むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『彗星物語』宮本輝(文春文庫)

2019年07月02日 | 読書
 宮本輝のホームドラマ小説です。
12人と1匹の大家族に、ハンガリー(社会主義時代)から一人の留学生がやってくるところからはじまります。
小説で、13人の大家族を描くとは、誰が誰だか分からなくなりそうですが、そこは宮本輝の力量で、無理なく描き分けられているので驚きました。
リアルで13人を見分ける方が難しいような気もします。
テレビなどのホームドラマより、心理描写が多いので、小説ならではの奥深さがあり、濃厚なドラマが楽しめました。
みんな、不完全な部分を持っている人間がごちゃごちゃいるので、泣き笑い怒り、そして面白い方へ転がって行きますので退屈せずに読めました。
登場人物の欠点が目立つストーリーですが、みんな、普通より魅力的な人物であると気が付きます。
それが家族であることのすばらしさなのでしょうね。
読書があまり好きじゃない人に「宮本輝を読んでみたいのだけど、どれが良い?」と問われたら、『彗星物語』と答えると無難かなと思います。
コメント
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