5月1日、シンガポールで行われているアジア安全保障会議で、小野寺五典防衛相が日本が右傾化していると言われていることに対し、「まったくの誤解だ」と反論した。小野寺氏は、日本維新の会橋下徹共同代表の慰安婦発言を批判、「橋下氏の言動は、政府・自民党の見解と全く異なる」と批判、歴史認識について、安倍晋三内閣は「アジア諸国の人々に多大な損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受けとめ、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明する」という歴代内閣と同じ立場を引き継いでいると改めて強調した。
また、日本の防衛力強化の取り組みや、集団的自衛権を巡る議論について「日本が地域安定に向け、より能動的で創造的な貢献を行うことを目的としたもので、国際社会全体の利益と合致する」と主張した。
どうも、安倍氏にしろ、橋下氏にしろ、また今回の小野寺氏にしても、自身の語った言葉に対し、他から批判されると「誤解」されたとしていろいろ取り繕っているが、この「誤解」されたと言えば言う程、ますます他国は疑念を増幅し、信頼を失っていく。「誤解された」ということは言葉を変えれば、「あなた方は間違った捉え方をしている」ということになり、相手に対し極めて失礼にもなる。それならば「誤解」されないよう最初から適切な言葉を発すればよいではないか。
いくら「誤解」という言葉で言い逃れても、相手はかえって「ごまかしている」と解釈し、またそれを取り繕うと、ますますつじつまが合わなくなって、不信感が増していく。今回の橋下氏は、未だいろいろ言葉を重ねているが、最早、彼の言うことは信頼できないので聞きたくないという人が増えているようだ。
本来、責任ある政治家は。「誤解」されるような言葉を発信してはいけない。政治家の言った言葉は、ほとんど「本心」として受け止められて当然なのだ。
今回の小野寺氏の「誤解」発言は、ほとんどが「NO」と受け止められただろう。事実、安倍首相は、慰安婦問題については、「河野談話」をストレートに受け止めていない。安倍氏の言は、河野氏は官房長官の立場で言ったことなので、菅儀偉官房長官が談話を出せば良いと、苦肉の策で理屈を言っているが、菅氏はこれについて今日まで何にも述べていない。
また、安倍氏は、日本の侵略問題についても、侵略の定義は立場によって異なると言っており、この見解は今でも変えていない。侵略を詫びた「村山談話」についても、自身で新たな「安倍談話」を出すと述べ、まともには容認していない。他国は、これらの言動から、安倍氏は歴史認識を変えようとしていると受け止めている。
実際に、安倍氏は今までの歴史認識は間違っていると思っているのだが、首相の立場としては、本心を語らない方が良いと自身が述べている。また、今まで安倍氏が発行した書物には、はっきり自身の見解を記述している。
実際、安倍氏が右派系政治家であることは、本人が自認しているし、国民の誰もがそのように思っているだろう。今回のアジア安全保障会議で誰が小野寺氏に「右傾化は誤解」とする発言を指示したか分からないが、小野寺氏程度の政治家が、国際会議の場でいくら言い訳をしても、百戦錬磨の修羅場を潜ってきたアジア諸国の指導者を言いくるめることはほとんど困難だろう。「関連:5月12日」
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