田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

学級委員

2019年08月14日 | 日記
 昔々の学校でのこと。新しい学年の最初の授業は緊張に包まれていた。私のような田舎育ちは、クラスが一つしかなく、毎年同じ顔触れで担任が代わるだけだった。転校した中学一年の春、13ものクラスの張り紙から自分の名前を探すだけで疲れ切ってしまった。
 
 クラスは53人、今では想像もできない大人数だった。二つの小学校から進級した生徒は顔なじみも多く、私のように田舎からの転校生は頼れるものが何もなく、何も見逃すまい、聞き逃すまいと緊張していた。
 
 初めて会う先生の一言一言を記憶し、ノートに走り書きをした。「明日学級委員を決めます」との先生の言葉で生徒たちはざわめいた。「〇〇君は何組?」「うちのクラスには△△さんがいる」「◇◇小の一番と、□□小の一番とどっちが頭良いの?」と女子生徒が口々に話す。先生はしばらくそのままにしておいた。
 
 突然、前の女子が私を見て「あんた◇◇小?□□小?」と聞かれたが、さっぱりわからない。たぶん小学校の名前だろうと思い「◇◇小でも□□小でもない。オレ転校」と普段使わないオレを主語にした。この先、この言い方が良かったことを後々知った。
 
 学級委員は成績の良い者で決まるのが普通だ。ただしガリ勉は嫌われ、文武両道が本命、そのような者は小学校でも学級委員をしており、頼りがいがあった。女子の本命は、恥ずかしがらず男子と話せる生徒だった。こんな人を委員以外の残り50名は、なんの迷いもなく受け入れた。特に名うてのわんぱくや、ぐれ始めた子供も『あいつ頭良いし、ドッジボールも強い』と認めた。続く

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