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映画の王様

映画のことなら何でも書く

『Y』(佐藤正午)

2022-01-28 08:48:18 | ブックレビュー

『Y』(佐藤正午)(ハルキ文庫)
(2005.11.9.)

 タイトルのYは人生の分岐点の意味で、そこから分かれて存在する?パラレルワールド(もうひとつの世界)が描かれる。

 いわゆる“あの時あーしていたら人生は違ったものになったかも…”というものだ。空想話としては面白いのだが、主人公が過去に飛ぶほど思い入れるヒロインに、こちらは感情移入ができないから、何故そこまでして…という空しさが残る。

 結局、男と女は相容れない違う生き物なのだ。そして過去に戻れたところで人生がバラ色に変わるわけでもないのだ。この空しさは、最初に読んだ時よりも強く感じられた。何だかこのところ現実離れした話ばかり読んでいる。

 似たような話としては、ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』『時の旅人』、ケン・グリムウッドの『リプレイ』、広瀬正の『マイナス・ゼロ』『エロス』がある。どれも面白かった。

 岩波ホールで上映したフランソワ・トリュフォー監督の『緑色の部屋』(80)が物語の重要なキーとなって登場する。
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d8f0182353b93d4ea78c883fba88aa8e

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内藤誠、本職は映画監督『昭和映画史ノート』『シネマと銃口と怪人』『ヘボン博士のカクテル・パーティ』ほか

2022-01-27 15:12:18 | ブックレビュー

『昭和映画史ノート 娯楽映画と戦争の影』(平凡社新書)
(2004.12.14.)

 幻のアクション・スター“昭和の鳥人”ハヤフサ・ヒデトのことをもっと知りたくなって、「幻の大都映画とハヤフサヒデト伝説」が収録されている、この本を読んでみた。

 ほかにも、「戦時下に創設された「日本映画学校」」「占領下の溝口健二の映画」「プロデューサー・水の江滝子と石原裕次郎」など、興味深い話が網羅され、一気に読んでしまった。それにしてもハヤフサヒデトの映画を見てみたいものだ。


『シネマと銃口と怪人―映画が駆けぬけた二十世紀』(平凡社ライブラリー)
(2005.1.13.)

山田五十鈴が樋口一葉に扮した戦前の東宝映画から明治時代を考察する、第1章 「一葉の時代」の画像。
監督フリッツ・ラングと俳優ピーター・ローレの数奇な運命とファシズムをめぐる、第2章 『M』の時代。
セッシュー・ハヤカワの栄光と挫折、第3章 戦時下、パリの早川雪洲。
産児制限運動者と芥川の小説をからめた、第4章 サンガー夫人と芥川の『河童』。
戦時中のロベルト・ロッセリーニ作品と吉田満の著書『戦艦大和ノ最期』を軸に、国策映画について考察した、第5章『白い船』と『戦艦大和』。
そしてビスコンティとナチズムを交錯させた、第6章 ファシズムの美学と『地獄に堕ちた勇者ども』

 というラインアップ。まさに映画を中心とした幅広い縦横無尽の雑学の宝庫。そして先に読んだ『昭和映画史ノート』もそうだったが、この人の難しいことをすらすらと読ませる文章のうまさ、あるいは幅広い書物からの引用文の巧みな配置にまたも唸らされる。巻末の解説を書いた某氏の妙にひねってわかりづらい文章と比べても文才の差は一目瞭然。オレも見習ってこういうものが書ける自分でありたいと思う。


『物語依存症』(白地社)
(2005.2.4.)

 内藤誠の『物語依存症』に、映画監督の川島雄三を“鬼才”という言葉でくくった一文があった。いくつかわが身にも当てはまるので記しておく。以下。

 ~鬼才ということばで人は、オーソドックスでないこと、マイナー好みであること、猥雑であること、自然主義的なくそリアリズムでないこと、反時代的であること、地方出身のくせに都会的であること、一筋縄ではいかないへそ曲がりであること、堂どうたる大人のようで子どもっぽいこと、スタイリストでありながら形をくずすこと、傲慢で、かつシャイなこと、そして何よりもフリークであることなどを想像するわけであるが…~


『ヘボン博士のカクテル・パーティ』(講談社)
(2005.2.10.)

 ヘボン式ローマ字を考案したヘボンを中心に、明治初期、日本にやって来た様々な外国人たちの列伝。女教師、女性旅行家、新聞界やビール産業の先駆者、落語家、亡命バレリーナ、チョコレート屋…、日本で意外な才能を発揮した面々が楽しく語られる。この著者は本来は映画監督のはずなのに、このリサーチ力、文章力には毎度唸らされるばかり。それにしても明治は面白い時代だ。


『昭和の映画少年』(秀英書房)
(2005.2.21.)

 

 例のハヤフサ・ヒデトの絡みで読んだ『昭和映画史ノート』(01)に始まって、『シネマと銃口と怪人』(97)、『ヘボン博士のカクテル・パーティ』(93)、『物語依存症』(91)、そしてこの『昭和の映画少年』(81)と図らずも時代をさかのぼる形で内藤誠の本を読んできたことになる。

 どれも面白かったし、いろいろとためになった。今回は大島渚の解説もなかなか面白かった。そういえばこの人には、『映画百年の事件簿』(角川文庫)という著書もあったし、ウィリアム・サローヤンの小説も翻訳していた。ということは、以前からお世話になっていたわけだ。この人の書いたものをもっと読んでみたいと思う。

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海渡英祐という作家は…『次郎長開化事件簿』『新門辰五郎事件帖』ほか

2022-01-27 10:51:57 | ブックレビュー

 海渡英祐という作家は…(2004.7.11.) 

 

 先日近所のブックオフで、海渡英祐の『次郎長開化事件簿』(徳間文庫)という、あの清水次郎長と『東海遊侠伝』を書き残した天田五郎を主人公にした連作推理短編集を偶然見つけて、その面白さに唸りながら、一気に読破。

 こりゃあ、海渡英祐という作家の本を続けて読まねばと思って探してみたら、ほとんどが絶版。うーん、一般受けはしない作家なのか…。で、仕方なくネットやほかのブックオフなどで何冊か入手した。

 大別するとこの人の作風には二つのパターンがある。一つは、出世作となった『伯林-一八八八』という、ドイツ留学時代の森鴎外を主人公にしたような、実在の人物や史実とフィクションを巧みに融合させたもの(『次郎長~』もこのパターン)。もう一つは、欧米のミステリーにならったパズル的な本格推理ものだ。

 今回入手した中で、前者に当たるのは、福沢諭吉を探偵役にした『咸臨丸風雲録』(脇役ジョン万次郎、ブルック船長がいい味を出していた)と、明治中期の新聞記者を主人公にした『出囃子が死を招く』。時代考証がしっかりしているから、自分ような歴史好きにはたまらないのだが、一般的には?なのかな。

 後者は、事件の場所にこだわった短編集『事件は場所を選ばない』と、それぞれのタイトルにヒッチコック映画のタイトルをもじった連作短編『トラブル・ハニムーン』。こちらもやや通好みの感がある。

 どうも自分は、あまり一般受けしない作家にシンパシーを感じるところがあるようで…。例えば、広瀬正、加納一朗、もりたなるお、ジャック・フィニイ…。ということは、オレ自身が変わり者ってことなのか。


『俥に乗った幽霊-探偵記者事件簿』(光文社文庫)(2004.10.14.)

 久々の海渡英祐作品。以前、読んだ『出囃子が死を招く』の姉妹編のような、新聞記者を主人公に明治を舞台にした推理短編集。趣味性が強い割にはすらすら読めるところがこの作家のすごいところだと勝手に思っている。


『新門辰五郎事件帖』(徳間文庫)(2005.2.19.)

 久々の海渡英祐作品を読了。オレが“海渡地獄”に最初にはまった『次郎長開化事件簿』の姉妹編のような、幕末から明治初頭を舞台にした連作推理短編集。

 最期の将軍・徳川慶喜に従って、江戸(東京)と駿府(静岡)で活躍した侠客の晩年を描いた傑作だが、残念ながら一般の認知度は低い。どうも自分は、一人の作家に一度肩入れするとのめり込んでしまう悪い癖がある。

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筒井康隆の映画本「CINEMAレベル9」『不良少年の映画史』『美藝公』

2022-01-26 23:47:26 | ブックレビュー

「CINEMAレベル9」『不良少年の映画史』『美藝公』
(2004.12.17.)

  ハヤフサヒデトのことを調べていたら、“幻の映画たち”について書かれたSF小説? 筒井康隆の短編「CINEMAレベル9」(『夜のコント冬のコント』(新潮文庫所収)のことを知り、ブックオフへ。

 舞台は神戸の地下9階にあるという“幻の映画”だけを上映する映画館。筒井自身の分身と思われる映画狂の主人公と、往年のスターを真似る映画館の支配人のやりとりが面白い一編。ここならハヤフサヒデトの映画も観られるだろう。まさに映画狂=偏執狂の夢が生んだ好短編だった。

 続いて、『不良少年の映画史』(文春文庫)を拾い読み。映画狂・筒井の面目躍如の“幻の映画”のオンパレード。特にエノケン、ロイドを始めとする失われたコメディー映画の記述が多いのがうれしい。DVDに合わせた発掘で、どこからかこれらの“完全版”が姿を現す日がくるかもしれない。

 そういえば昔読んだ筒井作品で、映画産業が国を支える空想小説『美藝公』(文春文庫)は楽しかったなあ。

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野球の洋書ほか

2022-01-26 08:34:44 | ブックレビュー

野球関連
The Baseball Encyclopedia 5th Edition(Joseph L.Raichler)82
The Baseball Encyclopedia 7th Edition(Joseph L.Raichler)88
The Baseball Encyclopedia 9th Edition(Joseph L.Raichler)93
Official Baseball Card Price Guide 91
The ESPN Baseball Encyclopedia 06

音楽ほか
The Beatles Lyrics 80
The Billboard Book of Top 40 Hits(Joel Whitburn, Casey Kasem)85
Classic Plastic Model Kits: Identification & Value Guide(Rick Polizzi)96

原作本(日本編集版)
Shane( Jack Schaefer )75
The Human Comedy(William Saroyan ) 93

『MacMillan The Baseball Encyclopedia』と『フィールド・オブ・ドリームス』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/151dc06d69746634b1ec9cb8575efc40

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洋書の映画関連本

2022-01-25 13:59:22 | ブックレビュー

ガイドブックのほかにはこんな本があった。

各映画会社史
The RKO Story(Richard B. Jewell,Vernon Harbin)82
The MGM Story(Rh Value Publishing)85
Paramount Story(John Douglas Eames)87
Warner Bros Story(Clive Hirschorn)87
The Films of 20th Century-Fox a Pictorial History(Tony Thomas,Aubrey Solomon)90
The Columbia Story(Clive Hirshhorn)99

監督名鑑
Japanese Film Directors(Audie Bock)85
The Illustrated Who's who of Hollywood Directors(Michael Barson)95

評伝
Stanley Kramer,Film Maker(Donald Spoto)90
Frank Capra:The Catastrophe of Success(Joseph McBride)92 
John Wayne:The Man Behind the Myth(Michael Munn)05
Paul Newman(Daniel O'Brien)05

フィルモグラフィー
The Complete Films of Frank Capra(Victor Scherle, William Turner Levy)92
The Complete Films Of John Wayne(Boris Zmijewsky, Steven Zmijewsky, Mark Ricci)00
The Films of Steven Spielberg(Douglas Brode)00

映画百年関連
The Overlook Film Encyclopedia:The Western(Phil Hardy)94
THE CHRONICLE OF CINEMA:1895 1995(David ROBINSON)94
Chronicle of the Cinema(No author)95

SF映画関連
The Creature Features Movie Guide(John Stanley)81
The Twilight Zone Companion(Marc Scott Zicree)83
Hamlyn Book of Horror and S.F.Movie(Roy Pickard)90

『素晴らしき哉、人生!』関連
The It's a Wonderful Life Book(Jeanine Basinger)86
It's a Wonderful Life(Marie Cahill)92

例えば、こうした本を作ったり、書いたりする時にとても役に立った。

『外国映画女優』97
『外国映画男優』98
『アカデミー賞~ハリウッドの栄冠~』99
『20世紀の映画監督名鑑』99
『20世紀の映画』00
『MOVIE』07
『外国映画女優名鑑』08
『外国映画男優名鑑』09
『映画遺産ぴあ』12 

 

 

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洋書の映画ガイド

2022-01-25 01:12:48 | ブックレビュー

 まだインターネットがなかった頃、外国映画について調べるときはよく洋書を利用した。もちろん、全て読み解くことはできなかったが、日本では知り得ない情報をたくさん仕入れることができて重宝したものだ。

 銀座の近藤書店の上にあった洋書のイエナで入手したものが多いが、中にはロサンゼルスに行った時に買って、持って帰るのに一苦労したものもある。

 引っ越すたびに随分整理したが、まだ何冊かは本棚に残っている。ハードカバーの大型本は重いし、ペーパーバックは独特の紙のにおいがするのが玉にきずだが、本当にお世話になった。

 最初に見つけたのは、レスリー・ハリウェルというイギリスの映画評論家による『Halliwell's Film Guide』(79)というペーパーバックの映画ガイドブックだった。8000本の映画のスタッフ、キャストと寸評を載せたもので、辞書を片手にワクワクしながら読んだり調べたりした覚えがある。

 同じくガイドブックでは、レナード・マルティンの『TV MOVIES』(83-84)が最も役立った。87年からは『TV MOVIES AND VIDEO GUIDE』、92年からは『MOVIE AND VIDEO GUIDE』、05年からは『MOVIE GUIDE』とタイトルを変えながら毎年刊行され、15年まで続いた。

 ほかにも、スティーブン・シューアーの『Movies ON TV』、エフレイム・カッツの『The Film Encyclopedia』などもあった。

 

『LEONARD MALTIN'S MOVIE GUIDE(レナード・マルティン ムービーガイド)』
https://blog.goo.ne.jp/tanar61/e/d516b8dd9d57911009ccd36fe02964c1

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『MUSIC LIFE ビートルズから広がる映画の世界』『スティーヴン・スピルバーグ 映画の子』

2022-01-14 07:01:06 | ブックレビュー

 先日、書店で面白そうな本を見掛けた。まずは『MUSIC LIFE ビートルズから広がる映画の世界』(シンコー・ミュージックMOOK)。ディズニープラスで配信された『ザ・ビートルズ:Get Back』公開にかこつけて出されたものだろう。メンバーが見た映画、ビートルズやメンバーが出演した映画、エピソードが使われた映画といった内容は資料的な価値はあるかな。

 もう一冊は、『スティーヴン・スピルバーグ 映画の子』(KAWADEムック 文藝別冊)。こちらは『ウエスト・サイド・ストーリー』公開記念か。いろんな人がスピルバーグについて語っているようだ。

 まあ、どちらもムックなので、すぐに買わなくてもいいかとなった。雑誌は一定の期間が過ぎると書店から消えるが、ムックはずっと置いておけるという違いがある。昔関わった『MOVIE』という映画特集本を雑誌にして失敗したことがあった。

 

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『だいありぃ 和田誠の日記1953~1956』(和田誠)

2021-11-03 10:17:02 | ブックレビュー

 和田誠の死後、事務所から発見された1953年から1956年(都立千歳高等学校2年生から多摩美術大学1年生)の日記(ノート6冊分)を、手書き文字のまま書籍化。

 死後、その人に無断で日記を読むというのは、あまりいい趣味ではないとは思うが、あとがきで三谷幸喜が「これはもはや日記ではない。日記を超えてしまっている。紛れもなく和田誠さんの『作品』だった」と書いている通り、エッセーを読むような感じで楽しく読んでしまった。特に、映画に関する部分は、忖度のない率直な意見が述べられて興味深かった。

 それと、彼も自分も、東京の城南地域で育ったので、時代は違うが、通った映画館や行動範囲が微妙に重なるところがあって親しみが湧いた。

 実は自分も、大学に入った1980年から、一念発起して大学ノートに本格的に日記を書くようになった。もちろん、和田さんの足元にも及ばず、出版されることもないのだが、文章は稚拙でも、その時にしか書けなかったものなので、当時の記録としてたまにこのブログにも引用している。

 日記とは、自分に向かって書いているはずなのに、心のどこかで、誰かに読まれることを意識しながら書いているところもある。だから優れた作家や和田さんのような人が書いたものは、十分に作品としての価値もあるということになるのだ。

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白土三平とI先生

2021-10-27 23:14:24 | ブックレビュー

 白土三平といえば、自分にとっては、彼の漫画そのものよりも、「少年忍者 風のフジ丸」(64)「サスケ」(68)「忍風カムイ外伝」(69)といったテレビアニメや、映画『大忍術映画ワタリ』(66)の原作者としてのイメージが強い。

 

 ただ、それとは別の思い出もある。高校1年の時の担任で、世界史を教えてくれたI先生が、歴史を学ぶ際のお薦め本として、『遊牧騎馬民族国家-“蒼き狼”の子孫たち』(護雅夫)『街道をゆく5 モンゴル紀行』(司馬遼太郎)『新講 世界史』(土井正興)『火の路』(松本清張)などと並べて、手塚治虫の『火の鳥』と白土三平の『カムイ伝』を挙げたのである。

 

 それまで漫画を薦める教師などいなかったので、これは新鮮な驚きだった。そして、もちろんどちらも読んで、歴史に対する新たな視点を得たのだった。

 また、「お前は映画が好きなのだから、何か歴史に関係のある映画を見たらリポートを書け。いいものを書いたらちゃんと評価するから」と言ってくれた。

 で、例えば、『デルス・ウザーラ』(75)では森林やツンドラでの猟について、『十戒』(56)では「旧約聖書」の「出エジプト記」について、『風とライオン』(75)ではリーフ族とセオドア・ルーズベルトとの関係について、『サンチャゴに雨が降る』(75)では1973年のチリの軍事クーデターについてなど、幾つかリポートを書いたら、褒めてくれた上に、ちゃんといい点をくれたので、豚もおだてりゃ木に登る状態になって、映画について書くことが癖になった。

 それによって、映画は見るだけではもったいない。見たものについて何か書くのは面白いしためになる、と気付かさせてくれたのである。それが今の自分の仕事につながっているのだから、言わばI先生は恩人なのだ。と、白土三平から話が随分それてしまったが。

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