菅義偉官房長官が、イギリスのEU離脱により円相場が急騰するなど急激な経済、金融情勢の変化に対し、先に安倍晋三首相が消費税増税を2年半伸ばしたことは先見の明があったと述べた。
また、その安倍首相も伊勢志摩サミットで「世界経済のリスクに供えて」という言葉を使ったことについて、やっぱりそのとおりになったというようなことを言っている。
しかし、消費税増税を見送った段階ではイギリスの離脱リスクについては、誰もが想定しなかったことであり、両氏が、いかにも先見性があったことを述べることはそれこそ政治家の矜持にもとるものだ。
安倍首相が消費税増税を見送ったことについて、野党はアベノミクスの失敗、もしくは行き詰まりのためだと断じている。
つまり、現今の日本の経済情勢が、消費税引き上げが出きる状況にないからなのに、それを、イギリスショックを使ってやっぱり正しい判断だったと言いくるめることはいかにも苦しい言い訳であり、逆説的に言えばアベノミクスの失敗を立証しているようなものだ。
安倍首相が、消費税増税を見送ったのは、2014年4月に8%に引き上げた結果その後ずっと個人消費が低迷しており、来年4月に10%に引き上げることによって、さらに消費の低迷を招く恐れと、7月に行われる参議院選挙に影響することを避けたために相違ない。
菅官房長官が、先見性があったなどと誰もが分かり切った言い訳をするよりも、果たして、今後消費税を引き上げることが可能になるか否かを心配することの方が先ではないか。
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