田神六兎の明るい日記帳

田神六兎の過去、現在、そして起こるであろう出来事を楽しく明るくお伝えします。

痴漢に疑われた男

2017年06月08日 | 日記
 2日の深夜に起きたJR総武線平井駅での痴漢騒動を撮影した動画をテレビで見た。警察官の「被害者の方はいらっしゃいますか」の問いかけに、群衆が「俺達全員が被害者だ。早く電車を出せ!!」と言い放った。自分さえ良ければ良い。他人のことなどお構いなし、の言い分だった。ミクロのポピュリズムだ。
 
 昔々の話、残業で疲れていたが、この仕事もあと少しで終わると思うと、寄り道をしたくなった。大きな書店があるバス停で降りた。夜更けまでにはまだしばらく時間があった。妻が求めていた本を探すつもりだった。
 
 今の時代と違って、書店は混んでいた。探しものはすぐ見つかった。このままバスに乗れば、子供はまだ寝ていないと考えると、レジに並ぶ時間がとても長く感じられた。
 
 「お客さん、そちらの物もお金を払って頂かないと、店は困りますが」と若い店員が、私を睨みつけながら言った。『しまったッ!本屋へむき出しの本を片手に入ってしまった』と、自分の不注意を恥じた。弁解しても、とうてい信用されないと考え、お金を払うつもりでいた。
 
 「この人、店に入った時、もうこの本持ってましたよ」と、私の後ろに並んでいた中年の女性が言った。
 
 我に帰った私は「会社に届けられた本を持ち帰るところでした。疑われるようなことをして申し訳ない」と言いながら、本の肩に目を落とすと、配達納品書が挟んであった。「あっ、これで証明になりますよね?」とレジに差し出した。若者は不貞腐れたように「すみませんでした」と謝ってくれた。
 
 中年の女性にお礼を言って別れた。女性が「本屋へ本を裸で持ち込む人は滅多にいないからねぇ」と軽いお叱りを受けた。
 
 本題の、痴漢に疑われた人は、一部始終の目撃者が、交番に連行される被疑者に同行してくれたそうだ。そして、即刻帰宅が許されたそうだ。痴漢の被害者は、警察で真実を話して欲しい。無理かな。