広く浅く

秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

秋田から伊勢へ

2015-01-12 18:14:32 | 旅行記
そんなわけで、伊勢へ出発。
天気予報では、初日は全国的に雨がち、2・3日目は西高東低の冬型なので向こうは雨の心配なし。
旅立ちの朝の秋田は曇っていて暖かい(プラス2度ほど)。時系列予報によれば向こうでも雨に当たらなそうと好意的に予測して、傘は持たずに出発。
駅までは始発の路線バス。6時台だから朝の渋滞前だし、この日は路面の雪や氷もないから、定刻で来るかと思ったら、5分も遅れて来た。
積雪時のラッシュ時ならば遅れるのも雪国の宿命だと理解というかあきらめなければならないが、この状態でこんなに遅れるとは、やっぱり抜本的なダイヤ見直しが必要なのではないだろうか…
時刻表上は次のバスでも間に合うのでそっちに乗ろうかと思っていたが、この調子では危ないところだった。早いバスにして良かった。

秋田駅12番線の毎度定番のアングル
こまちの2番列車で秋田から東京まで4時間弱。
いつもなら大宮か上野で新幹線を降りて在来線へ乗り換えて、特急料金を浮かせるけれど、今回は同行者がいるためそうもいかず、久々に東京まで乗り通す。

内陸部の大曲に来ると、雪が多い。毎年そう感じてしまうので、例年との比較ではなく見た実感としての多さだ。
岩手県に入ってすぐ辺り?
岩手県に入っても、やや減るが雪は積もっていて、盛岡市も秋田市並みの積雪量のようだ。
仙台の手前で雪はなくなった。

この日は、帰省の戻りは一段落し、向こうの学校の冬休み最終日、かつ仕事始め直後というためか、車内の客は少ない。1番列車は通過するため朝イチのこまちとなる角館、田沢湖、雫石からもあまり乗ってこなかった。
小さな子ども連れは何組か乗っていたけれど、みんなかなりおとなしい。朝早いからか、最近の子はそうなのか。
E6系の乗り心地・座り心地も良好(最初は印象が悪かったのに…)で、気がつけば東京。快適な旅の始まりとなった。


今回は(今回も?)東京は素通りして、30分ほどの待ち時間で早々に東海道新幹線へ。
新幹線改札を出て駅弁屋「祭」で昼食を買ったけれど、昼前だからか店内はてんやわんや。恐れをなして適当に選んでしまい、やや失敗。

名古屋まで行くわけだが、以前も触れたように「のぞみ」は車内の雰囲気が殺伐としている上に指定席料金が高く、自由席は3両で混雑する。さすがに「こだま」は時間かかるので、間を取って(?)「ひかり」の自由席。
名古屋までなら所要時間は「のぞみ」とほぼ同じで、「ひかり」は自由席が5両あるので、始発駅の東京なら確実に着席できる。

この日も、「のぞみ」の自由席は長い列(でも全員座れる程度)なのに、3分後の「ひかり」は各車両10人くらい。
しかも車両は最新(2007年登場)の「N700系」。
E6系よりは不格好? これは真っ白だけど鼻先が黒くなっていた車両もあった
初乗車のN700系はE6系と類似する点も多く、快適。(新幹線の旅については後日別記事にて

この「ひかり」は新大阪行きで、停車駅は品川、新横浜、小田原と名古屋から各駅。
すなわち、名古屋までなら「のぞみ」との違いは小田原に停まるだけ。東京で3分先行する博多行き「のぞみ」より、5分遅く名古屋に到着するだけ。ちなみに新大阪には20分違いで到着。
こちらの車内では、子ども連れが数組。空いている「ひかり」をあえて狙っている人もいそう。こちらの子どもたちも、比較的おとなしい。ゲーム機をいじっていたからか。
「のぞみ」が停まらず、「ひかり」が2時間に1本の速達列車である小田原からも、乗ってきた人はそんなに多くない。

「ひかり」乗車は久しぶりだったけれど、楽しみにしていたことがあった。
たまに乗る「こだま」では廃止された、車内販売のスジャータのアイスクリームである。
JR東日本エリア(NRE。在来線でも売っている場合あり)では「青森県産りんごアイス」を限定販売しているように、東海道新幹線(ジェイアール東海パッセンジャーズ)限定のアイスもあるという。
「愛知・静岡県産メロンアイス」と「神奈川・静岡県産みかんアイス」。(メロンは9月から10月くらいしかないらしい)

車内販売のアイスは、東日本では昔は保冷箱とかカゴに入れて単独で売りに来ていたものだが、最近はワゴンに小さい保冷箱をくっつけていっしょに売っている。(ただし、頼んだら積んでいなくて、取りに戻ってくれたこともあった)
東海道ではどうかと様子見。1度ワゴンが回ってきたものの、保冷箱は積んでいなさそう。次来たら聞いてみようと思ったのに、いつまで経っても来ない。
やっと来たのが三河安城駅通過中。名古屋到着の10分前である。ガチガチの車内販売アイスを食べるのは無理なので断念。帰りは「こだま」に乗ったので、限定アイスはまたの機会に持ち越しとなった。

その頃、車掌によるこんな放送が入った。
「先ほど、三河安城駅を時間通りに通過いたしました。あと9分で名古屋到着です。お降りのお客さまは…」
そうそう。のぞみやひかりでは、こういう案内が入るのだった。(タモリさんが言っていたんだっけ?)

東京から名古屋までは、時折窓に雨粒が付き、ほとんどどんよりと暗い曇り空の中だった。
浜名湖
富士山は見えるはずもなく、茶畑やミカンの木は雨に霞み、浜名湖は空と同化した暗い色。

印象的だったのは、東京駅を出てすぐ「ドクターイエロー」とすれ違ったことと、小田原の手前(平塚市付近?)で
虹が出ていた!
だいぶ太く、両端まで良く見える虹だった。

秋田を出てから6時間と3分で名古屋まで到達。個人的にはけっこう早く感じられた。


ここで近鉄に乗り換え。名古屋も素通りして伊勢へ急ぎたいところだが、きっぷを買わないといけない。
JRの名古屋駅と近鉄の「近鉄名古屋」駅は隣り合っていてつながっている(名鉄や地下鉄も)が、きっぷ購入のためいったん外へ。
以前通ったことがあったので、近鉄百貨店の下である駅の場所は分かっているが、入るのは初めて。

事前の調べでは、百貨店の1階が正面改札で、地階にも大きな改札があり、どちらでもきっぷは購入できる。
道案内もあって分かりやすいが、行きも帰りもどうがんばっても地階の改札にしかたどりつけなかった。
ホーム自体が地階にある行き止まり構造の地下駅なので、改札と列車がすぐそばなのは便利ではあるが、上の中央改札も見てみたかった。
外側から地下改札。左が窓口、右が改札口ですぐにホーム
窓口が混雑していたら乗り遅れるかと心配していたが、待たずに買えた。
連休などは混むのかもしれないが、すぐ近くに近畿日本ツーリストもあるので、そっちで裏ワザ的に待たずに買えたりするのかな?

近鉄ではネット予約の特急券以外は、クレジットカード決済できない。
自動券売機では「PiTaPa」以外のIC乗車券も使用できず、よそ者は現金決済オンリー。

「伊勢・鳥羽2dayフリーきっぷ」を購入。
JRのよりやや大きい、横長で裏が白いきっぷ3枚と観光施設割引券と案内を兼ねた厚手の紙が渡された。JRの企画乗車券のように「ご案内」とか「アンケート」が何枚も出てこなくてすっきりしている。
横長裏白だから自動改札は利用できない。
 
3枚の切符の内訳は、「名古屋→フリー区間最初の下車駅(行き)」「フリー区間内の鉄道 兼 フリー区間→名古屋(フリーパス&帰り)」「バス用フリーパス」の構成。
名古屋からの券は最初に降りる時に渡してしまうこと、フリーエリア内と帰りが同じ券なので紛失しないこと(他社でもよくある方式)、フリーエリア内でも鉄道用とバス用は違う券なので間違えて提示しないことに注意。

特急券はもちろん窓口でも買えるけれど、じっくり席を選びたかったので、自動券売機で購入。
JRグループと同型のタッチパネル式(いわゆる「MV」端末)でシートマップ(座席表)を見ながら自由に席を選べる。
昔からの壁にムリヤリ新型券売機を埋め込んだらしく、設置位置が高すぎるところに、画面が上向きに傾斜しているから、液晶の視野角の外から見上げるような形で操作しなければならず、扱いづらかったのはなんとかしてほしい。
直近の列車で、空席が多そうな号車の海側を伊勢市駅まで確保した。

ここまで、新幹線を降りてから20分弱で完了した。特急発車まであと15分ほど。
余裕を持って段取りできて、あとは乗るだけなのでひと安心。


さて、僕が近鉄に乗車するのは今回で4度目のはず。
最初は高校の修学旅行で京都から奈良まで特急、あとは名古屋~津付近の2度の旅行で普通列車。【2月19日追記】忘れていたけれど、そのうち2010年には線路の幅がとても狭い「ナローゲージ」である四日市の内部・八王子線に乗った。同路線は、2015年4月から近鉄から離れて、公有民営方式による「四日市あすなろう鉄道」となる。(以上追記)
秋田にいては縁のない近鉄だけど、子どもの頃「特急ものしり百科」の類で読んだ、2階建てでオレンジ色に紺(ネイビーブルー)のラインが走る「ビスタカー」は、国鉄とは違う個性的な特急として印象づけられていた。
高校の修学旅行では賢島行きビスタカーの2階席だったけど、夜で何も見えず…
したがって、意識して近鉄特急に乗るのは、今回が初めて。

近鉄の特急について。JRなどとの大きな違いは「こまちx号」といった、愛称や号数(列車名)が付与されないこと。「○時○分発で○○まで」と予約する。
列車名を意識しなくても済むほど特急が系統立てて多数運行されているということであり、考えてみれば別に列車名などなくてもいいけど、JR方式に慣れた者にはちょっとしたカルチャーショック。
なお、「ビスタカー」とか「アーバンライナー」とかは、列車(ダイヤ)に対する愛称ではなく、車両に対する愛称。「しまかぜ」のように、実質的には列車名と同等に扱われている場合もある。

名古屋から伊勢方面へは、昼間は毎時2本の特急が運行されている。「名伊特急」と称されるようだ。
原則として名古屋毎時10分発の賢島行きと50分発の鳥羽(賢島より手前止まり)行き。

使われる車両タイプはいろいろある。一部時刻表や公式サイトの空席案内では識別できるのだが、列車名がなく、所要時間は同じなので、最初はこの違いがよく理解できなかった。
まとめると、伊勢方面では、現在次のタイプが走っている。
・しまかぜ
全席がグリーン車に相当する「デラックスシート」かそれ以上という、話題の豪華列車。1日1本で他の特急とは別のダイヤ。
・アーバンライナー、伊勢志摩ライナー
グリーン車相当の「デラックスカー」と普通車「レギュラーカー」がある、比較的新しい車両。
アーバンライナーと伊勢志摩ライナーで外観や内装は異なるが、結局はそんなに違わなさそう。
・ビスタカー
かつての近鉄のフラッグシップ車両。デラックスカーはないが2階建て席がある。
・無名
平屋のレギュラーカーのみの車両。
運転本数としては無名が最多で、それ以外が1時間に1本あるかないの頻度。

ホームに入る。あまり新しい雰囲気ではない。お菓子などの専門売店がいくつかあり、キオスク的存在の小型のファミリーマートがある。
発車10分前、車内整備が済んだ状態で列車が入線
今回乗る車両は無名の一般タイプ。印象にあるビスタカーと同じ顔だが、2階建て車両はない。
形式表示など見ないでしまったが、1970年台後半に登場した「12400系」の一族らしい。
子どもの頃本で見て修学旅行で乗ったビスタカーの30000系(今も現役)と同時期の設計・製造で、共通点が多いようだ。車内は太陽のような明るいイメージで「サニーカラー」でまとめられたことから、「サニーカー」とも呼ばれたそうだ。(現在の車内はリニューアル済み)
車内
時代を感じさせる車内。
国鉄特急を知る者としては、それと通ずるものもあり、初めて乗ったけど懐かしい気分になった。

15分前の購入時はガラガラだったはずなのに、ビジネスマンなどがけっこう乗り込んできた。直前の予約が多いようだ。

席に荷物を置いて、発車まで時間があるので先頭に行ってみると…
むむっ?!
後ろ4両はビスタカー顔の12400系で、その前2両だけは塗装は同じだけど丸っこくて屋根が高い、新しめの車両が連結されていた。

1992年登場の22000系、愛称「ACE」。(元々は「エーシーエー」らしいが、「エース」も公式に使われる)
アーバンライナーと同時期の製造で、その汎用版という位置付けらしい。

近鉄の無名の特急は、編成を組み替えて臨機応変な車両運用をしており、今回のように旧型と新型が混結することもあるのだった。新型のみのものも目撃した。
外から見ると、ACEのほうが車内もきれいそうだし、空席も多い。改札口から遠くて敬遠されたのだろうが、こっちにしておけば良かった!(帰りも、照明や荷棚はリニューアルされていたが、古い車両でした…)

近鉄はレール幅は新幹線と同じ標準軌だけど、車体幅は狭軌並み。ミニ新幹線みたいな感じか。天井は高い気がした。
座席は、今どきでは珍しくなった、リクライニングさせなくても違和感のない背もたれの座席(今の座席は、各自少し倒して座る前提で前のめり気味がデフォルトのものが多い)。リクライニングは途中でも止まる(フリーストップ)けど、座面が連動して前に出る。
肘掛けには布が張られ、座席間にはなし。テーブルは肘掛けに小さいものが収納されており、前方の背もたれには網袋のみ。
2列連続の窓の構造や位置関係とか座席の座り心地は、485系など国鉄特急に似ている。
最高速度120km/hの走りも、北陸本線や常磐線を485系電車で走っているのを連想させられるような、力強く懐かしいものだった。
車内に独特の「ニオイ」が漂っていた。イヤな臭いじゃないけど、好んで嗅ぎたくもないような、どこか懐かしいような。「近鉄臭」?(帰りの同型車ではしなかった)

車内販売は土休日の一部列車のみで実施。この車両は自販機もない。
車掌はJR東日本と同様の発券状況が分かる端末を持って巡回するので、(正しい席に座っていれば)車内検札はなし。

名古屋駅ホームでは、発車前にウエストミンスターチャイムと「ドナウ川のさざ波」というメロディが流れる。
名古屋を出て10分。
三重県境の木曽川を渡る
以前訪れた国道1号線尾張大橋がすぐ下流側を並走。
さらに2分ほどで、
長良川と揖斐川を渡る(以上が「木曽三川」)
同じく以前訪れた伊勢大橋は約1.4キロ、長良川河口堰は約1.8キロ下流に位置するが、雨に煙っていた。すぐに桑名着。

近鉄特急では、方面によっては途中の停車駅パターンを「甲」「乙」2タイプ用意し、「名伊甲特急」などと呼ぶ(一般人にどの程度認知されているかは知らない)。
今回乗ったのは、停車駅が多い乙特急で、伊勢市までは、桑名、近鉄四日市、白子、津、松坂、伊勢中川に停車。(甲特急では津だけ)
「白子(しろこ)」は初耳の地名だが、鈴鹿市。市役所などへは近鉄の別路線に乗り換え。

桑名や四日市で降りる人は少なく(JRの快速を使うのか)、白子、津、松阪でだいぶ降りて、乗り込む人は少なく、車内は空いた。
これは確実にタモリさんが言っていた(テレフォンショッキング内)が、以前、津へのアクセスの主流が近鉄であることを知らずにJRで向かったら、津駅で降りたのはタモリさん1人だけだったとか。(南紀方面への特急を使ったのかな。快速だったらさすがにそれはない)
【13日追記】そう言えば、以前津市を訪れた時、街中の観光案内が足りなく、観光地である伊勢を控えているのにいかがなものかと苦言を呈した。でも、鉄道で伊勢・鳥羽方面を訪れるとすれば、距離や宿泊施設の分布からすれば津で降りる必要はなく、基本的には素通りする街なのだった。

津から先は、初めて足を踏み入れる土地となる。
木曽三川や四日市の工業地帯を過ぎれば、あとは特に目を引く車窓風景はなかった。海側の席でも海は見えないようだ。
極端な田舎でも極端な都会でもない、住宅地と田畑が繰り返されるどこにでもありそうなものだが、初めて来たこの町でも、誰かが毎日の暮らしを送っていると思うと、旅情がかき立てられる。

松阪市の「伊勢中川」駅は、名古屋、大阪、宇治山田(鳥羽・賢島)方面の3路線が分岐する、近鉄の要衝。特急列車どうしの接続が取られ、乗務員が交代する。
びっくりするのが、左右両側のドアが開き、どちらからも乗り降りできること。(階段を使わないで乗り換えられるのは、どちら側ですという案内はある)行き帰りとも、右側のドアが先に開くとの案内があった。
JR以外の私鉄の一部では、ホームの構造上両側のドアが開く場合はあるが、乗車用と降車用で左右を分離するのが多いはず。そうでないのは初めて経験した。

伊勢中川の手前では、
本日2度目の虹
東海道の虹よりは細いけれど、青空に高くアーチを描いていた。

名古屋から1時間20分、秋田を発ってから7時間56分で伊勢市駅に到着。短くはなかったが、疲れはない。(大昔に秋田から歩いて伊勢参りしていたのに比べれば、ものすごく高速でラクだとも言える)
天気は良くなかったけれど2度も虹を見られたし、伊勢の街は雨上がりで日が差して、何やら幸先が良さそう?!(少なくとも傘を持ってこなくてギリギリ正解だったのにほっとした)

伊勢市駅のホームに降りると、すぐに改札口があるが、伊勢神宮へ行く場合はここを出てはいけない。
長い跨線橋を渡って、反対のJR側(南側)の改札口を出たほうが近いから。改札口も共用なので、JR東海の駅員に近鉄のきっぷを渡して出場。
このアングルではJR専用の改札口っぽいが、近鉄もここから出入りする。近鉄の券売機などは後方に控え目にある
今日のうちに外宮参拝をしておく

※近鉄のついてはこの記事も参照
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