『絶望からの脱出 荒野の早撃ち拳銃』(古川ゆう)(KKベストセラーズ)
(2010.5.19.)
先に行われた「マカロニ・ウェスタン50周年/ディ・モールト映画祭2010」で『怒りの荒野』を見た際に購入。『怒りの荒野』のジュリアーノ・ジェンマ演じる虐げられた若者に、自分と同じ根を見た筆者は、アメリカに早撃ち修行の旅に出る。
文章は稚拙で表現も回りくどいところが目に付くが、読んでいて不思議に引き付けられるものがある。それは筆者の実体験に基づいて書かれているからなのか。いずれにせよこれはオレには書けない。
人を引き付ける文章は、必ずしもうまい下手では計れないということ。何よりも、アメリカで筆者の面倒を見てくれたというジーン夫妻の人柄が魅力的に書かれていた。
『怒りの荒野』(67)(2010.4.8.シアターN渋谷)(1974.1.21.月曜ロードショー)
劇場で見たのは今回が初めて。マカロニウエスタンはテレビの吹き替え版で見た世代なので、当時はあまり違和感を感じなかったのだが、今回、改めてイタリア語で演じられる西部劇として見るとやはり珍妙なものだった。日本語の西部劇も変と言えば十分に変なのだが…。
そして今さらながら、風景もテンポも妙だと感じたし、雑な作りも目立つ。おまけにジュリアーノ・ジェンマってこんなにカッコ悪かったっけという印象を抱かされる始末。
やはりマカロニは亜流で本家の西部劇とは別物と考えた方がいい。この映画の見るべきところは、ガンマン10カ条の掟のアイデアとリズ・オルトラーニの音楽。
『ガンマンの伝説』ロバート・B・パーカー(早川文庫)
(2010.7.23.)
ロバート・B・パーカーによるワイアット・アープ伝だが、登場人物の誰にも感情移入ができない。西部劇小説の翻訳の難しさを痛感する。ローレンス・カスダン監督、ケビン・コスナー主演の『ワイアット・アープ』(94)の屈折や後味の悪さを思い出した。