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1台だけ違うバス

2015-09-09 21:12:07 | 秋田市営バス
先日は、同型がなく1台だけ導入された秋田市営バスの路線車両を紹介した。
今回は、同時に複数台導入された中で、1台だけちょっと違った車両たちのお話。

結論から言えば、事故などで車体を破損して修復する際、元々とは違う部材が使われたことが原因だと考えられる。
鉄道車両や一般の自動車でもあり得ることで大した話ではないけれど、個性的な存在であった。記録としてまとめておきたい。

271号車
前回紹介した1991年度は、三菱製中型車両がたった1台だけ導入された。
その反動かのごとく、翌1992年は269~275号車の7台も導入され、新塗装の市営バスでは、同年度内同型車の最多導入記録(?)となった。

269~271号車の3台が10月初め頃、残りが12月頃【16日訂正】11月頃と2度に分けて納車された。271号車のナンバープレートは344で、次の272号車は364と飛んでいることからも分かる。
271号車
上の写真で秋田の路線バスとしては変わった、というか意味がない構造に変更されている箇所がある。それが271号車だけの特徴。

側面の客席窓に注目。

秋田市営バスの中型バスは、上下に2分割され、昇降させて開閉するタイプの窓。
ただし、行先表示器が設置された箇所だけは違い(表示器と窓枠のサイズが合わないし、厚くて昇降できなくなるので)、表示器の下側が左右(進行方向からすれば前後)にスライドする小さい窓になっていた。
秋田市営バスでは、中ドアが入口だったから、そのすぐ右側(後方)の窓に行先表示器が設置され、そこがスライド窓だった。

ところが271号車では、前ドア右「一般乗合 271」表示の上、いちばん前の座席の窓も、その構造になっている。行先表示器はないから、上は固定窓。
同年同型車のみならず、市営バスで唯一の仕様だったはず。
272号車の側面。もちろんいちばん前は上下窓

深い意味はないだろう。
窓・窓枠が破損して交換する時に、あり合わせなのか手違いなのか、上固定・下スライドの部材が設置されてしまったと思われる。多少見栄えは良くないものの、特に不都合はないだろうし。
中央交通に譲渡後もこのまま使われた。(廃車済み)

なお、前乗り方式だった首都圏などで使われた中古車を、中乗りのバス会社で使う場合、行先表示器を移設して結果的にこのような見かけになることもある。


281号車
同じく1992年度。この年は1988年度を最後に途絶えていた大型車も、青い窓など豪華な仕様で導入再開。いすゞ製では279~282号車の4台が導入。
279号車
正面に秋田市の色の若草色(?)で「秋田市営」の行灯があるのも特徴の1つ。
日野製の行灯はやや小さく地色が経年で黄ばんでいたが、いすゞは大きくて白地が保たれていた。※この記事参照

ところが、281号車だけは、
いい写真がないのですが
「秋田市営」の文字が紺色~青色。地色も他は半透明に近いのに、これは不透明っぽい。
上から貼り付けたようにも見える


279号車
行先表示器(方向幕)の蛍光灯と連動して行灯も点灯するようだ。
281号車では、
光らない?!(単に球切れとか、別にスイッチがあって切っていただけかもしれません)

ということで、行灯が破損し、不透明の部材で新たに作ったことになる。
行灯自体に存在意義は少ないし、夜に点灯する必要も低いから、不透明にしたのは理解できるけど、文字の色も変えたのはどうしてだろう。若草色より見やすいといえば見やすいけど。
そもそも、内側から光るから「行灯」であり、光らなければ単なる「事業者名表示」に過ぎない気もしますが。

この4台は中央交通へ譲渡され、行灯の事業者名が書き換えられた。
夜はどうなるか知らないけれど、見た感じでは市営バス時代の281号車と同様の不透明っぽい地に青文字で書かれている。
後に、282号車だった「358」だけは行灯自体がなくなり、外板が下に拡大されたような構造になった。ヘッドライト周りの黒い枠はそのままで、どことなく不格好。


以上2点は、愛好家がホームページで紹介するなどして、知っていた人には知られていたようだ。
以下は、ネット上では見たことがないので、知る人が少ない差異かと思われる。
131号車
以前紹介済み
(再掲)
1995年度のうち1台だけ、正面の市章が蛍光色のような色だった。旗を付ける棒も違った。



249号車
1990年度は、日産ディーゼル製中型車が248~251号車の4台導入された。
富士重工が組み立てていたボディが一新され、前年度導入車まではいちばん古くさく見えたものが、今度はいちばんスタイリッシュに感じられたものだった。※この記事も参照。大型車は前年度に新デザインで2台導入していた。
富士重工も日産ディーゼルもバス製造からは撤退してしまったけれど、2015年時点でも、古くは見えないデザインではないだろうか。

その1台、249号車の正面。
249号車。ナンバーが「200」ちょうど
バスにある程度詳しい人が見ても、違和感はないと思う。
前回紹介した268号車とかそれ以降と比べても、塗装の色味が若干違う程度。

ところが、他の3台とは違う。
250号車
バンパーと一体化した黄色いフォグランプの位置が違うのです。他の3台はヘッドライトの下なのに、249号車だけは横(内側)。

他年度導入分の同タイプでは、フォグランプがヘッドライトの下にあるのは1990年度の中型車だけ。
1989年度の大型車や1991年度以降の中型車・普通型(低床車JP)車は、すべて横。
※直接関係ないが、最終導入の1996年度には、ウインカーに連動するコーナリングランプが設置されている。
251号車。雪が着いて分かりやすいが、後にフォグランプが付く場所が凹んでいる
つまり、全体的に見れば、1990年度の249号車を除く3台のほうが、変わった存在とも言えよう。
249号車にバンパー交換の必要が生じた時には、下にフォグランプがある元々のバンパーは製造中止になっており、その時点の現行タイプのバンパーが取り付けられたと考えられる。

このタイプのボディ末期(2000~2003年の大型車など)では、再びヘッドライト下にフォグランプがあったようだが、秋田県内には存在しないかも。
他メーカーのバスや普通自動車では、フォグランプは下のほうに取り付けられるが多いようだ。


272号車
最後は冒頭と同じグループの272号車。
272号車
僕は実物では気付かず、後に写真で気が付いた。
(再掲・2002年撮影)
正面の車体の色が、ちょうど真ん中を境に左右で微妙に違っている。「272」の書体も左右で違う。

右(ドア側)のほうが色が濃い。「272」は左(運転席側)のほうが本来の書体。

見るからにツギハギの補修をされた車をたまに見るけれど、これはかなり上手にやっている。秋田市営バスの丁寧な仕事ぶりの1つと言えよう。
【10日追記】2005年撮影の272号車では、右ヘッドライトの左にシールが貼られている。これは、三菱の2度目のリコール隠しの発覚を受けて、2004年7月から実施された緊急点検を済ませた車両に貼られた「点検済ステッカー」。
点検内容によるのか色違いの正方形ステッカーが、1台に複数貼られる場合があり、バスではこのように緑と青の2枚セットをよく見かけた。(トラックは緑だけだったらしい)
貼付位置は所有者が指定できたようで、バスでは車内の銘板の隣とか、車外側面の前ドア周辺に貼らせた事業者が多かった印象。秋田市交通局のように正面に貼らせたのは珍しかったと思う。(以上追記)


おそらく、他にも、気付けなかった1台だけ違うバスが存在したことだろう。

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4 コメント

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Unknown (AkitaSakura)
2015-09-11 19:58:54
よく見ると微妙な塗装の違いやランプの位置の違いがあるんですね。
初めて知りました!

神田線、添川線沿線の者ですが、三菱ふそうの中型車は結構多く乗った印象があります。(日野レインボーも印象が強いです)

大型車はあまり乗ったことが無かったんですが、行灯が光るなんて豪華ですね。秋田市営らしいです。

あと、前から思ってたんですが、「神田.旭野団地」「通町.秋田駅」「添川.蓬田」の方向幕だけ経由地が黒文字とドットを用いて記載されてるんですが、これは市営バス末期のためなんでしょうか(他の路線は県庁とか大町といった小さめの青文字で表記されてるのが気になりました)。
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黒文字か青文字か (taic02)
2015-09-12 19:45:43
市営バス路線用の三菱はほぼ中型のみでしたから、その印象が強いでしょうね。
レインボーは東営業所に多かったので、東営業所担当ダイヤによく乗る人は、いつもレインボーばかりに乗るということもありました。

青文字か黒文字ドットかは、路線(行き先)ごとの違いです。
どう使い分けていたかはあいまいですが、「途中経路が違って行き先が同じ」路線があるものは青文字を使って分かりやすくしていたようにも思えます。例えば新屋線と西線、新国道経由と県庁・寺内経由など。
また、ドットの前の文字(神田、添川、将軍野など)は、そのまま「~線」という路線名を表示していた傾向(例外もあり)もあるようです。
八橋球場交通局や将軍野線のように、青文字とドットを併用していたものもありますが、この表示方法は昭和末期に始まったかと思います。

ちなみに写真の「通町.秋田駅」は、1日数本だけの「通町経由交通局線」が使っていた表示です。
写真は別路線の駅行きなのですが、なぜかそれが表示されており、撮影できてラッキーと思った記憶があります。

さらに余談ですが、ドットは「.(ピリオド)」と「・(中黒)」がありました。幕が作られた時期で違うようですが、廃車のを新車に使い回していたようで、車両の新旧では判断できませんでした。
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281号車 (AKITA BUS)
2015-09-14 12:21:17
市営281号車の行灯はバスまつりに部品がでていて、その時購入したものがあります!
返信する
一点物 (taic02)
2015-09-14 18:21:37
これぞまさしく「一点物」!
貴重なアイテムをどうか大切にしてください。
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