田中雄二の「映画の王様」

映画のことなら何でも書く

『オーシャンズ8』

2018-07-19 08:46:49 | 新作映画を見てみた
オーシャンズの女性版



 緻密な計画を基に、それぞれのメンバーが得意技を駆使して強盗を行う犯罪チーム、オーシャンズ。今回は、リーダーのダニー(ジョージ・クルーニー)の妹のデビー(サンドラ・ブロック)が新チームを結成し、総額1億5千万ドルの宝石を狙う。

 人気シリーズのスピンオフ的な作品で、メンバーは全て女性というところがミソ。女性が強くなった今の時代に、出るべくして出てきた映画という感じもする。ドイツ育ちのブロックが流暢なドイツ語を操り、貫禄十分のケイト・ブランシェット、怪優ヘレナ・ボナム・カーター、黒人、アジア系などのメンバーを率いる。ターゲットはアン・ハサウェイ。こうした個性的なメンバーが集う、集団劇としての面白さは過去のシリーズを踏襲している。シリーズとの“つなぎ役”として、エリオット・グールドがちらりと顔を見せるのも楽しい。

 監督はスティーブン・ソダーバーグではなく、『ビッグ』(88)『デーヴ』(93)の脚本を書き、『シービスケット』(03)を監督したゲイリー・ロスが担当。そのロスは、ハートウォームなドラマやアメリカンドリームを描いてきたが、女性を主人公にした『ハンガー・ゲーム』(12)から作風がハードなものに変化した。今回は、両方の要素が生かされたとも言えるだろう。

 また“女性が主役の映画”ということで、オリビア・ミルチと共同で脚本を書いている。それ故、この映画では、女性の視点や考え方、興味の対象などを、如実に反映することができたのではないだろうか。ロスが女性と共同で脚本を書いたのは、『ビッグ』のアン・スピルバーグ以来のことだという。
コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする