども、元気で、希望があって・・・
こういう子どもたちが将来いい国を作り上げてくれるといいのですけれど。
でも、貧しいとはいえ、やはり現代に生きる子どもたちなのです。
ネットを使いたいときには、こっそり神父さんのパソコンを拝借。
下水管に住んでいて、しかしながらパソコンもゲームもちゃんと持っている
ラット少年もナイス。
ちょっとぼんやりしているようで、でも記憶力は素晴らしい
ガルド少年も好き。
正義感があって賢いラファエル少年ももちろんいい。
そして最後の最後に目を疑う登場人物が・・・! 
突然スピリチュアルなはなしになってしまったのか?と驚きましたが、
そうではなかったのでした。
・・・まあ、私達が騙されてました。



新年早々良い物を見ました。
オススメです!

「トラッシュ!この街が輝く日まで」
2014年/イギリス/114分
監督:スティーブン・ダルドリー
脚本:リチャード・カーティス
出演:リックソン・テベス、エデュアルド・ルイス、ガブリエエル・ウィンスタイン、マーティン・シーン、ルーニー・マーラ

ハラハラ度★★★★☆
子どもたちのバイタリティ★★★★★
満足度★★★★★