映画と本の『たんぽぽ館』

映画と本を味わう『たんぽぽ館』。新旧ジャンルを問わず。さて、今日は何をいただきましょうか? 

「高原のフーダニット」 有栖川有栖

2014年12月31日 | 本(ミステリ)
おススメは夢十夜

高原のフーダニット (徳間文庫)
有栖川 有栖
徳間書店


* * * * * * * * * *

「先生の声が聞きたくて」
気だるい日曜日、さしたる知り合いでもない男の電話。
それが臨床犯罪学者・火村英生を血塗られた殺人現場へいざなう一報だった。
双子の弟を殺(あや)めました、男は呻(うめ)くように言った。
明日自首します、とも。
翌日、風薫る兵庫の高原で死体が発見された。
弟と、そして当の兄の撲殺体までも……。
華麗な推理で犯人に迫る二篇に加え、話題の異色作「ミステリ夢十夜」を収録!
名探偵火村英生・作家有栖川有栖コンビの新たな醍醐味、全3編!

* * * * * * * * * *

有栖川有栖氏作品は、やっぱり火村准教授と有栖川有栖のコンビがいい。
改めてそう思いました。
本作は3編の中編からなりますが、
一作目、「オノコロ島ラプソディ」はやや拍子抜けの感あり。
舞台は淡路島というのも、ちょっと旅情を誘われて、それはいいのですが、
このアリバイ作りのやり方というのがあまりにも・・・。
うそ~!と言いたくなってしまうくらい納得出来ないものではありました。
まあ、数あるトリックの中にはこんなのもありか、
というくらいの笑って済ますべき作品・・・かな?


でも次の「ミステリ夢十夜」、私はこれが一番好きです。
その題名からして分かる通り、
すべて「こんな夢を見た」から始まる夢のお話。
有栖が事件の犯人にされたり、殺されかけたり・・・
まあ、夢なので散々な目に合うのですが、通常ありえないからこそオモシロイ。
イマジネーション豊かな10話をたっぷり楽しめます。


最もミステリ的なミステリは最後の「高原のフーダニット」。
フーダニットは、ミステリ通の方ならいうまでもありませんが、
Who done it、
誰がやったのか、つまり犯人は誰かというミステリの基本ですね。
双子の兄弟の片方が、もう片方を殺してしまったという告白の電話が火村のところにあり、
しかしなんとその本人もまた殺されてしまった。
犯人はその高原に住む一定の人々に限られる。
さあ、犯人は誰か。
コンビの掛け合いの中から少しずつ謎が解き明かされていく。


つまり色々なスタイルのミステリを楽しめる一冊でした。

「高原のフーダニット」有栖川有栖 徳間文庫
満足度★★★☆☆
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ゴーン・ガール

2014年12月30日 | 映画(か行)
怖すぎる結婚生活



* * * * * * * * * *

結婚5周年の記念日に妻エイミー(ロザムンド・パイク)が失踪。
自宅のキッチンから大量の血痕が発見される。
警察は夫ニック(ベン・アフレック)に疑いをかけ、捜査を進める。
メディアがこの事件を取り上げたことで、
ニックに全米から疑いの目が向けられるが・・・。



妻が失踪。
実はその夫が殺人犯・・・というのはまあ、ありがちな話。
夫ニックはその日、朝からバーでお酒を飲んだりしており、
いかにも怪しい。
が、しかし! 
物語は予想を裏切るまさかの展開を見せていきます。



本作、妻の失踪事件もさることながら、
そのことを報道するメディア、テレビやらネットやらが
大きな要素を占めています。
というのも、この妻エイミー、
児童文学作家として有名な両親が、彼女をモデルに
「アメージング・エイミー」というシリーズ本を出版しており、
つまり彼女は子供の頃から私生活を世間に晒していたに等しい。
そして常に理想の子ども像、「完璧な少女」で在り続けていた。
だからこの結婚でエイミーは夫ニックにも完璧な夫であり続けて欲しかったし、
完璧な結婚を演じ続けたかったのです。本当は。
しかし結婚前は確かに理想の恋人だったのですが、
結婚してみると当然のことながら理想とは違う。
夫は失業し、NYから夫の実家のあるミズーリ州のど田舎に越してこなければならず、
しかもあろうことか浮気までしている。
常にマスコミからもてはやされ賞賛の目で見られていた彼女が、
この凋落に耐えられなくなってしまうのです。
・・・が、彼女のやり方はいかにも常軌を逸している。



オソロシイです。
いくらなんでもそこまでの仕打ちを受けなければならないほどの
ひどいことをニックがしていたとは思えませんものね・・・。
が、それに加えた彼女のもう一つの事件が・・・。
オソロシイ・・・・。



粉砂糖の舞う中での甘いキスのシーン。
こんなにも幸せな恋人たちが、
結婚して数年でこんなふうになってしまうなんて・・・。
なんて皮肉なのでしょう。
いやはや、でも結婚生活がすべてこんな訳ではありませんから、
若い方々、決して悲観しませんように。
本作は、あまりにもニックが気の毒な立場なので、
有能な弁護士と、決して裏切らない双子の妹、
そして冷静な女警官まで味方につけていましたね。
だけれどもそれでも太刀打ち出来ないって、スゴイ・・・。
何度も言うけどホントに怖い、ロザムンド・パイク。
ただただ戦慄してしまう一作。
それにしても、本作、まさしく現代の風潮を表していますが
善悪を決めるのは裁判ではなくて
メディアの評判。
メディアを味方につけたほうが勝ち。
何かおかしいけれど、最近は確かにこんなふうです。



「ゴーン・ガール」
2014年/アメリカ/148分
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー、キム・ディケンズ

戦慄度★★★★★
予想外の展開度★★★★☆
満足度★★★★★
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メイジーの瞳

2014年12月29日 | 映画(ま行)
子供から見た両親の不和



* * * * * * * * * *

ロック歌手の母(ジュリアン・ムーア)と美術商の父(スティーブ・クーガン)を持つ
6歳メイジー(オナタ・アプリール)。
この2人が離婚したため、メイジーは10日毎に
二人の家を行ったり来たりすることになります。
父はベビーシッターのマーゴと、
母はバーテンダーのリンカーンと暮らすようになるのですが、
相変わらず二人は仕事に忙しく、
10日ごとのメイジーのお迎えすらおろそかに・・・。



子供そっちのけで口汚く喧嘩する夫婦の図は非常にありふれているのですが、
本作はメイジーに寄り添った描写で、
両親の不和が非常に不安なものに見えます。
メイジーを取り合い、愛していると口では言いながら、
結局は自分の都合ばかりを優先する父と母。
しかしメイジーは、気丈にもじっと耐えています。


メイジーの友人が泊まりに来るシーンがあるのですが、
彼女は夜中にホームシックで泣き出してしまい、
お父さんに迎えに来てもらいました。
本当はそういう年頃なのです。
メイジーはそうした点で、強いというよりも、
強くならざるを得なかったということが読み取れて、切なくなります。


メイジーは父や母よりも、
それぞれのパートナーであるマーゴやリンカーンといる時のほうが長くなってきます。
また、そうしている時のほうが心に安らぎを覚えるようになってくる・・・。
ある時は、学校のクラスのみんなに
リンカーンを「私の新しいパパよ」と紹介したりします。
母親にかまわれないメイジーの気持ちを汲み取り、
彼女に何かと気遣ってくれるリンカーンの気持ちが
すんなりと彼女に通じたのでした。
しかし、そんなことすら母にとっては面白くないという・・・。
そもそもメイジーの父母こそが未熟なのですね。
血のつながりだけが親子の証ではない。
いえ、この場合はその血のつながりこそがむしろ厄介だ。
心と心で寄り添うことができるかどうか。
そこが肝心ということなのでしょう。




離婚した両親の間を子供が行き来する作品はとても多いですが、
ここまで子供の気持ちにストレートに標準を合わせた作品はなかったように思います。
別れるのは仕方ないにしても、
少しでも子供に不安を感じさせなように、十分な配慮が必要なのだなと思いました。
マーゴとリンカーンの出会いはバツの悪いものでしたが、
でもそこでチョッピリ予感はありました。
あ、この二人ちょっといい感じ、って。
アレクサンダー・スカルスガルドのこの感じ。
好きだなあ・・・。
メイジーでなくても、好きになりますって。

メイジーの瞳 [DVD]
ジュリアン・ムーア,アレキサンダー・スカルスガルド,オナタ・アプリール,ジョアンナ・ヴァンダーハム,スティーヴ・クーガン
ポニーキャニオン


「メイジーの瞳」
2012年/アメリカ/99分
監督:スコット・マクギー、デビッド・シーゲル
出演:ジュリアン・ムーア、アレクサンダー・スカルスガルド、オナタ・アプリール、ジョアンナ・バンダーハム、スティーブ・クーガン

子供の心情度★★★★★
満足度★★★★☆
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グランド・イリュージョン

2014年12月28日 | 映画(か行)
正義は誰にありや?



* * * * * * * * * *

4人組のスーパーイリュージョニストグループ「フォー・フォースメン」。
彼らが、ラスベガスでショーをしながら
遠く離れたパリの銀行から金を奪うというマジックを披露します。
それはもちろん超能力でも何でもなく、タネも仕掛けもあるのですが。
初めから舞台に上がる観客は選ばれていたのだな、
というところくらいまでは想像がついたのですが、
その後の全く信じられない技には
実際すっかり度肝を抜かれてしまいました。



しかし、このことについてはあとできちんと種明かしがありまして、
それを知ってみればたしかに、なあんだ・・・というところです。
そもそも、マジックというのはそんなものなのかもしれません。



さてしかし本作、マジックと称しながら、
実際にパリの銀行の金庫から大金が消えた!!
当然、フォー・フォースメンたちに疑いがかかるわけですが、
間違いなく彼らはラスベガスの大観衆の前にいた。
頭を抱える警察。
そんな時、FBI捜査官ディラン(マーク・ラファロ)と
インターポールのアルマ(メラニー・ロラン)が捜査に乗り出します。


本作は登場人物たちを見つめる視線が、誰を中心とするでもなく、中立なのです。
マジシャンたちでも捜査官でもなく淡々と事象を追う。
また、マジックのタネを暴くことを仕事としている
サディウス(モーガン・フリーマン)という男も登場。
ではこちらが主人公かと思えばそういうわけでもない。


誰もがそれぞれの立場に忠実に、
それぞれのすべきことをしている。



だがしかし!! 
ひとつ大きな騙しが隠されています。
これらすべてのことを影で操り糸を引いている人物がいる。
それは一体誰なのか。
・・なるほど、そういうことを隠すために、誰に正義を置くわけでもなく、
淡々とストーリーが進むわけか。
最後まで見てようやく納得なのでした。



つまりは因縁話であったわけですが、
大掛かりなイリュージョンとともに、なかなか楽しめて、
そして騙される作品でした。
ジェシー・アイゼンバーグの口から流れるマシンガンのような言葉。
やっぱりスゴイ。



グランド・イリュージョン [DVD]
ジェシー・アイゼンバーグ,マーク・ラファロ,マイケル・ケイン,モーガン・フリーマン,ウディ・ハレルソン
KADOKAWA / 角川書店


「グランド・イリュージョン」
2013年/アメリカ/116分
監督:ルイ・レテリエ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、マーク・ラファロ、ウッディ・ハレルソン、メラニー・ロラン、マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン

マジック度★★★★★
満足度★★★★☆
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「東京観光」 中島京子

2014年12月26日 | 本(その他)
一筋縄ではいかない展開

東京観光 (集英社文庫)
中島 京子
集英社


* * * * * * * * * *

アパートの水漏れがきっかけで、下の階に住む男と親しくなったあかり。
男はある日、奇妙な相談を持ちかける。
「俺と、部屋を交換しない?」(「天井の刺青」)。

街のあちこちに灰色の公衆電話が存在していた、あの時代。
初めて東京を訪れた私が泊まったホテルの部屋には、
なぜか外国人女性が住んでいて……(「東京観光」)。
不思議で、ユーモラスで、じんわり染みる。
直木賞作家が贈る、味わい深い七つの物語


* * * * * * * * * *


中島京子さんの短篇集ですが、
それぞれに異なる味わいで、楽しめる一冊です。


冒頭「植物園の鰐(わに)」は、
タミコが植物園に行くと鰐に会えるという噂を頼りに
植物園を訪れる話。
鰐に会う? 
バナナワニ園にでも行けば?と一瞬思うのですが、
そうではなくある特定の鰐であるらしい。
ではこれは何か、寓話的なあるいは象徴的なストーリーなのか
と思いながら読み進みます。
銀杏の精の扮装をした大道芸人やら、
薬草園の男やら、
車椅子を押す男と、
深い意味があるようなないようなやりとりを繰り返しながら
たどり着いた先には・・・。
ごく普通の現実があるだけだったという意外な結末。
この意外性に逆に驚かされました。


「ポジョとユウちゃんとなぎさドライブウェイ」
ポジョという女の子が、
特別に親しいというほどでもないユウちゃんという女の子と、
ドライブ旅行に出かけるというストーリー。
このユウちゃん、失恋したて。
本当は彼と行くはずだった旅行がダメになったので、
やむなくポジョを誘ったというのが真相のようです。
でもユウチャンはその彼にまだ未練イッパイで、
イジイジとメール攻撃をしたりしている。
この子はいつもこんなふうだ・・・と、ポジョは思う。
悪い子じゃないんだけど、男と見ればすぐ擦り寄って行く。
なまじ可愛い顔なので、一瞬はいい仲になるのだけれど、すぐに駄目になる・・・。
こんなふうで、本作、
ポジョがユウちゃんのダメダメだけれどどこか魅力的な人間性を分析していくストーリーなのか?
と思ったのですが、
実は本題はポジョ本人の問題なのでした。
これもまた、意外な成り行きに驚かされ、そこがまたオモシロイ作品。


表題作「東京観光」
東京観光と言いつつ、東京タワーも浅草もディズニーランドも出てきません。
まだ20世紀のこと、保険外交員の「私」が、研修で初めて訪れた東京。
そのホテルの部屋に、何故か外国人女性が住み着いていたのです! 
人のよい「私」は3泊4日の東京滞在中、
彼女・マリアナと同室することにして、互いに親しくなっていきます。
賑やかで豊かに見える東京の裏のリアルな姿を「私」は知るわけですが、
でもそれは思ったほど悲惨というわけではありません。
何よりもマリアナとその同郷の友人たちの
たくましさと明るさに救われます。
でも確かに何よりも記憶に残る「私」の
東京の思い出となったわけです。


「東京観光」中島京子 集英社文庫
満足度★★★★☆
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ダーク・ブラッド

2014年12月25日 | 映画(た行)
青年の孤独と狂気



* * * * * * * * * *

本作は、1993年23歳で亡くなったリバー・フェニックスの遺作です。
本作の撮影中に亡くなったため未完のままとなっていましたが、
近年大病を患い余命宣告を受けた監督が、
キャリア最後の作品として取り組み完成させたという作品。
そのため、撮影できなかった部分をナレーションで補っている部分もあります。
冒頭で監督自身が、
「本作は脚が2本しかない椅子に、もう一本の足を加えたようなものだ」
と述べていました。
3本の足で何とか立っているけれども、
永遠に4本の足にはならない、と。



かつて核実験場だったアメリカの砂漠。
ハリウッドから来た裕福な夫婦の車が
この砂漠の真ん中でエンストを起こしてしまいます。
彼らは、ネイティブアメリカンの血をひく青年・ボーイ(リバー・フェニックス)に助けられ
一人住まいの彼の小屋に泊めてもらうのです。
しかし、彼は美しい人妻バフィー(ジュディ・デイボス)に執着し始め、
2人をこの砂漠に足止めしようとします。
次第にこの青年の狂気が見えてくる・・・。



妻を病でなくし、孤独で朴訥な青年。
・・・はじめはそのように見えていたのですが、
次第に狂気をのぞかせていく青年。
果てしなく広がる砂漠は、彼らを閉じ込める檻と同じ。

まるでこの砂漠全体が青年の手のひらの中のようだ。
そして、青年の狂気にあてられた夫にもまた、
狂気が伝染していくようでもある。
白人に迫害された歴史を持つネイティブアメリカンが、
ここではまたさらに、核実験によって住む場所を奪われて行った。
そういう背景の上に成り立っている悲劇。
青年の救いようのない孤独と狂気が印象深い作品です。



さて、リバー・フェニックスが見たくて見た、
などと言っても、実のところ他には「スタンド・バイ・ミー」くらいしか見ていない。
・・・あ、インディ・ジョーンズは見たけど。
お恥ずかしい限りです。
せめて、「マイ・プライベート・アイダホ」くらいはそのうち見ようと思います。
生きていれば40半ば・・・
一番いい時期なんですけどねえ。
つくづく残念でした。



ダーク・ブラッド [DVD]
リヴァー・フェニックス,ジュディ・デイヴィス,ジョナサン・プライス
TCエンタテインメント


「ダーク・ブラッド」
2012年/アメリカ・イギリス・オランダ/86分
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:リバー・フェニックス、ジュディ・デイビス、ジョナサン・プライス
リバー・フェニックスを偲ぶ度★★★★★
満足度★★★☆☆
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なんちゃって家族

2014年12月24日 | 映画(な行)
人と人が寄り添うのに血のつながりは関係ない



* * * * * * * * * *

デビッド(ジェイソン・サダイキス)はケチな麻薬の売人ですが、
ある時、街のチンピラに
クスリもお金も持ち去られるというアクシデントに遭遇。
そのため、麻薬取引の元締めからの無理な依頼を断れなくなってしまいました。
それはメキシコから麻薬を輸送せよとのこと・・・。
デビッドは「家族旅行中の家族」を装うことで、
メキシコからの出国が用意になるのではないかと考え、
身近な人を仲間に引き入れ、メキシコへ向かいます。

彼の偽ファミリーとなったのは、
貧乏なストリップダンサーのローズ(ジェニファー・アニストン)、
世間知らずで童貞の男子ケニー(ウィル・ポールター)、
パンクな家出娘ケイシー(エマ・ロバーツ)。
元締めの用意したなんとも豪華なキャンピングカーで、メキシコへ。
しかし、ほんのちょっとのはずが、2トンの麻薬。
しかもこれは元締めのインチキで、
彼らは密売組織から麻薬をだまし取った事になってしまった。
騙されたと知った組織からの追手が迫る。
一方、帰途についた彼らは、同じくキャンピングカーの一家と知り合うのですが、
なんとそこのご主人は麻薬取締官。

そしてケニーには巨大な毒グモが迫る・・・!!



なんとも笑ってしまう危機一髪の連続。
楽しめました。
インチキファミリーですが、
次第に本当の家族以上に家族らしくなっていくのも見ものです。
特にローズは、肝っ玉母さんめいて、世話好きで逞しくて・・・
ほんとにいいお母さんという感じ。
人と人が寄り添うのに血のつながりなんか本当は必要ない!



コメディではありますが、
結局彼らが麻薬の密輸で儲けてしまっては、やはり収まりが悪い。
そんなところもうまく着地しています。
ちょっと前にある作品で、
メキシコから汲み取り車で麻薬を運ぶというシーンを見ました。
やはり本当にメキシコで麻薬が生産されて、
いかにアメリカへ持ち込むかが問題ということなんでしょうね・・・。



本作で光っているのは、ケニー役のウィル・ポールター。
好奇心だけは旺盛だけれど世間知らずでウブな青年。
「リトル・ランボーズ」や「ナルニア国物語」もよかった。
一度見たら忘れられない風貌。
今後も楽しみです。

なんちゃって家族 ブルーレイ&DVDセット(初回限定生産)2枚組 [Blu-ray]
ジェニファー・アニストン,ジェイソン・サダイキス,エマ・ロバーツ,ニック・オファーマン,キャスリン・ハーン
ワーナー・ホーム・ビデオ


「なんちゃって家族」
2013年/アメリカ/109分
監督:ローソン・マーシャル・サーバー
出演:ジェニファー・アニストン、ジェイソン・サダイキス、エマ・ロバーツ、ウィル・ポールター、エド・ヘルムズ
危機一髪度★★★☆☆
ユーモア度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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「冬姫」 葉室麟

2014年12月22日 | 本(その他)
それぞれの女たちが守りぬこうとしたもの

冬姫 (集英社文庫)
葉室 麟
集英社


* * * * * * * * * *

織田信長の二女、冬。
その器量の良さ故に、父親に格別に遇され、
周囲の女たちの嫉妬に翻弄される。
戦国の世では、男は戦を行い、熾烈に覇権を争い、
女は武器を持たずに、心の刃を研ぎすまし、苛烈な"女いくさ"を仕掛けあう。
その渦中にあって、冬は父への敬慕の念と、
名将の夫・蒲生氏郷へのひたむきな愛情を胸に、
乱世を生き抜いてゆく。
自ら運命を切り開いた女性の数奇な生涯を辿る歴史長編。


* * * * * * * * * *

織田信長の娘、冬のストーリーです。
信長の息子たちは多少なりとも歴史にも登場しますが、
娘というのは、表舞台には登場しません。
そもそも、娘なんていたのか。妹なら知っているけれど・・・と、まずは思う。
信長の正妻は今テレビドラマ「信長協奏曲」にも出てくるとおり帰蝶さんで、
ドラマではラブラブですが、実のところは側室も何人かいたのですね。
だから、子供はずいぶんたくさんいたのです。
本ストーリーの冬を産んだ母は、彼女を産んでまもなく亡くなったことになっています。
この頃の武将の娘たちの御多分にもれず、
政略結婚で、彼女は蒲生氏郷に嫁ぐのですが、
思いの外それは幸運な結婚であったようです。
例えば信長の妹、お市の方のように夫が信長と敵対関係になったりはしなかった。


しかし、この乱世で女たちもまた熾烈な戦を繰り広げているのです。
それは彼女たちが何を大切にし、守ろうとするのか、
その立場の違いで軋轢が起こったりもするのです。
あくまでも「織田家」のものであろうとするもの。
自分の嫁いだ先の家を守ろうとするもの。
ひたすら我が子を盛り立てようとするもの・・・。
どれも女のあり方で、この"女いくさ"は、なかなか怖いですよ・・・。


そんな中で本作の冬は、美しく聡明、たおやかで魅力的です。
彼女は嫁いだ先で、夫を愛し、蒲生の家を守ろうとします。
葉室麟さんには珍しく若干リアルを離れて"念"の世界へ踏み込む部分も。
それが科学では割り切れない、この時代性を醸しだしてもいます。
女性が主人公という特性にも適しているように思います。
そして何と言っても、終盤で明かされる彼女の出生の秘密。
ここで一気に気持ちが盛り上がります。
なるほど・・・そういうことだったのか!


ところで蒲生家というのは、全然知らなかったのですが、
一時会津の藩主だったのですね。
ただ、嗣子がなくなってしまったために、廃絶となってしまったのだとか。
私、会津藩にはただならぬ思い入れがあるので、これも嬉しいつながりでした。


「冬姫」葉室麟 集英社文庫
満足度★★★★☆
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エンダーのゲーム

2014年12月21日 | 映画(あ行)
少年の成長の物語



* * * * * * * * * *

最近CG多用のSFアクションものは苦手になってきている私、
しかも「ゲーム」となれば守備範囲外?
とも思えて、公開時には見ていなかったのですが、
このたび何気なく観てみました。
地球を侵略しようとする異星人と戦う話ではありますが、でも普通のヒーロー物とは一味違う。
それというのも本作、原作はSF作品の登竜門、ヒューゴ賞とネビラ賞ダブル受賞の作品。
だからストーリーがしっかりしています。



エンダーはまだ少年ながらもその才能を見込まれて、
異星人の襲来に備える国際艦隊のバトルスクールに進みます。

彼はそこで優秀な成績を収め、みるみる頭角を現していく。
この過程が割と丁寧に描かれていまして、
本作、異星人との闘いというよりもむしろ、
少年がいかにリーダーシップをとり、みんなをまとめあげ、
そして自らの知恵とひらめきを活かした作戦を遂行できるか・・・
というところに主眼が置かれた物語なのでした。



ハリソン・フォード演じる“大佐”が、
これでもかと言わんばかりに、エンダーに試練を与えます。
わざと周囲から浮いてしまうような扱いをして、彼の技量を見極めようとする。
獅子は我が子を谷に突き落とす・・・と、それを地で行ってる感じ。
優しさと勇壮さを合わせ持つエンダーは大佐の期待に応え、
ついには最終の戦闘シミュレーションの場を迎える・・・。
驚きの結末。
ひゃー、そうだったのか・・・。
でも、その後に来るエピソードがまたいいのです。
敵を理解することを大事にするエンダーならでは。
結構面白かった。



「エンダーのゲーム」
2013年/アメリカ/114分
監督:ギャビン・フッド
原作:オースン・スコット・ガード
出演:エイサ・バターフィールド、ハリソン・フォード、ベン・キングスレー、ビオラ・デイビス、ヘイリー・スタンフェルド

意外性★★★★☆
満足度★★★★☆
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きっと、うまくいく

2014年12月20日 | 映画(か行)
All is well



* * * * * * * * * *

本作、言うまでもなく「チェイス!」のアーミル・カーンつながりで見たわけですが、
これがまたやたらとオモシロイ。



舞台はインド屈指のエリート理系大学ICE。
機械よりも動物の写真を取るのが大好きなファラン。
なんでも神頼みの苦学生ラジュー。
二人は大学の寮で、自由で型破りのランチョー(アーミル・カーン)と同室になります。
ずば抜けた知能を持ちながら、偉ぶらず、友人思い。
自由で楽天家なランチョーに二人はすぐに惹きつけられ、
3バカトリオとなって、てんやわんやの大学生活を送っていきます。
ところが大学の卒業直後から、ランチョーは姿を消し行方不明。



物語はその10年後、ファランとラジューが
ランチョーを探し求める旅と、学生時代の出来事を
交互に追っていきます。



何と言ってもランチョーの自由奔放さがいいですね。
学問そのものよりも、競争の勝者になることのほうが重要とする権威主義、
その権化である学長とのバトル。
高度成長期のインドの風潮に問題を投げかけているわけですが、
これは今の日本にだって十分通用する話です。
また、その敵役である学長の娘と恋愛関係になっていく
というのもしゃれています。
ランチョーはなんでも思ったことを実行できるのかと思えば、
なかなか彼女に思いを告げられないという、
気弱なところをのぞかせるあたりもいいですよね。
キスをするときに鼻がじゃまになるのではないか・・・と、
心配していたという・・・。
実に愛すべき青年であります。



さて、幾度かの退学の危機も乗り越えて、充実した大学生活だったはずなのに、
なぜ卒業後に彼は姿を消してしまったのか。
そこにはランチョーの重大な秘密が隠されています。
ファランとラジューの旅は、彼の秘密を解き明かす旅でもあるわけです。


笑いあり、涙あり、もちろん歌も踊りもあり。
これもあっという間の170分。
実のところ、インド映画は長すぎると思います。
見れば面白くてあっという間で、飽きるヒマはないのですが、
約3時間見ようとするためには、若干の覚悟が必要なんですよね・・・。
しかし、歌と踊りを入れて、登場人物たちへの共感を深めるためには
そういう長さが必要ということか。
インドではセカセカした日本よりも時間がゆったり進むのかも。



私は、「チェイス!」よりもこちらのアーミル・カーンのほうが気に入りました。
「チェイス!」のマッチョなアーミル・カーンもかっこいいですが、
ちょっとケレン味が強すぎ。
本作のほうが自然体で好感が持てます。
すっかり、ファンになってしまいました。
(若き日の加山雄三+ジュード・ロウ)÷2・・・みたいな。
違うだろうって? 
まあ、あくまでも私の感想。
どちらも好きなんで。
そう言えば本作のアーミル・カーン、40代なのに学生役。
でも全然変ではなかった。
それもスゴイ。

きっと、うまくいく [DVD]
アーミル・カーン,カリーナ・カプール,R・マーダヴァン,シャルマン・ジョーシー
Happinet(SB)(D)


2009年/インド/170分
監督・脚本:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R・マーダビン、シャルマン・ジョーシー
満足度★★★★★
何がって、とにかくひたすら見たアトの感じがいい。
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「限界集落株式会社」黒野伸一

2014年12月18日 | 本(その他)
人々の意識こそが一番の問題

限界集落株式会社 (小学館文庫)
黒野 伸一
小学館


* * * * * * * * * *

起業のためにIT企業を辞めた多岐川優が、
人生の休息で訪れた故郷は、
限界集落と言われる過疎・高齢化のため社会的な共同生活の維持が困難な土地だった。
優は、村の人たちと交流するうちに、
集落の農業経営を担うことになる。
現代の農業や地方集落が抱える様々な課題、抵抗勢力と格闘し、
限界集落を再生しようとするのだが……。


* * * * * * * * * *

限界集落。
今、日本の地方はこの問題で頭を抱えているところです。
田や畑はあるのに、人がいない。
若い人がどんどんいなくなって、老人ばかり取り残された村。
そこへやって来たのが「経営」のプロである多岐川。
本作でユニークなのは、
自然に憧れ、無農薬や有機栽培の農業を始めたいという人ではなくて、
純粋に「経営」という立場から農業を考えるところです。
これまではあくまでも、個人・家で行っていた農業を共同で行うことで、
もっといろいろな可能性が見えてくるのではないか・・・ということなんですね。
経費の効率化や、作業分担、
消費者のニーズに合わせた作付、流通の仕方・・・等々。
都会の生活に疲れて田舎で暮らしたいと思う人は多いはず。
でも、いきなり農業を始めると言ってもどうしていいかわからない。
会社組織であれば、とりあえず何か一部の役割を果たして「給料」を貰えばいい。
人が多くいれば休みだって取れる。
テーマパークのようにまでなってしまうのはどうかと思いますが、
実際、こういう方法はすごく現実的で今後に向けて有効なのでは・・・と思います。
まさに地方再生へ向けてのヒントがありますね。


それにしても「共同化」に反対の人々や「農協」の嫌がらせ・・・。
何処にでもこうした軋轢があるのでしょうが、
人々の意識をも変えていかなければダメですね。
そこが最も難しい。

「限界集落株式会社」黒野伸一 小学館文庫
満足度★★★★☆
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小さいおうち

2014年12月17日 | 映画(た行)
原作を知らずに観るべきだった



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中島京子さんの原作本がとても気に入って、
私としての満足度はなんと★★★★★★だったくらい。
でもそれだけに、イメージが壊れるのが嫌で、公開時にみていなかった本作。
この度ようやく拝見。



う~ん、イメージ全くそのままです。
でもそれ故に、なんだか驚きがなく・・・。
原作のストーリー及びその時の感想がこちら   

→「小さいおうち」中島京子



今回映画を見ても同じ感想が浮かぶだけ。
それだけ原作に忠実に丁寧に作られた作品なので、
原作を読んでいない方にはお勧めです。
でも本を読んだ人がわざわざ見るまでもなかった。
キャストもピッタリなんですけどね。
松たか子さんの若奥さま。
黒木華さんの女中。
しかも妻夫木聡さんまで出ているし。
つくづく原作を知らずに見るべき作品でした・・・(T_T)



ただ「小さなおうち」のホンモノ(?)が観られたのは良かったです。
こればかりは本では想像しきれなくて。
昭和モダン。
ステンドグラスの入った窓、洋風の家具。
当時としては画期的に“モダン”だったでしょうね。
田舎から出てきたタキにとって、
夢のように素敵で幸せな家庭に映ったに違いありません。



「小さいおうち」
2014年/日本/136分
監督:山田洋次
原作:中島京子
出演:松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡、倍賞千恵子

原作再現度★★★★★
満足度★★★☆☆
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マナに抱かれて

2014年12月16日 | 西島秀俊
西島秀俊 in HAWAII

マナに抱かれて [DVD]
川原亜矢子,西島秀俊,宮崎美子,美波,蟹江敬三
東宝


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えーと、久しぶりに西島秀俊作品の番となったのですが、
 その間に、なんと西島秀俊さんの結婚発表がありました!!
ファンとしては、やはりショックですよね~。
でもなんだか、相手の女性を中傷するようなこととか
 西島さんの人気もこれまでだとか・・・
 やっかみ半分なのかもしれないけれど、そんな評判も立ってるみたい。
 相手が女優さんなら諦めもつくけれど、
 一般女性ということなら、やっぱり悔しい思いがしちゃうのかな?
う~ん、私としては誰かのものになってしまう、
 というのがやっぱり、残念な気はするけど、
 でもこれからもファンとして応援する気持ちは変わらないよ~。
 むしろ、ミーハーなファンが減ったほうがうれしい、
 なんていうマニアックな心理もあったりする。
何いってんの、ミーハーなファンそのもののくせに。
まあ、いつまでも独身というのもなんだか惨めっぽい感じがするから
 ちょうどいい頃合いなんじゃないかな。
今後もますます渋く決めてほしいと思うところです。
ご結婚、おめでとうございます!!


さて、本題に入りましょう。
 本作、若~い西島秀俊さんで舞台がハワイ! 
ハワイの海をダイビングしたりもするという、お宝映像満載です!!


仕事と恋に挫折した30歳OL渚(川原亜矢子)。
 彼女はあるパレオに魅せられて、それを輸入の仕事に繋げたいと思い
 作者を訪ねてハワイ島にやってきたんだね。
 けれど、彼女が滞在するペンションの経営者カイ(蟹江敬三)や、
 仕事で来ていると言いながら遊んでいるようにしか見えない潤(西島秀俊)は、
 その作者を知っているようなのに、教えてくれない。
 始めの内、焦りまくる渚だけれど・・・


仕事と意気込んでいた渚が、ハワイの雄大な自然やゆったりとした時の流れ、
 そしてその中で息づいている人々の生活に触れるうちに、
 次第に変わっていく・・・。
まあ、ストーリーとしてはありふれた「癒やし」と「自己再生の物語」。
でもやっぱり舞台がハワイというのがいいよね。
 私も日がな一日ハワイの風に吹かれてみた~い!!と、つい思ってしまう。
本作、観光の中心となるオアフ島ではなくて、
 ハワイ島というところに意義があるんだよ。
今もちょうど、溶岩流で話題になっているけど、キラウエア火山がある島だよね。
そう、その火山活動が悠久の時を経て、
 このハワイ諸島を作ったということなんだよね。
 美しい海の映像ばかりではなくて、
 溶岩に覆われた厳しい風景をも映し出しているよ。


大自然と人の営みの調和とか・・・そういうことを体得するには、
 悪いけれどもこの主役二人はトレンディという雰囲気が先に来すぎて、
 ちと残念な結果になってました・・・。
おっと、西島さんに対してもそういうダメ出しをするわけ??
ん~。今の西島さんならいいと思うけど、
 10年前の西島さんはチャラすぎるかも・・・。
 今更だけど、そういう意味ではさすがに「2つ目の窓」とかが、しっかりテーマに迫ってる感じがします。
たしかに・・・。
ま、本作はそこまでシリアスに迫るのが目的ではないので・・・。

2003年/日本/105分
監督:伊坂聡
出演:川原亜矢子、西島秀俊、美波、蟹江敬三、宮崎美子
ハワイ満喫度★★★★☆
満足度★★★☆☆
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「ウィンター・ホリデー」 坂木司

2014年12月14日 | 映画(あ行)
働くことは人とつながること

ウィンター・ホリデー (文春文庫)
坂木 司
文藝春秋


* * * * * * * * * *

元ヤンキーでホストだった沖田大和の生活は、
小学生の息子・進が突然に夏休みに現れたことから一変。
宅配便のドライバーへと転身し子供のために奮闘する。
そして冬休み、再び期間限定の親子生活がはじまるが、
クリスマス、お正月、バレンタインとイベント盛り沢山のこの季節は、
トラブルも続出で…。


* * * * * * * * * *

宅配便のドライバー大和と、
離れて暮らす息子・進のストーリー「ワーキング・ホリデー」の続編です。
前作は一夏の出来事で、本作はその冬。


ヤマトを取り巻く人達の個性豊かでいて
ふんわり包み込むような距離感は、前作そのまま。
やはり、なんだかじんわり嬉しくなってしまうストーリーです。


ある時、ヤマトの配達先で、
いかにも今どきの大学生が「仕事、楽しいっすか」と聞きます。
思わず「楽しいですよ。」と答えるヤマト。
「好きだから。
 人とか、仲間とか、そういうのをひっくるめて」
とっさにそう答えたあとで、自分自身戸惑うヤマト。
今までそんなこと考えたこともなかったけれど、
自分はこの仕事が好きなのか、と。
やっぱり、お仕事小説なんです、基本。
こうやって職場の人達と一生懸命に働くのっていいですよねー。
そんなヤマトだからこそ、進君も好きなのに違いありません。


しかし、この大学生の登場は伏線でありまして、
後に「ハチさん便」のヤマトのいる営業所に
バイトで入ってくるという展開がしゃれています。
前作で、進君のお母さんとヤマトの距離はちっとも縮まらなかったのですが、
本作はもちろんその後の進展らしきものもあり、
けれども、目的のゴールには至りません。
いや、いいんじゃないでしょうか。
結婚=ゴールという定石をあえて外したところがいいと思います。
今、家族の形は多様。
だから無理に急いで結婚しなくても。


「ウィンター・ホリデー」坂木司 文春文庫
満足度★★★★☆
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チェイス!

2014年12月13日 | 映画(た行)
アクション、音楽、ダンス、驚きの147分



* * * * * * * * * *

本作、まずはオープニングのタップダンスに魅了されます。
インド作品で歌と踊りはつきものですが、
ここのダンスはこれまでのインド映画の『踊り』の枠を超え、
リズム感とその切れの良さ、ズシンと来る重量感に圧倒されます。
それもそのはず、ここのシーンは
世界的タップダンス集団TAP DOGSの振付によるものだとか。
これから始まるストーリーに期待感が膨らみます。



シカゴのサーカス団で、天才トリックスターとして人気のサーヒル(アーミル・カーン)。
マジックとダンスのゴージャスなショーを繰り広げています。
しかし実は彼の正体は、幼い時に父を死に追いやった銀行へ復讐するため、
金庫破りを繰り返す大胆不敵な男。
さてそこへ、サーヒルを追って、
インド本国から敏腕刑事ジャイ(アビシェーク・バッチャン)と
そのドジな相棒アリ(ウダイ・チョープラー)がやってきて捜査を開始します。
バイクによるアクロバティックなカーチェイスシーンにドキドキ・ハラハラ。
こういうのが続くのかと思いきや・・・
中盤以降はサーヒルの人生をかけた大掛かりなトリックが暴かれていき、
情緒的な展開へと変貌していきます。
こういうところもなかなか飽きさせません。



それにしてもアーミル・カーンの筋肉、スゴイですね・・・!!
このマッチョな体のタップダンスには、圧倒されました。
サーカスの新団員アーリア(カトリーナ・カイフ)の、
服を少しずつ脱ぎ捨てていく妖艶なダンス。
これは確かに目を離せない!!



ネタばらしできないのが残念なのですが、
サーヒルの秘密の裏には父親を亡くした以上に悲しい人生も・・・。
この秘密の明かされるシーンがまた、上手いっ!! 
そしてそれはまた、アーミル・カーンの演技力の確かさも浮かび上がらせます。
ストーリーのみならず、映像、音楽、ダンス、そして演技。
いちいち驚いてしまう、あっという間の147分。
インド映画の成長ぶりには凄まじい物があります。
これぞ、エンタテイメント。
今後も楽しみです。



「チェイス!」
2013年/インド/147分
監督:ビジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
出演:アーミル・カーン、カトリーナ・カイフ、アビシェーク・バッチャン、ウダイ・チョープラー

スピード感 ★★★★☆
歌と踊りのノリ★★★★☆
満足度★★★★★
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