日銀の黒田東彦総裁は就任時、異次元の金融緩和政策によって2年で物価を2%上昇させデフレ脱却を果たすと約束した。しかし、もう少しで就任から2年経つのに物価は2%どころか依然として0ペースになっている。
この日銀総裁による金融緩和政策と、安倍晋三首相が進めてきたいわゆるアベノミクスは繋がっているが、デフレ脱却政策の柱の1つである雇用者の賃金引上げについて、物価上昇を果たすためにも、何とかしなければならないとして、安倍首相は2年に亘り経団連などの経営者に賃金引き上げに協力するようしゃにむに働きかけた。
それが功を奏してか、この2年間、好調の輸出を背景に大企業ではそれなりの賃金引き上げが成されたようだ。しかし、雇用者の多数を占める中小企業や零細企業の賃上げは捗っていない。そのためアベノミクスによるデフレ脱却のための好循環はその部分で断ち切れており、中途半端な形になっている。
これではいけないとばかり、安倍政権は、今度は日本商工会議所など中小企業者団体に何とか賃上げをして欲しいと頼み込んだ。合わせて中小企業者が賃上げをできるよう大企業に対し、傘下の会社にコストプッシュを求めないよう要請した。俗に言えば中小企業を泣かせないよう頼み込んだ。
つまり、安倍政権は、アベノミクスの成果を何とか目に見えるものにしないと、結局「絵にかいた餅」と評価され、国民の信頼を失いかねないと焦っているようだ。
これら安倍政権による経営者団体に対する一連の働きかけは官制賃上げと呼ばれているが、せっかくの賃上げが雇用者全体に行き届いていないことや、消費税増税などにより18カ月も実質賃金はマイナスになっているのが現状だ。これではいくら笛を吹いてもデフレ脱却は難しい。
黒田日銀総裁は、就任時に2年間で物価上昇率2%にならなければ責任を取ると大見得を切ったが果たして如何に。「関連:2013年3月27日」
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