母に会ってきました

　昨日今日と、短い時間ながら、母に会ってきました。施設内の掲示板に、「正月の一時帰宅の推奨」が貼られたのは、先月上旬でした。私と妻は、家に連れて帰るのは無理だから、せめて正月は毎日見舞おう、と二人で決めていました。そして、暮れの二十日頃から容態が悪くなりました。
　今日の母は目を開けました、まだ意識はしっかりしていました。妻に「今日は休みか？。」と尋ねました。妻が「今日は休み。」と言うと、「そうか、ゆっくり休めよ。」と言うのでした。私は「俺は、仕事が忙しいから長居はできないよ。」と言うとニッコリしながら「仕事があるのは本当に良いことだ。無理をするなよ。」と言うのでした。かれこれ４０年前の工場の倒産時の苦しさを知っている母は、利潤が薄くても仕事さえあれば、と思うのでしょう。私は「眠れないとは思うが、ゆっくり寝なよ。」と言うと、黙って目を閉じました。
　帰り道、妻に「世の中の、もっと若い人が病に苦しんでいるのと比べれば、天寿といえるほどの長寿で、なんの不満も無いとは言ったものの、見てると辛いねぇ～。」と話しました。妻も同じだと言いました。
　私達では、とうてい真似の出来ない長寿の母です。火が消えかかっていますが、誰もが迎えなければならない終着点です。悲しんでばかりはいられません。妻と初詣を済ませ、初売りスーパーで夕飯のおかずを買いました。