むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『芸術的創造は脳のどこから産まれるか?』大黒達也 (光文社新書)

2024年09月28日 | 読書
ついに、ここまできたか、脳科学とAI(人工知能)と言った内容です。
人工知能に人間のような創造性を持たせるため、脳の機能を解析していき、体系化する研究が進められています。
記憶の組み合わせから、新しいアイデアが生まれてくるらしい。
その記憶には、潜在記憶と顕在記憶があり、その記憶の仕方は、パソコンファイルのような圧縮にあるのです。
記憶の圧縮とは、統計的に予測可能な記憶を一つのパターンとして記憶してしまうことを言います。例えば「ドレミドレミドレ〇」と音階が来たとして、〇に入ると予測されるのは「ミ」であり、「ドレミ」が一つの潜在記憶となります。
ここで「ドレミドレミドレソファミレ」となれば、ここで脳は緊張し、新しい記憶を作り出していきます。
その深度が深くなればなるほど、高次の潜在記憶となり、それが組み合わせられると、高度なピアニストのテクニックにつながっていくと言うのです。
この予測可能な記憶と、予測困難な現象の間が、創造性が生まれるところとなります。
創造性は、多くの高次の潜在記憶と、顕在記憶が揺らぎを示したときに発揮されるというのです。
面白い理論ではありますが、唯一無二の創造性は、作家の生い立ちからそれまでの多くの経験からなった記憶が元になっていますので、いくらコンピューターの記憶が人間の何億倍もあろうとも、再現できるのか疑問ではあります。
しかしながら、ありきたりな個性(矛盾した言葉ですが)や、創造性程度なら簡単に模倣される時代が来ています。


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