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六魂祭が沙漠に影響?

2015-05-18 20:13:36 | 秋田のいろいろ
東北6県の祭りが一同に会する「東北六魂祭(ろっこんさい)」が、東日本大震災後毎年1回、県庁所在地持ち回りで開催されている。
5回目となる2015年は5月30日・土曜日と31日・日曜日に秋田市で開催。
過去各回も、それぞれの県庁所在地中心部で開催されていたようだが、秋田市では(竿燈大通りを含まない狭義の)山王大通りの県庁第二庁舎東側(東カンビル付近)から県児童会館前の1.2キロがメイン会場。

初回の仙台市では36万人が訪れ、ものすごい大混雑になった。
翌年以降はいずれも24万~26万人が来ていて、今回は22万5000人を見込んでいる。

秋田市では、今回の会場の近くで8月に「竿燈まつり」が開催され、例年4日間で100万人以上が訪れる。1日当たりの人数からすれば六魂祭のほうが少なそうだから、ちょっと見に行ってみようかと、たかをくくっていた。
しかし、以下のように当日の交通規制などの状況が分かるにつれ、末恐ろしくなり、あまり近づきたくない(近づかざるを得ないのだけど)気がしてきた。


交通規制は広範囲かつ長時間。
けやき通りや大町の裏通りは土曜日は9時から22時、日曜日は9時から19時までと半日。
それに加えて、土曜の15時から22時、日曜の11時から19時にかけては、竿燈大通り、秋田駅前、広小路、脳研前の大手門通り、秋田中央道路地下トンネルといった、秋田市中心部の主要道路の大部分が通行できなくなる。
※中央通り、通町~旧国道、手形陸橋~千秋トンネルなどは規制対象外。

県警の道路表示板は、相変わらず不格好な文字で、抽象的な告知。
「六」が苦しい。「魂」はそれなり

 
「庁」が下寄り。そもそも「県庁周辺」ではなく「臨海十字路」でしょう。
いつもより速いスピードで「5月30日 5月31日 秋田駅から 県庁周辺」「東北六魂祭 交通規制 実  施 」「交通事故に 注意し   安全運転を」と表示。
※別の表示板の状況はこの記事末尾

これに伴い、路線バスも大幅な変更を余儀なくされることが予想され、コメントでも情報をいただいていたが、18日にやっと詳細が発表された。
方面や路線によって対応が異なり、運休(寺内経由など)、減便、秋田駅西口発着路線の発着地の変更(東口、長崎屋、マツダ前など)、迂回運行が大規模に行われる。※詳細は後日利用予定の方は各自、充分にご確認を!
なお、JRも夕方以降は秋田駅改札口の入場規制を行うことにしており、通常通りには利用できなさそう。

秋田市では「当日は自家用車の利用はできるだけ避け、公共交通機関の利用を」といった呼びかけをしているが、これでは公共交通機関さえ使いものにならない。
秋田市中央部に住む人、秋田市中心部を六魂祭以外の目的で訪れる人、秋田市中央部を抜けて南北を移動する人は、身動きが取れないも同然。徒歩や自転車でも、少々足止めや遠回りさせられるかもしれない。(山王大通りは自転車規制あり)
のこのこと歩いて会場に行ったところで、人だかりで見られないで終わりそうな予感もするし。


遠方から見物に訪れる皆さんにも、この交通規制では、秋田の街を楽しんでもらうことは難しいだろう。
駅・中心市街地と会場はやや距離があり、当日はこのエリアの路線バスはほぼ全休。秋田市に不慣れな人がそこを歩いて移動しようとは思わないだろう。
観光バスで来る人たちは、会場近くのけやき通り付近などに乗降場所が設けられるので、会場近辺を歩いて終わりだろう(八橋運動公園でイベントは開催)。
自家用車向けには空港跡地などに駐車場を設け、そこからシャトルバスを運行する。プロ野球試合時のような無料シャトルバスかとおもったら、これが有料。しかも片道【19日訂正】往復900円!(片道だけ乗ることはできないのか?)※中央交通が儲けるわけではなく、主催者側の収入になる模様
以上からして、実質的には、六魂祭とはツアー客向けのお祭りダイジェストみたいなものか。個人客、ましてや当日思い立って、県外から車で来たような人は、見られずに帰るはめになってしまうかもしれない。
秋田市内の飲食店などにどれほど経済効果がもたらされるだろうか。

秋田市が単なる会場としての「器」になってしまっている感じ。
6年に1度(?)の大きなイベントだからそれでいいのだろうけど、それだったら山奥(北欧の杜公園とか??)でやったほうがいいかもしれない。

六魂祭の目的であると思われる、東北地方一丸となった復興を否定するつもりはないけれど、直接的な被災地ではない秋田市で開催することにより、直接的な被災地へどれだけの効果があるのかも疑問。震災復興を名目に被災地を置き去りにして盛り上がっている感じがしなくもない。
来年はおそらく青森市で開催して一巡するわけだが、これほど人を集められる催しなら、例えば会場や会期を分散して、各地にまんべんなくメリットがあるようなイベントに仕立て直すことがあってもいいかもしれない。




我々秋田市中央部在住で特に用のない人は、割り切って自宅と徒歩圏内(あるいは前日からどこかへ遠出して)でのんびりするのもいいでしょう。
でも、土日とはいえ仕事や大事な用事など前々から予定がある人が、何らかの制約を受けてしまうのは、お気の毒。

ところで、公益財団法人秋田観光コンベンション協会のホームページには、「コンベンションカレンダー」として、秋田市内で開催される会議・学会・大会などの予定が掲載されている。

それによれば、5月30・31日に、六魂祭とは無関係の2つのイベントがあることになっている。
・30・31日に仲小路の明徳館ビルのカレッジプラザを会場に50名が参加する「日本沙漠学会第26回学術大会」。
・31日に秋田市立体育館で180名が参加する「第15回全国障害者スポーツ大会バレーボール競技(精神障害の部)北海道・東北ブロック予選会」。
どちらも毎年、各地持ち回りで開催されるようだから、例えば前回の会とか、年度ごとの会議か何かで、1年以上前に「2015年5月末に秋田市でやりましょ」と決定されたのだろう。
一方、六魂祭会場が秋田市に正式決定したのは、今年の1月だったそうだ。(実質的に青森市か秋田市の2択で、昨年内からウワサはあったけれど)

2つの催しの関係者にしてみれば、開催まで半年を切った時点で、六魂祭とバッティングが分かって寝耳に水、青天の霹靂だっただろう。
交通や宿泊の手配、当日の運営に影響が出てしまうのだから。


これで大丈夫なのかと余計な心配をしてそれぞれの主催者のホームページを見てみると、どちらも予定を変更して1週間繰り上げて開催するようだ。バレーボールのほうは理由は不明だが、六魂祭に違いない。
日本沙漠学会のホームページには、
「変更理由 東日本大震災の鎮魂と復興を願う東北六魂祭が,5月30~31日に秋田市内で開催されることが1月20日に発表されました(http://www.rokkon.jp/).
 25万人を超える来場者が予想され,2月5日時点ですでに5月30~31日の秋田市内のホテルは満室になっております.交通機関の渋滞も想定されることから当初の日程での開催は困難と考え,やむを得ず日程を変更することといたしました.会員諸兄には大変ご迷惑をおかけいたしますが,ご了解いただけますようお願い申し上げる次第です.」
とあり、六魂祭のせいで日程を変えていた。

余談だが、学会名が「砂漠」でなく「沙漠」なのは、岩石や礫といった砂以外でできた乾燥地をも含むから。英名では「desert」ではなく、「乾燥地」を意味する「arid land」としている。
今大会では秋田市大森山動物園の小松園長によるラクダについての講演があるそうだ。


日本沙漠学会にとっては今回が「25周年記念大会」という特別なものだそう。
その研究発表の申し込み締め切りは2月27日だったから、それに向けて日程調整と研究を進めていた発表希望者もいたはず。そこへ1月末に突然に六魂祭が割って入って日程変更で段取りが違ってしまったかもしれない。
他の参加者も、沙漠という日本にはないものを研究する人たちだから、予定していた海外出張を変更させられた人などがいたかもしれない。
六魂祭が沙漠(学会)に影響を与えてしまった。それによって、沙漠の緑化が遅滞してしまうかもしれない!?


観光も会議も所管する秋田観光コンベンション協会にとっては板挟みかもしれないが、六魂祭に伴って変更させられたことを把握していない(もしくはホームページに反映させていない)のは、主催者に対して失礼だ。
主催者側が愛想を尽かして連絡しなかったのかもしれないね…
コンベンション協会側も各主催者側も、切羽詰まってそれどころじゃないのかもしれない。
【23日追記】5月23日時点でコンベンション協会のカレンダーでは、沙漠学会の日程は修正されている。バレーボールはそのまま。


ほかには、
・30日「秋田高校吹奏楽部定期演奏会」県民会館
・30日「ゴスペラーズ坂ツアー2014~2015“G20”」秋田市文化会館
・31日「JリーグJ3第14節 ブラウブリッツ秋田 vs FC町田ゼルビア」あきぎんスタジアム(秋田市八橋運動公園球技場)
が予定通り開催されるようだ。
高校吹奏楽部の定演には中学生も来る。会場ど真ん中で開かれるコンサートやサッカーには鉄道や飛行機で見に来る人もいる。そうした参加者の来場・帰宅がどうなるか、ひとごとながら不安である。

六魂祭の関連イベントで同日に「六魂Fes!」というコンサートが県立体育館で開催されるそうだが、それの参加者も同様。

竿燈など夏祭りは1年前から翌年の期間中の宿が埋まるというし、そこに別のイベントをぶつけようとする組織はない。周辺へ及ぼす影響を考えれば、六魂祭の5か月前の決定は遅い。もっと早く、会場と期日を決定するべきだったのではないだろうか。


なお、会場ど真ん中の秋田県立図書館は、両日とも「東北六魂祭に伴う臨時休館」になった。恐れをなしたのかもしれないが、無難な選択だ。
ただし、引き続いて翌6月1日から7日は特別整理期間のため休館で、お休みが長くなる。

図書館向かいの秋田県児童会館は通常通り開館するようだけど、トイレ借用や休憩目的の入館で騒がしくなってしまいそう。
そう言えば、竿燈の時は仮設トイレ設置や近隣ホテルのトイレ開放をするけれど、六魂祭ではどうなるんだろう?【29日追記・仮設トイレは設置され、周辺の商店など竿燈以上にトイレ開放(貸出)が実施される】



それにしても、交通規制時間の会場以外の秋田市中央部・中心部はどうなるのだろう。
広小路や竿燈大通りなどは、路線バスやシャトルバスを含めて車は一切乗り入れできない。車がまったくいない道路を見物客がぞろぞろ歩くのか、それとも歩行者もいないゴーストタウンになるのか。【19日追記】竿燈の本番直前のように、演者の入場までの待機場所になる道路もありそう。
一方通行の片側だけ生き残る中央通りはどんな状況になるのか。
土曜日とお客さま感謝デーが重なり書き入れ時の30日のイオン(特に秋田中央店)は客があまり来ないのではないか。
等々、個人的に気になる。

天気も心配。雨も困るが、暑くなると休憩場所もろくにない(オフィス街の土日なので)駅から会場までの間で、行き倒れる人が出ないだろうか。
関係者、参加者の皆さん、そして巻き込まれる皆さん、おつかれさまです。無事に終わることを祈りましょう。



ちなみに、8月に秋田県大仙市大曲で開催される「全国花火競技大会」には、地域の人口(合併前の大曲市で4万人)の20倍の80万人が一晩で訪れる。
主催者や関係各者と市民の尽力で、毎年うまく開催できているのだろう。六魂祭もそうなってほしい。

それから、「各地の祭りが一同に会する」イベントとしては、秋田県では毎年恒例のものが2つ初秋に催される。
能代の「おなごりフェスティバル」、十和田湖畔(場所としては青森県側)の「十和田湖国境祭(くにざかいまつり)」で、六魂祭とは多少顔ぶれが違うものの、さほど混雑せずに、いろんなお祭りを楽しめるそうだ。
じっくりお祭りを見たいなら、こっちのほうがいいかもしれませんよ。(ほんとうはそれぞれの祭りの現地で、それぞれの本番を見るのがほんとうなんでしょうけど…)

【18日22時まとめ】六魂祭自体に反対ではないものの、次のような点への配慮や検討が必要ではないかと思う。
・他の催しや住民への影響を踏まえ、日時や交通規制など影響を及ぼすことの周知は、極力早く。
・市街地を会場に年1回・2日間が妥当か?
・直接的な復興、開催地への経済効果につながるか?

※六魂祭にともなう路線バスの影響はこちら

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2 コメント

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仙台のほうでも・・・ (つがる路快速)
2015-05-20 23:13:05
東北内で、この記事とちょっと似たようなことですが、仙台のほうでも、某ジャニーズ系のアーティストのライブが開催決定したときに、仙台市内の某チェーンホテルの予約が在庫よりも超過した数の予約を受け付けていたようで、その某ジャニーズ系のアーティストのライブ日程と被っていた某学会の学術大会の日程がずれこんだようです。
ちなみに、その予約超過したホテルの予約は、そのライブのチケット販売情報が決まってから改めてやるそうです。
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来年は? (taic02)
2015-05-21 00:25:14
仙台のキャパシティは秋田より多いでしょうが、それでさえ、そういう事態になるんですね。
影響を受けてしまう関係者は運が悪いとしか言えませんが、行政や業界が仲介して円満に調整するとかできないものでしょうか。

そして、来年の六魂祭が開かれるであろう青森市。過去の反省を踏まえ、今から準備してうまくやってくれることを願います。
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