鶯や柳のうしろ藪のまへ 芭 蕉
芭蕉としては、珍しいくらいの単純な発想である。「柳のうしろ藪のまへ」で、柳や藪が点在する平和な田園風景の中で、自在に飛びまわり鳴き交わしている鶯が、軽やかに描き出されている。
いまから見ると、単純すぎて何の奇もないように見られるところもある。けれども、貞門・談林以来、芭蕉の歩いてきた長い表現工夫の道程を考え合わせてくると、この単純への過程に振り落とされ、洗い上げられてきたものが、並々でなかったことを考えなければならない。
この削り去ったものへの考慮なしに、この到達点をそのまま学ぼうとすることが、句を浅くしてしまうのだと思う。このことは、俳句に限らず、すべての芸術に通じるのではなかろうか。
年代は『蕉翁句集』に、元禄五年(1692)とする。
季語は、「柳」も春であるが、この句では「鶯」が主になっている。鶯そのものに触れて、軽やかにとらえてゆく発想の仕方がうかがわれる。
なお、「鶯の初音(はつね)」は二月はじめごろ、さえずりの整うのは三月ごろ。ケキョケキョケキョと続けざまに鳴くのを、「鶯の谷渡り」という。
「鶯があちこち移りあるいてしきりに鳴いている。その鳴いているのは、あるいは柳のうしろ
であったり、あるいは藪の前であったりする」
昨晩は、指先がしびれ、キーボードを打つのが非常に困難だった。そのため、稲盛和夫氏の「六つの精進」の解説部分を省略してしまった。理解を深めるために、稲盛和夫著『生き方』(サンマーク出版刊)より、そのまま引用させていただく。最近、この『生き方』はベストセラーになり、売れに売れている。変人が読んだのは今から五年前のことで、引用もその本に基づいていることを付記する。
心を磨くために必要な「六つの精進」
①だれにも負けない努力をする
人よりも多く研鑽する。また、それをひたむきに継続すること。不平不満を
いうひまがあったら、1センチでも前へ進み、向上するように努める。
②謙虚にして驕らず
「謙は益を受く」という中国古典の一節のとおり、謙虚な心が幸福を呼び、
魂を浄化されることにもつながっていく。
③反省のある日々を送る
日々の自分の行動や心のありようを点検して、自分のことだけを考えていな
いか、卑怯な振る舞いはないかなど、自省自戒して、改めるよう努める。
④生きていることに感謝する
生きているだけで幸せだと考えて、どんな小さなことにも感謝する心を育て
る。
⑤善行、利他行を積む
「積善の家に余慶あり」。善を行い、他を利する、思いやりある言動を心が
ける。そのような善行を積んだ人にはよい報いがある。
⑥感性的な悩みをしない
いつまでも不平をいったり、してもしかたのない心配にとらわれたり、くよ
くよと悩んでいてはいけない。そのためにも、後悔をしないようなくらい、全
身全霊を傾けて取り組むことが大切である。
芽柳の銀座 点滴しのばせて 季 己
芭蕉としては、珍しいくらいの単純な発想である。「柳のうしろ藪のまへ」で、柳や藪が点在する平和な田園風景の中で、自在に飛びまわり鳴き交わしている鶯が、軽やかに描き出されている。
いまから見ると、単純すぎて何の奇もないように見られるところもある。けれども、貞門・談林以来、芭蕉の歩いてきた長い表現工夫の道程を考え合わせてくると、この単純への過程に振り落とされ、洗い上げられてきたものが、並々でなかったことを考えなければならない。
この削り去ったものへの考慮なしに、この到達点をそのまま学ぼうとすることが、句を浅くしてしまうのだと思う。このことは、俳句に限らず、すべての芸術に通じるのではなかろうか。
年代は『蕉翁句集』に、元禄五年(1692)とする。
季語は、「柳」も春であるが、この句では「鶯」が主になっている。鶯そのものに触れて、軽やかにとらえてゆく発想の仕方がうかがわれる。
なお、「鶯の初音(はつね)」は二月はじめごろ、さえずりの整うのは三月ごろ。ケキョケキョケキョと続けざまに鳴くのを、「鶯の谷渡り」という。
「鶯があちこち移りあるいてしきりに鳴いている。その鳴いているのは、あるいは柳のうしろ
であったり、あるいは藪の前であったりする」
昨晩は、指先がしびれ、キーボードを打つのが非常に困難だった。そのため、稲盛和夫氏の「六つの精進」の解説部分を省略してしまった。理解を深めるために、稲盛和夫著『生き方』(サンマーク出版刊)より、そのまま引用させていただく。最近、この『生き方』はベストセラーになり、売れに売れている。変人が読んだのは今から五年前のことで、引用もその本に基づいていることを付記する。
心を磨くために必要な「六つの精進」
①だれにも負けない努力をする
人よりも多く研鑽する。また、それをひたむきに継続すること。不平不満を
いうひまがあったら、1センチでも前へ進み、向上するように努める。
②謙虚にして驕らず
「謙は益を受く」という中国古典の一節のとおり、謙虚な心が幸福を呼び、
魂を浄化されることにもつながっていく。
③反省のある日々を送る
日々の自分の行動や心のありようを点検して、自分のことだけを考えていな
いか、卑怯な振る舞いはないかなど、自省自戒して、改めるよう努める。
④生きていることに感謝する
生きているだけで幸せだと考えて、どんな小さなことにも感謝する心を育て
る。
⑤善行、利他行を積む
「積善の家に余慶あり」。善を行い、他を利する、思いやりある言動を心が
ける。そのような善行を積んだ人にはよい報いがある。
⑥感性的な悩みをしない
いつまでも不平をいったり、してもしかたのない心配にとらわれたり、くよ
くよと悩んでいてはいけない。そのためにも、後悔をしないようなくらい、全
身全霊を傾けて取り組むことが大切である。
芽柳の銀座 点滴しのばせて 季 己