田中雄二の「映画の王様」

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『マッケンナの黄金』

2017-01-09 18:06:07 | 映画いろいろ

西部劇に、黄金伝説をめぐる冒険活劇の要素を取り込んだ異色大作



 1975年のリバイバル公開時以来の再見となった。当時、同じくリバイバルで『アラビアのロレンス』(62)を先に見たので、オマー・シャリフがラクダではなくて馬に乗る姿に違和感を覚えたことも懐かしい。

 この映画の製作者は『戦場にかける橋(57)などの脚本家カール・フォアマンと映画音楽の巨匠ディミトリ・ティオムキン。音楽はクインシー・ジョーンズ。主題歌はプエルトリコ出身の盲目の歌手ホセ・フェリシアーノ。何だか妙な組み合わせだ。

 監督はイギリス出身のJ・リー・トンプソン。脚本フォアマン、監督トンプソン、そして主演はグレゴリー・ペックの冒険活劇とくれば『ナバロンの要塞』(61)がある。いわばこの映画は『ナバロンの要塞』の西部劇版だと言えないこともないのかな。ファーストシーンとラストシーンにハゲタカ(コンドル?)が映るのは、確か『戦場にかける橋』と同じ。これはフォアマンの趣味なのか。

 また、同じく黄金探しを描いた名作ジョン・ヒューストン監督の『黄金』(48)やグレン・フォード主演の『秘境』(49)をスケールアップした感もある。

 ところで、この映画、大筋は、黄金の谷への道を知る連邦保安官マッケンナ(ペック)と、彼を捕らえて谷へ案内させる悪党コロラド(シャリフ)の道中劇なのだが、そこに、テリー・サバラス、イーライ・ウォラック、エドワード・G・ロビンソン、レイモンド・マッセー、バージェス・メレディス、リー・J・コッブ、キーナン・ウィン、アンソニー・クエイルといった重鎮脇役が絡んで、カミラ・スパーブとジュリー・ニューマーが花を添える。

 そのほか騎兵隊やインディアンも入り乱れ、この雑多な人物たちにどう収拾をつけるのかと思いきや、中盤で脇役たちをまとめて始末して退場させるという荒技を発揮する。彼らは一体何のために出てきたのかという印象は今回も変わらなかったが、皆、物故した今となっては貴重な映像になってしまった。

 ただ、道中に登場する圧倒的な風景や奇岩の数々、乗馬シーンなどのアクションを強調するための特異なカメラワーク、黄金の谷が崩壊するスペクタクルシーンなどは今見てもなかなか見応えがあるし、コロラドの憎めないキャラクターも面白い。

 また、タランティーノは集団劇を撮るがうまいのだから、どうせ西部劇を撮るなら『ヘイトフル・エイト』(15)のような悪趣味なものではなく、こういう映画を撮ればいいのにとも感じた。


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