田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『美女と液体人間』

2018-07-06 10:50:46 | 映画いろいろ
 東宝、変身人間シリーズの第1作『美女と液体人間』(58)をテレビで再見。



 核実験の死の灰を浴びたことにより、肉体が変質して全細胞が液体化した人間が東京に上陸する。子供の頃は、神出鬼没の液体人間が不気味で、本当に怖かった覚えがある。

 ヒーロー役の大学助教授は東宝特撮の常連、佐原健二。ギャングの情婦でクラブ歌手でもあるヒロインを演じたのが白川由美。『空の大怪獣ラドン』(56)『地球防衛軍』(57)に続くコンビ作になる。白川が妖艶な魅力を発揮するが、意味もなく下着姿になるのはサービスか。

 捜査陣に、平田昭彦、小沢栄太郎、土屋嘉男、田島義文、中丸忠雄ほか、ギャング役に佐藤允と伊藤久哉、博士役に千田是也という配役も面白い。

 液体人間のゼリー状の形態は、『SF人喰いアメーバの恐怖=マックイーンの絶対の危機』(58)のアメーバとそっくりだから、これをまねしたのかと思ったら、この映画が日本で公開されたのは65年だから、それは無理な話。してみるとこの東宝映画が元祖になるのか。

 とは言え、ラストの地下水道のシーンは、『第三の男』(49)の影響だろう。『東京映画地図』(宮崎祐治)によれば、中央区の八丁堀近くの南高橋の辺りから地下水道に入り、最後に燃え上がるのは桜川とのこと。一緒に見ていた妻が「この頃の東宝映画はファッションもそうだけど、撮り方もおしゃれよね」と言っていた。

八丁堀 『長屋紳士録』 『空気人形』↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a7adba119eec37d15de42ba0b271b8b1

『ガス人間第一号』(60)↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/8e46f3ff3f0919d637b09273fa284676
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『アントマン&ワスプ』

2018-07-06 08:16:03 | 新作映画を見てみた
 身長1.5センチのヒーロー、アントマン(蟻男)の続編。



 前作は特殊スーツによってミクロ化した駄目男のスコット・ラング=アントマン(ポール・ラッド)の視点を生かしたカメラワークが新鮮で面白かったが、今回は、まるでウルトラセブンのように、大きくなったり、小さくなったりと、伸縮自在のアクションや視点が見どころになる。

 今回は、アントマンとワスプ(エヴァンジェリン・リリー)のコンビ結成の様子と、ピム博士(マイケル・ダグラス)が、ミクロ化して量子世界に消えた妻のジャネット(ミシェル・ファイファー)を見つけ出す物語が、並行して描かれる。孤独な者が多いアベンジャーズの中で、家族の絆を強調するところは異色。コメディーリリーフ的な悪友ルイス(マイケル・ペーニャ)の存在も面白い。

 量子世界の映像は、『ミクロの決死圏』(66)『インナースペース』(87)、または『2001年宇宙の旅』(68)のラストを思い出させる。

 ただ、アントマンは、先に公開された『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』には参加せず、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)以来の登場となったので、話のつながりを思い出すのに一苦労。最近のシリーズ物はこれがネックになる。そしてまたまたこれでは話は終わらず…。

【ほぼ週刊映画コラム】『アントマン』(15)↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/ecda1aebec16b6472139953955f39011

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(16)↓
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/a47c57cde2a63988a56921f948398f31
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