正さん日記

世の中思いにつれて

格差社会の拡大は明白

2006-08-02 17:54:12 | 社会
 日本は格差社会になっていないと、いかに強弁してもその実態が存在していることは歴然としている。もともと社会には従来から格差があるのであってその事実は誰も否定することはできないが、問題は格差社会が広がっていることにある。それを如実に表明しているのが雇用者中における非正社員の増大だ。1990年以前は、非正社員というとパート、アルバイトと言われた労働者であったが、1990年以後はこれに加えて、派遣社員、請負会社社員と言われる就業先企業にとっての非正社員の極端な増加である。統計上、派遣社員や請負会社社員は、派遣会社や請負会社の正社員に括られているが、実際は就業先企業では明らかにその企業の正社員と区別される非正社員なのである。これら非正社員の特徴は、労働はほとんど正社員と同じだが、賃金が正社員の6~7割程度と極めて不利な状態に置かれている。その差額の多くが派遣会社や請負会社の利益になる仕組みだからである。加えて、就労先が変わることがしばしばで、その結果定着率が低くなっている。派遣社員や請負会社社員は極めて不安定な立場で就労しているので将来設計が建て難い状況に置かれている。これらの実態にメスを入れない限り、税収、年金制度の安定化、少子化の歯止めなど難問解決は不可能である。
 このような中で、先に摘発された大企業の偽装請負には目を潜ませる。本来請負労働者は、請負会社の傘下の元に就労すべきものが、受注先企業の傘下に入って当該企業の正社員と同じ条件で就労させているという事実が浮き彫りにされた。しかも有名企業を含め相当数の大企業の受注先で同じようなことが行われているとのことだ。1990年に入って中国などとの競走を余儀なくされ、大中小企業を問わず、賃金の高い正社員を減らし、低賃金の派遣社員や請負会社の活用でコストダウンを図ってきた。当時の切羽詰った実情は分からなくも無いが、その結果、労働者間の格差が歴然とし、将来社会建設に不安定な課題を残している。政府、大企業が目先のことだけでなく、将来を見越した就労制度の整備に努めないと先々格差はいっそう拡大し、総ての政策が成り立たなくなる恐れが明白である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする