著者の『三陸海岸大津波』を読み終えた2年後に東日本大震災が起こったので、この本を読んだら、第二次関東大震災が起こるような気がして怖くて躊躇していたのですが、我慢しきれず読みました。
評判通り、関東大震災の様子が客観的に余すところなく描かれている印象です。
10万人以上の死者を出した大震災ですが、その大きな原因は火災でした。震災により水道管が寸断され消防機能が完全に麻痺し、東京は火炎地獄となりました。
昼時に起きたため昼食準備の火が出火原因だと言われていますが、実は工場や学校の薬品による火災の割合が一番大きかったようです。
また、多くの者が家財道具を車に乗せたり、大荷物で担いだりして避難したため道路や避難した広場において、それに火が燃え移り延焼が拡大していったという事実があります。
その当時から指摘されていたとおり、大正時代には、江戸時代より都市防火対策が退化していた事実がありました。
さて、令和の都市は、大正時代より、防災対策が進歩しているでしょうか?
もちろん、進歩している面も多々ありますが、ともすると退化してしまっていたり、指摘されていても対策を怠っている部分も多くあるのではないでしょうか。
防火対策としての薬品管理の徹底や、避難時に車を使用せずに徒歩で逃げる準備ができていますか? 避難袋など燃えにくい生地を使っていますか? 髪の毛に火が移らない対策は立ててありますか?
日本人全員に読んでもらいたい良書です。