田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

「カムカムエヴリバディ」目黒祐樹と近衛十四郎の素浪人シリーズ

2022-03-17 12:17:17 | カムカムエヴリバディ

 NHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」に、目黒祐樹が3代目ヒロインひなたの大叔父・雉真勇の晩年の姿として登場した。

 その目黒の父は時代劇スターの近衛十四郎。兄は松方弘樹。父の近衛は映画で活躍した後、テレビの素浪人シリーズ「素浪人 月影兵庫」(65~68・後に松方主演でリメーク)「素浪人 花山大吉」(69~70)「素浪人 天下太平」(73)で、豪快な殺陣とコミカルな演技を披露して、品川隆二演じる相棒の焼津の半次と共に茶の間の人気者となった。自分も子どもの頃、夢中になって見ていた口だ。

 目黒は、素浪人シリーズの最終作「いただき勘兵衛 旅を行く」(73~74)で、品川の焼津の半次に代わって、旅の相棒となる旅がらすの仙太(実は監視役の与力・有賀透三)として親子共演を果たしている。

 このあたり、「カムカムエヴリバディ」の劇中に登場する時代劇スター桃山剣之介父子(尾上菊之助)の姿と微妙に重なる。脚本の藤本有紀は、1967年生まれだというから、65年生まれという設定のひなた(川栄李奈)とほぼ同世代。ということは、自身の体験や時代劇に対する思い入れも反映されていることだろう。素浪人シリーズも再放送などで見ていたのではあるまいか。しかも、今回目黒が演じた晩年の勇は兄を失くした弟の役なのだ。

 キャスティングの際に、こうしたことが加味されたのだとしたら、それはそれで、なかなか粋な感じがするのだが。ここまでくるともはや妄想の世界か…。

目黒祐樹「カムカムエヴリバディ」でひなたの大叔父・雉真勇役
「ジョーという名は、やっぱりジョー・ディマジオから取ったんか」というセリフには笑った。その後のキャッチボールのシーンもなかなかよかった。
https://tvfan.kyodo.co.jp/news/topics/1320620

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ウィリアム・ハートの映画 その8.『ドクター』

2022-03-17 07:10:56 | 映画いろいろ

『ドクター』(91)(1994.4.27.)

 マッキー(ウィリアム・ハート)は成功した外科医だったが、がんを宣告され、自らが患者の立場になることで、今まで医療者の立場から見てきた医療現場に対してさまざまな疑問を感じるようになる。

 この映画、公開時は、どうせまた安直な心の回復劇なのだろう、あるいは病院や病気ものはどうも気が進まないと思って見なかった。見終わった今も、そうした思いが完全に消えたわけではないのだが、先に見た日本の『病院へ行こう』(90)などと比べると、医療制度の違いはあるものの、良くも悪くも極めて真面目な病院、病気映画だった。

 エリート医師が、自身が患者になって初めて病院や医師の本来あるべき姿を発見する。最初は嫌な奴が、映画が進むにつれて愛すべき者へと変わっていく(演じるハートが見事)。そして彼の横に、変化に困惑する妻(クリスティーン・ラーティ)や同僚、戦友となる死にゆく女性(エリザベス・パーキンス)を配置して、彼が生きる意味を再発見する様子を描いていく。

 監督のランダ・ヘインズは、この、一見、甘く嫌らしくなりかねない再生劇を、危ういバランスを取りながらたくみにまとめ上げていた。これを今はやりの女性監督故の、という言い方はしたくない。なぜなら、こうしたバランス感覚のよさが、昔ながらのアメリカ映画の真骨頂だからだ。

 そして、かつては日本にも、この映画と同種だが、それを遥かに上回る黒澤明の『生きる』(52)が存在した。こうした金の掛からない、ストーリーのうまさだけで見せる映画の時代が確かにあったのだ。

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【ほぼ週刊映画コラム】『ガンパウダー・ミルクシェイク』

2022-03-17 06:31:32 | ほぼ週刊映画コラム

共同通信エンタメOVOに連載中の
『ほぼ週刊映画コラム』

今週は
女性のアンサンブルによるアクション映画の系譜に連なる
『ガンパウダー・ミルクシェイク』

詳細はこちら↓
https://tvfan.kyodo.co.jp/?p=1320780&preview=true

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