むぎわら日記

日記兼用ブログです。
野山や街かどで見つけたもの、読書記録、模型のことなどを載せております。

『さららさや』加納朋子(幻冬舎文庫)

2019年02月05日 | 読書

首も座らない赤子を抱えた母親(さや)が、佐々良町で一人で暮らし始めるお話です。

主人公のさらは、世間知らずで引っ込み思案、自意識も過剰で頼りない存在です。母親と言うより迷子のような弱弱しさを持っていて、それだから周りの人は助けずにはいられないところがあります。

それと同時に、彼女を取り巻く小さな悪意が襲ってきます。

亡くなった夫は、あの世に行く前に少しの間だけ、近くの人に乗り移って助けに来てくれます。

彼女が悪意をスルーできる弱いゆえのやさしさを備えているところが、この作品の面白いところです。

彼女はなんでも許してしまいますと言うより、怒る強さがありません。

そんなさらも周りのお節介ばあさんや、ヤンキー上がりっポイ友達(エリカさん)に支えられ励まされ、少しずつ成長していきながら、母としての強さを育てていく話です。

夫の方は、サヤが一人で生きていけるとわかると、あの世へ逝ってまう覚悟が出来るのですね。

初めから自分がいなくても、大丈夫だったのではないかとか思っちゃうところが泣けました。(笑)

ジャンルは、オカルトファンタジーミステリーでしょうか。

でも怖くないです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする