牧師室だより 2010年4月18日 変えられること、変えられないこと
米国の神学者にして牧師のラインホールド・ニーバー(1892-1971)の祈りに「神よ、私たちにお与えください。変えることのできないものを受け入れる冷静さと、変えることのできるものを変える勇気を。そして、その二つを見分けるための知恵を」がある。
私たちはともすると、変えることができないものに執着してしまいがちである。その一方で、努力すれば変えられるものを変えられないとあきらめたり、変えていくための労苦をさけたり、失敗して傷つくことを怖れて、これは変えられないものなのだと自分で自分をごまかしたりする。
生まれ育った環境、過去の選択、すでに起きてしまったことや失ったもの、不治の病や障害、容姿などは、いくら努力しても自分の力では変えようがない。
そういったものに執着し続け、もっと背が高かったら、裕福な家に生まれていたら、こんな病気にならなければ、あのとき別の道を選んでいたらと思い悩んでいる。つらくなるだけである。ならば、変えられないこととして受け入れ、次のステップに向けて新たなスタートを切ったほうがいい。しかし、それ以外のことは、少なくとも変えようと努力するだけの価値あるものではないか。すぐには変わらなくても、長く続けているうちに変化が現れるかもしれない。一人では無理と思われても賛同者が現れるかもしれない。
もちろん、変えたいと願い努力しても変わらないことはあるだろう。しかし、たとえ変えることができなくても、そのプロセスを通して確実に何かを得られる。人間関係も広がってくるだろう。そして何よりも、挑戦し小さな失敗や成功を繰り返すうちに、自分という人間や世の中の仕組みが分かってくる。自分というものに少しずつ自信が持てるようになってくるだろう。
ニーバーの祈りから、今一度自分の生き方を見直してみよう。
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