多くの日中戦争の書籍は、太平洋戦争前までの記述は詳しいが、太平洋戦争に突入後の記述はほとんど無い。
そこで、太平洋戦争開戦後に、日本は終戦までどう戦っていたかを詳しく解説していました。
日中両軍のもくろみをマクロ視点で記述し、その後、兵士の証言などをもとにミクロ視点で臨場感をにじませる構成で、わかりやすく感じました。
日中戦争は、なんとなく始まり、終わらせることができない目的がぼやけた戦争だった感じです。終戦後に明らかになる蒋介石と日本軍上層部とのお友達感には、そんなのありかよ~と思いました。
そんな、目的がハッキリしない戦線のため、太平洋戦争開戦後は、その動きに引きずられ、グダグダな戦いになっていきます。米軍の日本本土空襲を阻止するため、中国の飛行場を使えないようにするのが目的になってしまったりしています。
また、細菌兵器や毒ガスの使用もしています。しかも、日本軍が使用したそれらの兵器により、日本軍にも被害をだしています。
制空権は連合軍にありますが、地上戦は日本軍に有利とよくわからない戦線です。地上軍を攻撃できる飛行機の数が少ないのでしょう。
また、日本軍の補給は悪く、現地調達に頼るため、悲惨な状況に陥る部隊も多々あったようです。
なんとなく始まり、収拾のメドもなく、太平洋戦線に引きずられ、なんとなく終わってしまった戦争だったようです。
これじゃあ、本に書いても面白くないだろうなと思いますが、この本は、よくできていて、新しい知識として面白い本でした。
日中戦争の本は一度だけ読んだ事がありますが、戦争というより泥沼ですね。
岸信介が仕掛けた第2次アヘン戦争といった感じで、これこそが日本の敗北を決定付けた戦争だったのかと。
日中戦争に比べれば、ノモンハンも真珠湾も必要悪の戦いのようにも思えました。
とにかく、絶対に避けるべき戦争だったと思います。
日本は戦線を拡大しないよう加減しながら戦っていますので終わるわけがありません。
太平洋戦争が無くても、朝鮮戦争や第三次世界大戦が起こり核戦争にif日本が巻き込まれる歴史も考えられるので、何が良くて何が悪いのかはわかりませんが。