映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

Love Letter

2015年01月18日 | 映画(ら行)
ちっとも古びないみずみずしさ



* * * * * * * * * *

岩井俊二監督作品。
北海道小樽も舞台の一つということで
以前から見たいと思っていた作品です。
でももう20年近く前のものだったんですね。


事故で婚約者を亡くした博子(中山美穂)。
その彼が昔住んでいたという住所(北海道・小樽)は、
今はもう国道になってしまっているというのですが、
戯れに、届くはずのない手紙を出してみました。
ところが、何故か返事が届くのです。
でもこれはミステリではありません。
愛の奇跡でもありません。
その住所には彼と同姓同名の「藤井樹(いつき)」が住んでいたのでした。
ただしこちらは女性で、中山美穂が一人二役を演じています。


亡くなった彼と同じ名前の樹は中学時代同級生。
博子は中学の卒業アルバムで間違えて
女子・樹の住所を彼の住所と思い込んでいたわけです。
何の不思議もなかった、ということですね。
つまり本作、博子(中山美穂)と樹(中山美穂)の
手紙のやり取りを軸に進行していきます。
二人はついに最後まで実際に対面することはなく、
手紙のやり取りがあるだけです。
実にユニーク!! 


ストーリーはほとんど中学時代の二人の藤井樹のやりとりが語られます。
中学時代の女子・樹が酒井美紀で、
男子・樹が柏原崇。
こんなところもおいしいですよね~。
特にこの男子・樹。
女の子には結構もてていたようなのですが、本人全くその毛なし。
女の子に対しては特にブッキラボウ。
だがしかし、実はこの二人、親しく話したこともないと言いながら
実はむちゃくちゃ互いに気になっているというところが見て取れるのです。
やはり中学生ですよねえ・・・。
初々しくて、微笑ましくて・・・。
オバサンは、目尻が下がりっぱなし。
女子・樹は、中3で転校していった男子・樹のことを思い出し、懐かしく思いますが、
彼女はまだ男子・樹が今はもう亡くなっていることを知りません。
博子は樹のことを過去のこととし、
新たな恋人・秋葉(豊川悦司)と新たな道を歩み始めようと思っていたのですが、
思いがけず活き活きした中学時代の樹のエピソードに触れ、
また気持ちが揺れていきます。


単純には割り切れない人が人を思う気持ち。
みずみずしい感動を呼ぶ作品です。
しかし、20年前の作品とはいえ、全く古びないフレッシュさ。
これはやはり岩井俊二作品だからこそですね。
もちろん、中山美穂も、トヨエツも、ステキに若くて、いいですしねえ・・・。
未見の方にはぜひおススメします。

Love Letter [DVD]
岩井俊二
キングレコード


「Love Letter」
1995年/日本/113分
監督:岩井俊二
出演:中山美穂、豊川悦司、酒井美紀、柏原崇、范文雀
みずみずしさ★★★★★
満足度★★★★☆