硝子戸の外へ。

優しい世界になるようにと、のんびり書き綴っています。

恋物語 30

2021-04-13 20:29:18 | 日記
「そうなんですよぉ。だから、クリスマス前に思い切って告ったんですけど、やっぱり駄目でした。」

「そう・・・・・・。じゃぁ、須藤君の事、聞いたのね。」

やっぱり、その話題だよねぇ。どうしようか・・・。いっその事どうやって秘密を知ったのかを聞いた方がすっきりするかも。

「はい。でも、圭介先輩はどうして二宮先輩だけに話してくれたんですか? 」

すると、先輩は苦笑いしながら、「ヒラはいつも直球を投げてくるわねぇ・・・・・・。そうね。いつか話そうと思ってたしね。」と、前置きをして、「私、須藤君の事が好きだったし、須藤君も私の事を好きでいてくれたからよ。」

と、告白した。

「やっぱり!! 」

「やっぱりって・・・。まぁ、そう思うわよね。」

「そりゃ、そうですよ。誰もがそう思ってましったって! 」

「そうね。でも、周りの人達にそう思ってもらえるようにするのが約束だったしね。」

「そう思ってもらえる約束ってなんなんですか! 」

「怖いよヒラ。」

苦笑いをする先輩。変に感情的になっちゃった。でも、先輩は逃げずに私のモヤモヤに向き合ってくれた。

「私ね、元々サッカーが好きだったから、サッカー部のマネージャーになったんだけれど、部活を始めた頃は、須藤君も部員の一人としてしか見てなかったのよ。でも、部活中も部活を離れた所でもフェアーな須藤君を見ていて、彼の事がだんだん気になっていったのね。それで、一年の2学期の終わり位だったかなぁ、私と須藤君はお似合いだって周りから言われ出して、私も舞い上がっちゃって、告白したのよ。でも、その頃の須藤君は自身のアイデンティティにすごく悩んでいて・・・。私、それに気付いてあげられずにね・・・。初めて告白した時の彼、凄く困った様子で・・・、誠実な人だったから返事を濁したのね。それを、私は、私の事を嫌いなわけじゃないって思い込んで告白し続けていたら、つき合っている風にしていてくれないかっていう約束を前提で、ようやく本心を教えてくれたの。」