図書館というのはとても面白い場所だ。
知識の泉というだけでも充分面白いのに、妙にロマンを感じさせる所がある。
たとえば、何百人何千人にも読まれてボロボロになっている文庫本。基本的に本は二週間借りる事ができるので、千人として1000×14(日)で14000日
40年近くも人間の人生を見てきたことになります。本が借りられている間にいろいろな喜怒哀楽な人生が借主に起こった事でしょう。例えば、本を借りている間に子供が生まれたりとか……。その人はその本を見るたびに子供が生まれた日の事を思い出すでしょう。本は静かに人生を見ているのです。
そしてもう一つロマンを感じる本がある。
何十年もの間、一度も借りられていない……いや、一度も開かれてすらいないのではないかと思うくらい綺麗な本についてです。
裏表紙の貸し出し表には全く借りた痕跡がなく、寄贈されたのが昭和50年とハンコが押されている。私が生まれる十年近く前から、一度も図書館の外に出ずに棚に収まっていたのだ。
私が生まれて、この年になるまでにいろんな事が起こりました。うれしいこと、かなしいこと。その間も本は静かに棚で眠っていたのです。
奇妙な愛しさを感じてしまいました。でも、借りはせずに私は本を元の場所に戻すのでした。
知識の泉というだけでも充分面白いのに、妙にロマンを感じさせる所がある。
たとえば、何百人何千人にも読まれてボロボロになっている文庫本。基本的に本は二週間借りる事ができるので、千人として1000×14(日)で14000日
40年近くも人間の人生を見てきたことになります。本が借りられている間にいろいろな喜怒哀楽な人生が借主に起こった事でしょう。例えば、本を借りている間に子供が生まれたりとか……。その人はその本を見るたびに子供が生まれた日の事を思い出すでしょう。本は静かに人生を見ているのです。
そしてもう一つロマンを感じる本がある。
何十年もの間、一度も借りられていない……いや、一度も開かれてすらいないのではないかと思うくらい綺麗な本についてです。
裏表紙の貸し出し表には全く借りた痕跡がなく、寄贈されたのが昭和50年とハンコが押されている。私が生まれる十年近く前から、一度も図書館の外に出ずに棚に収まっていたのだ。
私が生まれて、この年になるまでにいろんな事が起こりました。うれしいこと、かなしいこと。その間も本は静かに棚で眠っていたのです。
奇妙な愛しさを感じてしまいました。でも、借りはせずに私は本を元の場所に戻すのでした。