国家間で個人的関係などはあり得ない。安倍晋三首相とアメリカのトランプ大統領は、今回で3回目の首脳会談を行い、その都度、ゴルフをやって仲の良いところを見せつけているが、国益問題になると、なりふり構わず自国の利益を優先して事にあたるのは当然のことだ。
今回の会談では、米朝首脳会談について、安倍首相は、トランプ大統領と北朝鮮対応を共有したと述べたが、突如、北朝鮮との首脳会談に応じたトランプ大統領と、圧力一辺倒の安倍首相が、北朝鮮対応をにわかに共有できる筈がない。
また、安倍首相は、日本人拉致被害者の救出をトランプ大統領に頼んだが、難題が嵩む中で、トランプ氏からみると外国人である日本人拉致被害者の救出にどれだけ力点を注ぐことができるのか。
相手側の、北朝鮮から見ても、「トランプ氏と日本人の拉致被害者とは関係ないでしょ」と一蹴されるのが落ちではなかろうか。
それ以上、トランプ大統領が条件をつけ、粘り強く日本人拉致被害者の救出に努めることは、時間が制約される首脳会談では無理な話ではなかろうか。
トランプ大統領も、アメリカ人の拉致被害者が3人いるので、先ず、自国民を優先し、その話の継続で日本人被害者に言及するのが精一杯だろう。
今回の、安倍首相の訪米で、唯一の成果のように思われているトランプ大統領による拉致被害者救出については、結局、北朝鮮に「日本とよく話し合ってください」と言うのが精一杯で、やはり当事者の日本政府が北朝鮮と交渉する他道はない。
経済・貿易問題でも、鉄・アルミに対する高い関税はつけられそうだし、TPPは安倍首相の目の前で、むげに拒否され、何とか、経済閣僚間で話し合いをするよう持ち込んだが、これも、アメリカが求めるFTAへ引きずり込まれる恐れもあり、経済・貿易問題でもトランプ大統領と、安倍首相の個人的な友好関係のうま味などどこにもない。
ドナルドだ、シンゾウだなと一人称で呼び合い、ゴルフをやれば仲が良いなどと、俗人的な友人関係のありようと、国家間の冷徹な関係をごっちゃにしてはならない。安倍氏は、そのことを、今回の日米首脳会談で目いっぱい思い知らされたのではなかろうか。「関連:4月19日」
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