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秋田市を中心に青森県津軽・動植物・旅行記などをご紹介します。

大学病院行きバスの現状

2012-08-01 23:55:42 | 秋田市営バス
秋田駅と秋田市広面(ひろおもて)にある秋田大学医学部附属病院の間のバス路線について。
先日の記事では、昔の路線をややこしく紹介したけれど、今回は現状について。
【2024年5月31日追記・この記事は2012年時点での状況です。2010年代後半以降、路線廃止や乗務員不足を理由にした減便が行われ、2024年時点ではこの記事の記載内容よりも、路線・便数とも少なくなっています。利用の際は最新の情報を確認願います。

大学病院方面のバスは、秋田駅の西口と東口両方から出ている。
運賃は東口から210円、西口から240円と東口のほうが安いものの、運行本数は東口が毎時1~2本でしかも等間隔でないのに対し、西口からはおおむね10~20分間隔で運行されているので利用しやすい。
駅と大学病院を結ぶ路線網
東口発、西口発ともそれぞれ複数の路線がある。(路線が違っても同じバス停間の運賃は同額、所要時間もあまり変わらない)
まとめると、(運行本数は平日の駅発)
●東口発
・駅東線
先日の記事で紹介した、秋田市交通局から移管された小型バスの路線。
現在は全便が大学病院の2つ先の「境田上丁」まで行って、そこで折り返す。
1日5本、所要時間13分。

・赤沼線(東口発)
秋田駅東口→大学病院→秋田駅西口→車庫と秋田駅を2度通るややこしい路線。西口発着については後述。
特に大学病院から乗る時は、東口行きと西口行きの時刻が近接していて、行き先表示が分かりにくいので、注意が必要。
1日20本、所要13分。

●西口発
・手形山団地線(中央交通のサイトでは手形山大学病院線などとなっている場合もある)
秋田市交通局からの移管路線。手形陸橋を渡って手形山崎を左折、秋田大学(本部)前、秋田高校手前で手形山へ上って、大学病院の脇(西側)へ出る。
(再掲)手形山を上る手形山団地線
手形山を上って下りて、しかも一部便は県営住宅の中に入って戻って(手形山西町経由)と、遠回りになるものの、現在は運行本数が最も多い路線なので、大学病院へ行くメインの路線と言っていいかもしれない。現在では唯一の大学病院が終点/始発の(大学病院で折り返す)路線。
20~30分に1本、所要17分(手形山西町経由は20分)。

・太平線・松崎団地線・赤沼線(西口発)
中央交通オリジナル路線。
昔は「車で大学病院へ行く」といえば、この路線の経路が一般的だったのではないだろうか。手形山崎までは手形山団地線と同じで、手形山崎を直進して三吉神社前を経て、谷内佐渡(やないさど)で旧道から左折して大学病院正面へ至る。
市営バスと競合していた当時は、中央交通の大学病院行きとしての主要経路だったはず。

3路線とも、経路からいったん外れて大学病院へ立ち寄る(乗り入れる)ような運行形態。(いずれも谷内佐渡の「大学病院入口」交差点から病院までの500メートルほどを行って戻る)
大学病院通過後、太平線は岩見三内、松崎団地線は松崎団地へそれぞれ向かう。西口から来た赤沼線は、今度は東口へ向かうわけで、上記東口発赤沼線の復路の役目を担う。
所要時間12分。1日の本数は太平線8本、松崎団地線8本、赤沼線20本。

なお、西口-手形山崎-三吉神社前とこの路線と同じ経路を通るにも関わらず、大学病院に乗り入れない路線や系統もあるので、注意。(車内放送で特に注意があるわけでもないようだ)
下北手線(宝川上丁行き)の全便と1日1便だけの手形経由ノースアジア大学行き、それに松崎団地線の一部(朝夕の「331」系統)が該当する。
下北手線なんか、そちら方面から通院する人もいるだろうし、大学病院に乗り入れてもよさそうなものだが…



路線の概要は以上。では、平日に西口から大学病院へ向かうと仮定して、そのダイヤに注目。
上記の通り、手形山団地線と太平線・松崎団地線・赤沼線(以下、3路線をまとめて「谷内佐渡経由」とする)があるので、10分か20分に1本どちらかの経由が運行されている。(例外は12時00分の次が12時30分くらい)
路線によって駅の乗り場が違うことに注意すれば、利用しやすいダイヤと言えよう。

しかし、「同時に2本が発車する」時間があるのが、引っかかる。
9・11・12時の毎時00分には、大学病院線と谷内佐渡経由(赤沼線または太平線)が同時刻に駅を出るのだ。ダイヤ上は手形山崎まで2台が続行し、上記の通り5分か8分差で大学病院に到着(谷内佐渡経由のほうが早い)することになる。
そして00分発の次の便は、9時と11時が20分、上記の通り12時は30分までない。
どちらかのダイヤを動かし、「10分発」にできないものだろうか。そうすれば、乗客にとってわずかながら乗車機会が増え、待ち時間が減るのに。


次に、帰り。大学病院から駅へ向かう場合。
行きが10~20分おきにあったのだから、帰りもそうなのか?
実際に、大学病院発の秋田駅行きの時刻表をご覧いただこう。
平日の10時台~13時台の実際のダイヤを元に、西口行きと東口行きを合わせて1つの表にしてみた。時間の配分(間隔)が分かるように、いちおう5分刻みの目盛りを上段に入れた。
※ご利用の際は、公式な時刻表でご確認願います
ぱっと見て、まばらな時間帯と密集した時間帯があるのがお分かりかと思う。

13時32分には西口行きと東口行きが同時に発車している。
10時35分と38分、12時55分と58分のように、手形山経由西口行きが出た3分後に谷内佐渡経由西口行きが発車するケースが多い(14時以降にも複数回見られる)。上記の通り、谷内佐渡経由のほうが5分程度所要時間が短いので、手形山崎~駅にかけては後から出た谷内佐渡が先着することになる。(ただし、実際には谷内佐渡経由が遅れて病院に到着・発車するケースが多く、そうとも限らない。乗客も分かっていて、先に到着していて始発である手形山経由に乗る人が多い)

12時58分の次は13時32分まで34分間の空白を始め、おそらく通院を終えて帰宅する乗客がいると思われる10時58分の次が11時25分など、空白が大きい時間帯もある。
その11時25分の次は3分後の28分、さらに4分後の32分と3本立て続けに来たりもする。
大学病院前バス停に西口行きと東口行きが揃って入線
大学病院前からは、昼間に毎時5~6本以上運行されていて、秋田ではかなり運行本数が多いバス停ではあるのだが、こんなダイヤでは実質的な運行本数は毎時3~4本なのと変わらない。本数が多いのにそれが均一に配分されていなくて、乗車機会が少ないのだ。
駅発とは異なり、上り便はそれぞれの始発点から来る関係上、完全に等間隔なダイヤにすることは無理なのは分かる。
でも、手形山経由にしても谷内佐渡経由にしても、昼間の乗客の過半数が大学病院と駅方面とを乗り通す客だ。そこに着目すれば「手形山経由/谷内佐渡経由」ではなく、「大学病院行き」という1つの路線として一体的に捉えてダイヤを作成できないだろうか。

市営バスと中央交通がそれぞれの路線を分担していた当時なら、こういうダイヤでもしょうがないけれど、移管(=運行会社が1社になった)後10年近く経つというのにこんなダイヤでは、中央交通のやる気を疑ってしまう。
あと何年かすれば、近接するダイヤを「利用が少ないので」と理由をつけて廃止・統合するんじゃないか(したいんじゃないか)と、不安に感じてしまう。(それぞれの路線の単独区間を乗る客もいるわけで、廃止されると影響を受ける利用者は当然いる)

秋田市交通局を廃止・民間移管する時、そのメリットの1つに「2者で競合していた路線のダイヤが効率化される」というのがあったかと思う。僕は、このダイヤの効率化とは2者が続行していたのがなくなり、等間隔なダイヤになるということだと捉えていた。
また、秋田市が作った公共交通政策ビジョンでも、基幹路線では等間隔にバスが来るようにして、時刻表を見なくても利用できるようにする(「どのくらい待てるか」が人それぞれではあるが)ことが掲げられていたと思う。ある程度の本数を確保し、それを均一に配分して、乗車機会を増やす(あるいは一定に保つ)わけだ。手形山経由だけを見ればたしかにほぼ等間隔だけれど、大学病院-駅で見ればとてもそうとは言えない。
他にも、牛島方面の路線の秋田駅行きでも、同じように運転間隔が密な時間とまばらな時間帯が今なお存在する。

大学病院正面。信号の向こうがバス乗り場、玄関は左奥の木の陰(昨年秋撮影)
大学病院前は、以前は道路を渡った向かいにバス乗り場があったのだが、現在は病院の敷地内にバスが乗り入れ、病院の玄関へ屋根付き通路で行くことができる。
上記の通り運転本数(運転間隔ではなく)も多く、秋田市内の総合病院の中でも、いちばんバスで通院しやすいのが大学病院だ。
だからこそ、もう少しダイヤに配慮してくれれば、乗客は利用しやすくて助かるし、さらに乗客が増えるかもしれないのに。バス会社はそんなことは考えていないのだろうか。


あるいは、谷内佐渡経由と手形山経由をくっつけて、大学病院周辺で周回運行するような路線に再編することも考えられるかもしれない。(二ツ屋福島線のような)
それなら乗車機会を減らしたり偏ったりせずに、運行の効率化が図れそうな気もするが、そんなことは夢のまた夢でしょう。

※大学病院近くの谷内佐渡バス停についての記事
※2020年秋には、大学病院乗り場が少し変化した。
コメント (2)
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