むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『不夜城』馳 星周(角川文庫)

2022年07月29日 | 読書
新宿歌舞伎町は、世界屈指の歓楽街。
そこはアジア人たちが、それぞれの派閥で富を奪い合うジャングルのようなところです。
そんな中で、一人で生きる半々(台湾人と日本人のハーフ)が主人公です。しかも、金も地位も仲間もいない臆病者で喧嘩も強くない。そんな彼が、歌舞伎町で生き残ることが出来るのか。と言った具合の話です。
いろいろ策略を巡らすのですが、彼より一枚も二枚も上手の老練な手練れたち相手にうまく行くわけがありません。
裏切りに裏切りが産まれ、最後までどうなるか解らないところが売りの小説です。
読んでいて思ったのが、ドキュメント『浮浪児1945年』を読んだとき感じた閉塞感と同じ雰囲気でした。主人公の行動範囲が狭い。歌舞伎町の中とその周辺しか頭の中にないのです。
そんなところで、中国や台湾、上海、韓国、フィリピンなどからの組織が動いているのだから、狭さが一段と狭く感じて息苦しさを増す効果になっています。
これを読むと、混沌とした社会で、自分が生き残るニッチを懸命に確保する姿を見ることになります。
最期に、ほんとうに狭かったことが思い知らされることになります。


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