壺中日月

空っぽな頭で、感じたこと、気づいたことを、気ままに……

あけずば織

2008年12月19日 20時54分15秒 | Weblog
    上原美智子 ――祝彩 syuku sai ―― 展

   天女の羽衣のように軽やかな織物で知られる上原さん。
   カシミヤの細糸、鳥の羽、アンティークビーズ、
   漆を施した絹糸などの異素材を繊細な絹糸に織り込み
   祝祭の静淑で艶やかな空気を表現しています。
   是非お越し下さい。

      蚕がはき出した一本の糸を織って、一呼吸置きました。
      今回、新たな気持で素材の豊かさと、
      伴走してみたくなりました。
                         上原美智子

 というハガキを頂いたので、江東区清澄のヨーガンレール本社一階「ババグーリ」へ行ってきた。
 上原美智子さんの“あけずば織”に初めて出逢ったのは、二年前の八月であった。“あけずば”というのは、琉球の古語で“蜻蛉の羽”という意味で、その名の通り、トンボの羽のように透けて、世界一軽い絹織物である。
 “あけずば織”のことは以前から知ってはいたが、本物を拝見できたのは、このときが初めてである。場所も、ここ「ババグーリ」であった。
 単なる好奇心だけで出かけて行ったのだが、上原さんの「あけずば織」に囲まれているうちに、すっかり心を奪われ、虜になってしまった。
 心奪われるともう駄目で、病気が出てコレクション?に加えたくなってしまう。
 やっと一点にしぼり、「縞柄あけずば袋織大判ショール」を購入した。この時、「このショールを羽織った女性像を、木原和敏先生が描かれたら……」と、ふと思ったりもした。

 上原さんの絹織物“あけずば織”は、国立近代美術館に「絣布」と「袋織布」とが収蔵されている。
 “あけずば織”について上原さんは、「出来てきた布は、私が創作したものではないような気がします。神からの賜り物、素材と染めと機(はた)と自分の共同作業だと思います」と述べておられる。

 幸い今日は、上原美智子さんが会場にいらっしゃり、直接、お話を伺うことが出来た。
 「織ることは神経を集中させる仕事ですが、とても心地よい作業です。忍耐ではなく、歌い踊るような喜びを感じながら、織っています。次から次へと新しいイメージがわいてきて仕方がない」と、上原さんは話され、さらなる創作意欲を示しておられたのには、感動した。
 木原先生も同じようなことをおっしゃっていた。一流の芸術家は皆、「神経を集中させる仕事を、楽しみ、喜びを感じながらするのだ」と、つくづく感じた。
 明日の土曜日は、「木原和敏 個展」(銀座・画廊宮坂)だ。作品は先日、十分堪能したが、先生にお逢いできるのが、また楽しみでもある。


      「 上原美智子 祝彩 展 」
     22日(月)まで。(午前11時より午後7時まで)
      江東区清澄3-1-7  ℡03-3820-8825
        ヨーガンレール本社一階 「ババグーリ」

      「 木原和敏 個展 」
     21日(日)まで。(11:00~18:00 最終日は17:00)
      中央区銀座7-12-5 銀星ビル4階
        画廊 宮坂     ℡03-3546-0343


      物忘れ素心蠟梅つや増して     季 己