首も座らない赤子を抱えた母親(さや)が、佐々良町で一人で暮らし始めるお話です。
主人公のさらは、世間知らずで引っ込み思案、自意識も過剰で頼りない存在です。母親と言うより迷子のような弱弱しさを持っていて、それだから周りの人は助けずにはいられないところがあります。
それと同時に、彼女を取り巻く小さな悪意が襲ってきます。
亡くなった夫は、あの世に行く前に少しの間だけ、近くの人に乗り移って助けに来てくれます。
彼女が悪意をスルーできる弱いゆえのやさしさを備えているところが、この作品の面白いところです。
彼女はなんでも許してしまいますと言うより、怒る強さがありません。
そんなさらも周りのお節介ばあさんや、ヤンキー上がりっポイ友達(エリカさん)に支えられ励まされ、少しずつ成長していきながら、母としての強さを育てていく話です。
夫の方は、サヤが一人で生きていけるとわかると、あの世へ逝ってまう覚悟が出来るのですね。
初めから自分がいなくても、大丈夫だったのではないかとか思っちゃうところが泣けました。(笑)
ジャンルは、オカルトファンタジーミステリーでしょうか。
でも怖くないです。