広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

秋田市営バスの顔

2012-01-12 23:45:50 | 秋田市営バス
何年か前、青森市営バス(当時は青森市交通部だったか?)の公式サイトに「バスの顔」とかいうページがあった。(現在はない)
100台以上にのぼる全車両を正面から写した画像がアップされていて、同型車であっても1台1台すべて掲載されていた。バス事業者の公式ホームページにこうした車両紹介があること自体異例だし、バス愛好家のホームページでも全車両の正面の姿を網羅したものはそうないと思う(愛好家の間では「公式側」と呼ばれる、正面とドアのある側面が1度に見えるアングルで撮影するのが一般的だそう)。交通部の車両への愛情とサービス精神が伝わるともいえそうだが、とてもマニアックなものだった。

バスの車体の塗装は、同じ会社の同じ時期の車両なら、一見どれも同じ。しかし、ほんとうはいろいろと差異がある。
秋田市営バスの場合、大型バスと中型バスが存在し、それぞれに4つのメーカー製があったため、比べてみるとなかなかおもしろい。
この記事では、以前の青森市営バスのページを少し意識して、秋田市営バスの車両のごく一部だけですが、バスの顔=「正面のデザイン」に注目して紹介します。
写真と知識の関係上、1986年から1996年までの間に導入された新しい塗装の大型バスと中型バスを中心に紹介します。(機会があれば、側面・後部や車内など続編をアップするかもしれません)※市営バスの車体塗装の変遷についてはこちらの記事
※この記事は、あくまでも外観の相違に着目したものであり、エンジンの違いなどは考慮していません。したがって、見かけは同じでも型式が異なったり、その逆の場合もあります。
※記事中に「◯◯年度に導入」といった記載がありますが、これは「年(1月~12月)」ではなく「年度(4月~翌年3月)」です。交通局では年度単位で車両を購入していたため、年度ごとの方が追跡調査しやすく、理にかなっている判断したためです。交通局には年度後半に納車された例が多いこともあり、クルマでよく使われる「年式」とは一致しない場合があり得ます。

まずは中型バス。総数は79両。
 いすゞ・264号車。1991年度導入/日野・241号車。1990年度導入(写真の色合いがややおかしいです)
中型バスの中では、いすゞ製は少数派で14両導入。1988~1991年度に4度に渡って導入されたが、正面デザインの違いはない。
上部の行き先表示の周囲が、赤く縁取られているのが目を引く。

21両あった日野製(車種名・レインボー)のうち、1988~1991年度の16両が右上の写真のデザイン。
いすゞと異なり、ヘッドライト下~バンパーの上にグレーの部分がある。フロントガラスが左右非対称なこともあり、向かって左の窓下に白い部分が多い。
121号車。1994年度導入
1994年度にオートマチックトランスミッションで導入された5両は、ヘッドライトが丸型から角型に変わったが、塗装は同じ。(レインボーは1995年から標準仕様で角型ヘッドライトになったそうなので、当時はオプションだったことになる)

次は三菱ふそう。中型バスは7度に渡って27両導入され、市営バスの中型バスでは最多勢力。(逆に新塗装の大型は2両しかない)
いすゞ、日野が市営バスから姿を消した後、日産ディーゼル製とともに最後の年まで走り続けた。【14日訂正】最終年度は日野製の車両も2台だけ残っていたので、下記の通り訂正します。
市営バスからいすゞが姿を消し、日野が大幅に数を減らした後は、三菱のバスが日産ディーゼルとともに秋田市営バスの主力車両として最後の年まで走り続けた。(最終年度は日野2、三菱4、日産ディーゼル5の計11両)
 230号車。1989年度導入/293号車。1993年度導入
左の写真は、1988~1992年度までの5年度、20両のデザイン。市章がやや上に付いている印象。
右上の写真の1993年度の3両(オートマ)では変化が見られた。
従来より全体的にやや角ばったフォルムになり、ヘッドライトの形状が変わり、コーナリングランプが新設。ヘッドライトの上に段差がつき、旗を立てるポールがバンパーの上からそこに移った。塗装は全体的に下に移動した感じで、市章は他メーカー並みの位置になり、窓下の白が少し増え、バンパー上のグレーの部分が狭くなった。

1年のブランク後、1995年度の4両(オートマ、座席の模様が変更)が市営バス最後の三菱製で、また若干の変更。(交通局の最終年度まで残った車両がこのタイプ)
132号車。1995年度導入(ちょっと珍しい西口発明田経由桜ガ丘行き)
おおむね1993年度と同じだが、バンパーが黒からグレーに。
「カラードバンパー」というやつだ。秋田市営バスの路線バスでは、この車両だけだと思う。(貸切バスでは赤いバンパーのものが多かった)
といっても、他のバス会社の同型車でもカラードバンパーがあるので、オプションではなく、標準仕様で着色できたのだろう。【2023年3月14日追記・他事業者のエアロミディでは、後ろのバンパーも色が付いた車があるが、秋田市営バスは従来どおり黒だった。】
【14日追記】結果的に三菱製中型バスは、マニュアル車かオートマ車かで正面の顔が異なることになり、識別しやすい。なお、後部にも同様に明確な差があるのだが、いずれもオートマだから新しいデザインになったわけではなく、偶然だろう。
【15日追記】オートマ車は、1993年度の1両(292号車)を除く6両が、段階的に中央交通に譲渡された。譲渡後の中央交通の塗装では、どちらもバンパーが黒く塗装されたので、外観から導入年度を識別しにくくなった。
弘南バスのエアロミディの変遷について

残るは日産ディーゼル(現・UDトラックス)。※以前の関連記事
中型は1988~1992、1996年度の6度、17両導入。
 233号車。1989年度導入/135号車。1996年度導入
以前も紹介した通り、1988年度と1989年度の4両だけは、左の写真の古い車体。
面積は広そうなのに、フォグランプがバンパーでなく車体に付いている関係か、デザイン的にはちょっと窮屈そうで、中央のラインのカーブが大きく、市章が下がって旗のポールと重なっている。

残りの13両が右上の写真。(細部では年度ごとに若干の差があるのですが)
ヘッドライトがバンパーと一体化し、フロントガラスが大きくなったようで、他のメーカーよりも塗装される面積が狭くなって、独特の塗装になった。
グレーの部分がなくて肌色の部分が少なく、ラインのカーブが小さくなり、市章が赤いライン上にある。


1988年度から1996年度までコンスタントに導入され続け、大きな仕様変更が少なかった中型バスに対し、大型バスは1986、1988、1992~1994年度の5度しか導入されず、毎年のように発注時の仕様が変更されていた。
あまり写真がないのですが、いくつかご覧ください。
日野・297号車。1993年度導入
全国的にバス愛好家の間では、秋田市営バスの大型バスといえば「豪華な仕様」というイメージがあったようだ。当時の東京都営バスを意識していたとも言われている。その1つが「秋田市営」と表示された行灯(あんどん)。
実際には、行灯は大型車全部ではなく、1986、1992、1993(一部)年度導入の車両にあった。日野製の大型バス(車種名・ブルーリボン)は、たまたまこの3つの年度に導入(11両)されたため、上の写真の297号車のようにすべてに行灯が付いている。(なお、1992年度の日野製は、貸切兼用の「秋田八丈」の塗装)

ただ、日野の行灯は、他メーカーと比べてサイズが小さく、地の白い部分が長期間放置したセロハンテープのように黄ばんでいる印象があった。
塗装に注目すると、上部の行き先表示の左右に、白とグレーの部分が回り込んでいる(いすゞ製ではここが全部赤い)。
ヘッドライト・行灯付近に銀色のラインが3本走っているのも特徴。他の市営バス車両では見られないが、僕が通っていた幼稚園の通園バス(日野製で1970年代製か)にもあった。市営バスの銀色ラインは、中央交通へ譲渡された際に撤去され、普通の黒バンパーになってしまった。

いすゞの大型バスは1986、1988、1992、1994年度の4度、13両導入。
 280号車。1992年度導入/220号車。1988年度導入
中型同様、大型バスでも行き先表示の周囲が赤い。
行灯があるのは、1986と1992年度の車両。左上の写真のように日野製と比較して、行灯が大きく、地色が白いのが分かる。
「LVキュービック」と呼ばれたいすゞ製大型バスは、当時の路線バスの中で唯一、フロントガラスが分割されず一枚になっていて、2本のワイパーが重なる配置になっている。そんなことも関係しているのかフロントガラス下部が丸みを帯びた形状になっていて、それに合わせて塗装の赤・白・肌色のライン(他車種では一直線の部分)がカーブしているのが独特。
280号車では行灯もあって面積が狭いため、市章の上部がガラスにかかっている。それと、旗を取り付けるポールがないように見えるが、位置が異なり端のウインカー付近にポールがある。※旗の位置はこの記事参照

1988年度に導入された大型バス(日野以外の3社5両)は、中型バスと同一の仕様だった。
その1台、右上の写真の220号車では、行灯がない分、スペースに余裕がある。ガラスに合わせてラインがカーブしているが、280号車のとは角度などが少し違い、赤は細いように見える。


三菱は1986、1988年度に1両ずつ入っているが、いい写真がないので、省略。※この記事に画像があります
日産ディーゼルは、1988年度と1993年度に7両導入。しかし、初のワンステップバス(超低床式バス)となった1993年度の5両は、交通局では大型バスとして運用していたが、メーカーでは「普通型バス」と呼んでいて、実質的には中型バスの車体を大型バス並みに延ばしたものだった。
116号車。1993年度導入
車体幅は中型バスと同じなので、たしかに他の大型バスよりほっそりして見える。
上の方の写真にある日産ディーゼルの中型車138号車と差異はほとんどない。(ワイパーの色くらいか)
日産ディーゼル製の真の大型バスは1988年度の2両だけなのだが、それも写真がない。ただ、外観は中型バスと大差がなかったと記憶している。


たいへんマニアックだったと思うけれど、改めて並べて比較するといろいろと違いがあることが分かった。
この記事では触れなかったけれど、実はメーカーや導入時期によって色合いに微妙な違いがあったり、何らかの事情により1台だけやや異なるデザインが施されているような車両もあった。機会があれば、いずれ紹介します。

【以前の記事の訂正】以前、新塗装の路線バス119両(空港リムジン用は除く)の内訳を「大型バスが34両、中型バスが78両、小型バスが7両」としていましたが、どうも「大型バスが33両、中型バスが79両、小型バスが7両」が正しいようです。訂正します。
しかし、今後も訂正してしまう可能性もありますし、あまりアテにならない独自の調査・集計ですのでどうかご了承ください。

※次の記事(三菱の大型バス)はこちら

コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ラッピングバス3/日本海申し入れ | トップ | 雪中散歩 »
最新の画像もっと見る

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
う~ん (mugi-shochu)
2012-01-13 21:24:07
確かに凄いマニアックですね。
でもよく見ると、本当に微妙に顔が違うことが分かって面白かったです。

返信する
でしょ (taic02)
2012-01-13 22:12:19
お付き合いいただき、ありがとうございます(笑)
緑の横線だけのあちらの会社とは違い、秋田市営バスは色が多くて、ラインがカーブしているため、違いが出やすいみたいです。
続きとして後部編と側面編なんてやったら、マニアックすぎますね… でも、やってみたい…
返信する
わー! (名無しの秋田市民)
2012-01-14 21:01:40
やっぱり市営バスはいいですねぇ~。
自分は市営バスの記憶といったら中扉のお茶の広告がなぜか印象に残っていますXD
(お奉行様みたいな人が正座してるもの)
でも自分がしっかり記憶にあるのは中央交通移管後からなのでなんか市営バスの塗装に違和感を感じてしまいます・・・。
市営バスがまだまだ現役だったころは青色のバス(中央交通)かっこいいなー乗ってみたいなーなんて思ってたんですけどね:)

バス結構好きなんで後部編側面編にも密かに期待しておきます:D
返信する
続編は? (taic02)
2012-01-15 19:02:01
写真をどれくらい撮ってあるか次第なのですが、気長に期待しておいてください。

「太平堂の銘茶」の広告ですね。
この記事↓の下の方に写真があります。中央交通に今も出ています。
http://blog.goo.ne.jp/taic02/e/bffeff5f604cf23e610039ed91331a09

市営バス沿線で育った者としては、バスといえばこの塗装ですが、中央交通もいろいろ塗装がありますね。
細部はよく知りませんが、大雑把に3世代あるでしょうか。
大昔は薄い緑とグレーの塗装でした。正面は白で )V( ←こんなラインが入ってました。
その後、薄い緑と濃い緑になり、今の濃い緑と黄緑になったのかな。
今の塗装は、ベタ塗りにただ線を引いただけみたいで、もう一工夫ほしい気がします。
返信する
Unknown (名無しの秋田市民)
2012-01-15 21:35:58
それですそれですXD
まだ小さいこどもの頃だったのでなぜか怖かったような印象を持っています。

確かに中央交通はなんか格好がつかないですよね~。
正面も広告の旗(?)(横断幕みたいなの)を付けてないとなんかさっぱりしすぎてる感じがします。
市営の時みたいに市章をつけるとか(もしくは社章)
祝日には日の丸を掲げるとか・・・。
なんか欲しいです。
民間では無理なのですかね~。

そういえば前々から気になっていたのですが・・・
座席が緑の格子模様と赤の格子模様の車両は全て元市営なんですか?
記憶違いかもしれませんけど中央交通に移管して初めて緑の格子模様と赤の格子模様以外の座席を見た気がするので。
教えてもらえるとありがたいです。
返信する
気長に (taic02)
2012-01-15 23:24:26
市営バスでは、逆に正面に広告を付けると市章が隠れてしまって、あまり好きじゃなかったです。
社章は旧塗装では側面に付いていましたが今はなくなりました。今ならシートに印刷したのを貼るとかすれば手軽にできそうですが。
祝日の旗は管理が面倒そうです。青森の弘南バスは、昔は日の丸を2つ掲げていたと記憶していますが、現在はやっていないようです。

座席は、末期の市営バスにあった車両では座席の模様が3種類あり、どれも今も中央交通で走っています。
うち2種類が緑(窓側の席)と赤(通路側)の格子で、多数派は細かい等間隔の格子(上の太平堂の広告のリンク先に写真があります)、ワンステップ大型車では目の大きい格子です。一部の中型車では、水色とピンクの細かい模様の布地です。

全国的には、これらと同じ柄を採用しているバス会社もあるようですが、中央交通でこれらの模様であれば、100%元市営バスの車両とみていいでしょう。
たしか臨海営業所の大型車で、青色の大きな格子の車両もあったと思いますが、それは首都圏の中古車のようです。あと、補修のため部分的(座布団部分)に市営バスの座席の余りをはめている車両もありますよ。
いつかは座席の記事も作りたいけど、今回も気長にお待ちください…
返信する
Unknown (名無しの秋田市民)
2012-01-16 20:48:56
なるほど!
そうだったんですね。ありがとうございます。
確かに背もたれは緑で座るところだけ緑の格子というのを見たことがあります。
毎日乗るもんですから意識すると面白いです!
返信する
中古車いろいろ (taic02)
2012-01-16 22:51:10
どういたしまして。
運転席とか横向きの優先席が市営バス仕様の車も見たことがあります。

中古車がいろいろあるバス会社だと、そんな点を観察する楽しみもあるわけです。
返信する

コメントを投稿