平塚にあるキリスト教会 平塚バプテスト教会 

神奈川県平塚市にあるプロテスタントのキリスト教会です。牧師によるキリスト教や湘南地域情報、世相のつれづれ日記です。

友なき者の友

2014-03-18 15:53:12 | 説教要旨

(先週の説教要旨) 2014年3月16日 主日礼拝宣教 杉野省治牧師

 「友なき者の友」  ルカによる福音書19章1-10節

 ザアカイは、「徴税人の頭」と「金持ち」というレッテルを貼られていた。どちらも、この男は強欲な者であることを表わしていた。当時は、徴税人は不正なやり方で富を得、また、仕事上異邦人であるローマの当局者と接触するので汚れた者としてみられ、さらに自分たちを支配しているローマの手先のように思われて、誰からも忌み嫌われ、軽蔑されていた。

 このザアカイが、町にイエスという男が来たことを知って、ぜひ一度会ってみたいと思った。イエスのところへ駆けつけてみたが、イエスはもう大勢の群衆に囲まれて、背の低かったザアカイは見ることができなかった。とっさに彼は、先回りして、いちじく桑の木に登って待った。

 人だかりの中心にイエスはおられた。ああこの人か、そう思った時、「ザアカイ、急いで降りて来なさい。今日は、ぜひあなたの家に泊まりたい」、と言われた。どうして私の名前を?どうして、初対面なのに、自分の家に泊まりたいなんて言うのだろう。そんなことをあれこれ考えるよりも彼は喜びのあまり、即座に木から降りてきて、イエスを迎えたのだった。
 
 イエス・キリストを迎えるという行為、ここに彼の新しい人生の一歩があった。もちろん、その前にイエスご自身がこの男を受け入れるという事柄がある。イエスが、はじめにザアカイの存在に目を止めておられたのである。そして、ザアカイの方もイエスの出会いを執拗に求める、そのこと自体が、彼の悔い改めだったのである。
 
 その時、ザアカイはイエスに言った。「わたしは財産の半分を貧しい人々に施します。また、誰かから何かだまし取っていたら、それを4倍にして返します」。財産の半分を貧しい者たちに施すというのは、彼の中に憐れみの心が生じたしるしだった。4倍にして返すというのも、律法では強盗をした場合に4倍か5倍の賠償額を支払うことになっていたので、自分の行為を強盗と同じと見ているザアカイの自己への厳しい反省の思いが感じられる。
 
 彼が悔い改めに至った契機は何だったのか?それは、生活自体は何不自由なかったが、共同体からつまはじきされ、関係を断たれ、寂しさをいつも感じていた彼に、イエスは周囲が驚くほどの異なる対応をされたからだ。人々のいる面前で、彼の家に泊まろう、つまり、彼の友になる宣言をされたのだ。彼は、出会いを求めていたイエスから、受け入れられただ。このことが、彼の悔い改めのきっかけになったのだった。罪の悔い改めにはイエス・キリストの愛が先行していた。
 
 ザアカイの応答の後、イエスは、「今日、救いがこの家を訪れた。この人もアブラハムの子なのだから」と言われ、彼も救いの中に置かれている存在であることを伝えた。そして、このことは、「この人もアブラハムの子」と言われたことで、共同体からはじき出されていたザアカイが、その社会に復帰できる人間関係を取り戻す出来事にもなった。それまでザアカイは、神からは「失われていたもの」だった。神から離れて遠いところに行っていた。神に背いて歩んでいた。その彼が、イエスとの出会いによって、神のみもとに立ち返ったのである。

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