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広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

青棚

2015-08-13 23:32:43 | 秋田の季節・風景
当ブログでは、毎年8月初めから中旬にかけて、2010年のとある記事にたくさんのアクセスがある。
今年の8月12日は255件もアクセスがあり、直近の新しい記事をしのいでいる。

その内容は、秋田などのお盆の装飾に関する風習。「とうろう」とか「トロンコ」と呼ぶ、吊り下げて供えるモナカの皮状のものを主に紹介した。
今年も、秋田ではどこのスーパーでも、当然のごとくとうろうが販売されている。


その記事で、もう1つ簡単に紹介したものがあった。
ハス(蓮)の葉に小さな果実などを載せて供えるもの。
これは全国的に行われるようだが、場所によっては細かく刻んだナスやキュウリなどを供えるようだし、ホオズキの代わりに秋田ではハマナスの実を使うといった違いはあるようだ。
秋田では、葉と中身がセットで売られるのが一般的。

これまで、その名前は分からなかったが、今年、知った。「青棚(あおだな)」だそう。
ネットで「青棚」で検索すると、結果は「青い棚」ばかり。とうろう以上に局所的なものなのかもしれない。
日本語では緑色のことを「青」と表現することがあり、お盆のお供えを並べる場所を「盆棚」と呼ぶので、その辺りからの命名だろうか。

秋田のスーパーでは、「青棚」とか「青棚セット」という名称で、400円程度で販売されていた。
四角くたたんでまとめられ、透明袋で包まれて販売
ナマモノだから、あまり早くから売ったり買ったりするのもうまくなさそうだけど、8月9日には既に売られていた。購入後は冷蔵庫の野菜室に入れると葉が乾かなくて良さそう。


広げたところ
ハスの葉を手に取って見たのは初めてだったけど、かなり大きい。(これは特に?)
ほんのりといい香りがする。ハスの花の独特の香りに少し似たような。
中身も袋入り
この商品は、ハマナス、ペポカボチャ、小さい青リンゴ、ブドウ、インゲンマメがセット。

インゲンマメがちょっと意外かもしれない。
全国的に一部地域(秋田の一部でも)では、ジュウロクササゲとかサンジャクササゲという、紐のように長いさやの豆をお盆に供える。
インゲンとササゲはよく似ているが、植物分類学上の属は異なる。(長いササゲもインゲンと同じ食べ方ができる)
おそらく、長いササゲの代用としてインゲンが入っているのではないだろうか。
ジュウロクササゲのさや。ペットボトルは500ml
【16日追記】ジュウロクササゲの名は、「1つのさやの中に、豆が16粒入っている」のが由来だが、必ず16粒というわけではない。写真のものは18粒ほどあった。品種や栽培条件による差があるのだろう。


別の店では、こんなものも売られていた。
御棚セット
ペポカボチャ、青リンゴのほか、小さい洋梨も。リンゴやナシは、間引いた(摘果した)ものの有効利用ということか。
青棚の中身の一部を充実させたような構成。「御棚(おたな?)」とは「盆棚」のことだろうか?

あと、ハスの葉を筒状に巻いたものも売られていた。どうやって供えるのか分からないけれど、この御棚セットと組み合わせてオリジナルの青棚を作ったりするのかな?【2016年8月15日】広げたハスの葉に、米を載せて供える風習もあるので、それに使うようだ。葉の値段は200円強。


地域、宗派、家庭による違いがあるわけだが、現代ではそれぞれの風習の本来の形も意味や目的も分からなくなってしまったことが多い。形式的なものでいいのかもしれないけれど、もう少し深く知ることが必要かもしれない。

と考えていたら、8月7日付の秋田魁新報の情報紙「マリ・マリ」に「にっぽんのお盆」という特集が出ていた。
秋田市ではあまり行わない「迎え火を焚け」とか風習が説明されているが、「最近ではインターネットで調べてやり方を改める人が増えてきており、全国的に均一化されてきているようです。」などとも述べ、形式にこだわるよりも気持ちが大事といった内容もあった。
たしかにそうかもしれない。だけど、全国チェーンのスーパーでさえ、秋田ではとうろうが山積みにされ、青森では「法界弁当(法界折)」が販売されているのを見れば「全国的に均一化されてきている」とはとても言えない。
秋田の「郷土の新聞」がそんなことを書くのは残念だし、「にっぽんのお盆」などより「あきたのお盆」の特集を組んで欲しいものである。
【15日追記】特集内で、秋田市による精霊流し(という名のゴミ収集)が実施されることには、軽く触れていた。秋田ならではの記述はその程度。「135カ所」で回収するそうで、「15~17日に」実施するように書いてあるが、供物を流す(出す)のはあくまでも16日の午前中ではないだろうか? むしろ設置と回収を含めた秋田市役所の一連の業務は15~17日かもしれないけど。
【16日追記】「インターネットで調べてやり方を改める人が増えてきており」とあるが、冒頭で述べた当ブログへのアクセスが増えることからして、「全国的に均一化されて」いない「その地方独特のお盆のやり方」を「インターネットで調べて」いる人も一定数いると言える。この点からも、マリマリの言い分には賛同しかねる。

2023年の青棚事情
コメント
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