いろいろと物議を醸しているNHK連続テレビ小説「ちむどんどん」。仕事絡みで仕方なく見続けていたが、あまりにも適当な脚本にあきれて、何度も脱落しそうになった。ところが、慣れとは恐ろしいもので、いつの間にか見るのが苦痛ではなくなってきた。
で、四兄妹の長男の賢秀(竜星涼)のキャラクターは、『男はつらいよ』の車寅次郎(渥美清)をモデルにしているとは、前々から思っていたのだが、ここにきて相手役の清恵(佐津川愛美)にリリィという源氏名を名乗らせるなど、ますます“『男はつらいよ』化”が顕著になっている。
『男はつらいよ』シリーズで、歴代最多登場のマドンナは、浅丘ルリ子が演じたリリー。彼女の本名は清子である。リリーとリリィ、清子と清恵とくれば、もはや意識しているのは明白。おまけに、リリーが登場する『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(80)の舞台は沖縄だ。加えて、ヒロインの暢子(黒島結菜)の兄に対する態度もどこかさくら(倍賞千恵子)と似てきた。
脚本や演出は稚拙だが、これは決して『男はつらいよ』をばかにしているわけではなく、一種のオマージュなのだろう。だから目くじらを立てることもあるまいと思う。結局、寅は堅気にはなれず所帯も持てなかったけれど、賢秀は…。
『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』
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