打倒!破廉恥学園

旋風寺武流PLが意味もなくただ、だらだらと掻き散らかすブログです。

GS武流 ~前篇~

2009-06-11 19:40:36 | Weblog
これは、闘京都鳳凰区にある仙風寺の僧侶、旋風寺武流が体験した初夏の怪談である。事の発端は、寺で飼っている子猿が街で拾ってきた『ある噂話』から始まる。

「はっはっは、んな馬鹿な。いまどきゾンビだなんてホラー映画の観過ぎっスよ。それに廃工場なんて不良のたまり場じゃないスか。トンカツ……もといカツアゲされたらどうするんスかね」

そんな風に最初は笑い飛ばしていたのだが、この鳳凰区でしかも廃工場のある付近で行方不明者が急増しているという件を新聞で知ったからにはさすがに放っておけなくなった。

「一応、坊主の端くれっスからな。死者に安らかな眠りを与え……あわよくば犠牲者のご遺族から我が寺への寄進を!」

などと、建前と本音が入り混じった動機から廃工場にやってきた。もちろん準備は万全のつもりだった。死者を魂を鎮めるお香をたっぷりと染み込ませた袈裟、魔除けの鈴、そして破邪の錫杖。

破邪の錫杖はもともと坊主が普通に使っているただの錫杖であるが、これを機に命名したのだ。実際に破邪の効果があるかどうかは試した事がないのでその実力は未知数のままである。

「うわ! くさっ。こりゃ何か怪しのモノが出るのは事実らしいスな」

夕暮れ時――廃工場にやってきた武流は、まずその強烈な妖気に驚き鼻を摘まんだ。これでは鎮魂の香気も効果は期待できないだろう。廃工場独特のうら寂しさも手伝って武流は早くも帰りたくなっていた。

「……考えてみれば、一人で来る必要もないんスよね。それにそもそも敵の正確な情報を掴まずに戦場に出るなんて愚策もいい所ス!」

お化けなんて嘘さ、寝ボケた人が見間違えたのさ……寂しさを紛らわすために大声を張り上げ、わざと陽気に振舞って歩き出す。

「帰ろ帰ろかえろーっと! 夕暮れ時に来るのもタイミング最悪スよね。この時間帯は逢魔が時と言って最もお化けに会いやすい時間帯なんスよ……ははは、こんなに影が伸び……て」

夕日を背負っていた武流の歩みが止まる。大きく伸びた自分の影を挟むように、長い二つの影がゆっくりと蠢いていたからだ。

次の瞬間。武流の体は宙を舞い、背後に向かって蹴りを放っていた。チーズ成分が強いチーズケーキを踏みつぶしたような感触に思わず顔を顰める。

生者への嫉妬に充ちた眼、血の温もりを求める牙、肉の感触を楽しもうとする爪――ゾンビはたしかにそこに居た。

「君たち恋人同士だったんスか? なら一緒に成仏させてあげないといけないスよ……ね!」

女の死体の胸に埋まった脚を懸命に引き抜きながら、武流は横に居た男の死体の胸を錫杖で突き倒した。(続)




(PLより)

某PL様のブログで絶体絶命のピンチならどうするでしょうか的な事が書かれておられたので、うちの武流ならどうするだろうか……というちょっとした思いから、学園の噂になってるゾンビ騒ぎからアイデアを頂き、文章にしてみました。ちょっと長いかと思って前後編にしてみたのですが、長さ的にはどんなもんでしょうね。