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ETV特集 黒澤明が描いた『能の美』

2023-04-15 10:09:31 | 映画いろいろ

 黒澤明監督が、撮影を始めたものの未完に終わったドキュメンタリー映画『能の美』(83)のフィルムが残されていた。日本の伝統芸能「能」の神髄を伝えようとしたものだ。黒澤は『續姿三四郎』(45)『虎の尾を踏む男達』(45)『蜘蛛巣城』(57)『乱』(85)など、能を取り入れた作品を数多く撮ってきた。「能の美」を入り口に、俳優や関係者の証言から黒澤映画の秘密を解き明かすというもの。なかなか興味深いドキュメンタリーだった。

https://www.nhk.jp/p/etv21c/ts/M2ZWLQ6RQP/episode/te/J62WVLY7Z4/


『蜘蛛巣城』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/81a09e31895979e6bc445d0224ea335d

『乱』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/9d0a0c37c38bf8d3929daa77454c3293


「観世能楽堂」(2005.2.27.)

 妻がチケットをもらったので、渋谷松涛の「観世能楽堂」で能のライブを初体験。最初はどうせ寝るだろうと高をくくっていたのだが、風邪気味の上に寝不足で、おまけに初体験のオレを、3時間あまり一睡もさせなかったのだから、やはりそれ相応のパワーがあったということなのだろう。

 演目は、まず吉野の桜をめぐる能の「嵐山」、後半の伴奏(というのか?)の盛り上がりが良。続く狂言の「舟ふな」は一種の息抜きか。舞囃子「羽衣」も伴奏がいい。そしてラストは今はやりの? 義経ものの能「烏帽子折」。ラストの立ち回りは歌舞伎のルーツか。

 とまあ、こうして結構楽しんで見てしまうと、古典芸能などと変に祭り上げないで、歌舞伎も寄席も能も、もともとの娯楽としての肩ひじ張らない楽しみ方をしてもいいのではないかと思った。

 さて、こうして能舞台を見て思い浮かんだのは黒澤映画。特に『虎の尾を踏む男達』(45)『續姿三四郎』(45)『蜘蛛巣城』(57)『隠し砦の三悪人』(58)『影武者』(80)『乱』(85)などには、能の影響が見られる。そうすると、佐藤勝や武満徹、池辺晋一郎の音楽には、雅楽的な要素が織り込まれていたのかもしれないと感じた。


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